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2.元に戻せ

とある世界のある歴史

そこは生物の欲に溢れており、無法と化していた

その中に王とならんとする者達が現れる

武に長けた者、知に長けた者、統治に長けた者など…

その中でも一際強く、賢い者がいた

その者は後に魔王と呼ばれるようになる

徐々に世界が一つになろうとしていたその時

それを良しとしなかった神及び女神によって呼び出されし異界の者

誠実で優しき異界の者は各王と共に"個で最も強き者"を討ち果たしたのだった

異界の者は勇者として崇められ、後世に名を残し続けることになる

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同世界 森の中心地

突如として現れた人間の下半身と思わしきもの

そこには長年放置され、朽ちかけている像が建っていた

周りは背の高い草に覆われてしまっている

像の台にもたれかかるように落ちる"それ"はピクリとも動かない

周りには人はおろか他動物の気配すらなかった

しかし"それ"が落ちて数日

そこは小動物に溢れ、なんとも長閑な空間と化す

小鳥は像の手に

リスは土台に

うさぎは"それ"の隣に

そんなある日訪れた一人のフードを被った人間

その瞬間それまで"それ"の周りにいた衝動物達は人間の元に移ってしまった

人間は"それ"を拾いその場を離れる

既に気づいていたのか、まるで躊躇いが無い

森を抜け、門を通り、教会に入る

森の道が長く、既に日は沈みきっていた

しかし人間は動きを止めない

"それ"を講壇に起き、膝をつけ、祈る

みるみるうちに胴が生え、現れた一人の人間

一瞬目が開いていたがすぐ閉じてしまった

祈っていた方も力尽き、その場に倒れ込む

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌朝 日本


「どうなってるんだ…これ」


疲れてるのだろうか…

毎日見ている病室の壁とは別に、石でできた壁が見える

左を見ると、倒れている少女

まじでなにこれ…

片目ずつ見えているものが違うという訳でもない

どうにか意識すればどちらかの景色のみ見ることができるようだ

とりあえずあちら側?の方を確かめるか

とは言っても足がないんじゃあ…な、な!?

足がある!

嬉しかった俺は、飛び起きる

久々の立つ感覚に少しよろけてしまったが、気合いで耐えた

足で数回床を踏み、足がある喜びを噛み締める

やべぇ

高校に受かった時並みに嬉しいわ、これ

でもまずは現状を把握しないとな

とりあえずこの体は『誰か』だ

幸いそこに鏡がある

確認すると

目の前に居たのは"自分"だった

一旦現実逃避し、倒れている少女の元へ向かう


「お〜い

 大丈夫か?」


間近で見るとなんという美少女

水にも引けを取らないほど

これカメラとかついてて、触ったら痴漢で訴えられるとか無いよな…

そんな心配をしていたらすぐ起きた


「ん〜なんですか…まだ開けてませ……

 はっ、なんですか!なんで上半身裸なんですか!」

「知らん

 というかここはどこなんだ」

「あなたみたいな破廉恥な人に教えることはありません!」


なんかウザかったので手を固めてチョップしたら

唸りながら頭を抱えてしゃがんでしまった

そんなに強くやったつもりはないが…なんか申し訳ない


「俺は桜樹零だ

 気づいたらここにいたんだが何か知ってたら教えてくれ」

「そのズボン…あっ

 貴方様でしたか

 サクラギ様は下半身しかありませんでしたので、昨日私が蘇生させて頂きました」


は?なに言ってんだこいつ

こりゃダメだ

そう思い、外に出る

そこに広がっていたのはまるで中世ヨーロッパのような街並み

すぐ扉を閉めてしまった

振り向くとニッコニコの修道女がいた

いつの間に着替えたんだ

あぁこれはあれだ

異世界というやつだ

蘇生したとか言ってたし、転生ってことで良いのか?

でも上半身だけは日本にいるからなぁ

転移が正しいのかな…


「あの〜

 サクラギ様は勇者様なのですよね」

「は…?」

「あ、厳密には勇者様の子孫に当たる人ですが」


また新しい設定きたよ

もうお腹いっぱいだっての

しかもただの勇者の"子孫"かよ


「えっと

 本当に勇者様の子孫なのでしたら、女神様との会話も少々できると思います

 此方に立って、片膝を立てながら祈ってみてください」


これ以上どうしようもないので、俺は言われるがまま祈ってみた

したらなんだよ、また知らない場所だよ


「……い!…れい!零!」


その時気づいた

日本にいる上半身を放置していた

もういいや、一旦置いておこう

もしかしたら夢かもしれないからな

異世界の目を閉じ、日本の方を開いた


「零!よかった…

 いつも寝起きいいのに、全然起きなかったから」

「心配かけてごめん」


俺を呼んでいたのは母さんだった

どうやら朝食を持ってきてくれたらしい

一口分とって口に運ぶ

ここの病院食はちゃんと温かくてちゃんと美味しいんだよな

あれ…なんか…

お盆に水が落ちる

おかしいな、目は乾いてなかったはずなんだけど…

母は無言で抱きしめ、撫でてくれた

今そんなことされたら…ほら、止まらなくなる

心配かけたくないから親の前では絶対に泣かないと決めたのに

おそらく自分に下半身がある姿を見てしまったからだろう

気合いで涙を止め、母さんにはとりあえず帰ってもらった

そういえば女神と話せるとか言ってたな

再び異世界?に出向くと、まだ白い床にいた

おそらく雲だ

しかし先ほどと違うのは

そこに女神と思わしき者がいること


「あ、やっと目をひらいた

 なんですぐいなくなっちゃうのよ」


なんか怒っていたので

こちらも怒りを込めて放つ


「すべて元に戻せ!」

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