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第四話「負の悪魔討伐」



ゼウスはうんと頭を悩ましていた。

それは、負の感情から生まれる悪魔のせいだ。

以前は地獄に住んでいたらしいが、近年は数が爆増。

天界にまで侵入する事態に発展しているらしい。

「むぅ…最近は下界からの死者も増えてとる…何がどうなっているのだ…」

最近の死者と悪魔の上昇具合は右肩上がり。

毎日が慌ただしく、天使は皆あまり休めていない。

「何か…何か良い打開策はあらんか…」頭を傾げ、うんと悩む。

「あ!そうだ!」ゼウスは掌をぽんと叩いた。何かひらめいた様子。


数か月は経っただろうか。相変わらず稽古の日々だ。

「ペルセポネちゃん!いい感じだよ!」

最近の日々は非常に楽しい。実はミカエルの教えが上手だったのもあるが

何よりメキメキと上達しているのが分かるからだ。

「光の光線魔法」「・・・ーー・」

びゅんと光の光線が指先から飛び出し、遠くにある原木を貫通した。

「やった!できましたよ!!」「やったね!ペルセポネちゃん!」

二人で手を結び、ぴょんぴょんと跳ねる。突如、どんと爆音が鳴り砂埃が舞う。

「ミカエル!ペルセポネ!私の願いを聞いてくれぬか!」そこにはゼウスがいた。

いつものような余裕は無く、ぜぇぜぇと呼吸が荒い。

「な…なんでしょう…?」ふぅと息を吸っている。

胸に手を当て息を吐くとゼウスは語りだす。

「き…近年悪魔の発生率がぐんと上がっている」「あくま…?」

頭にはてなを浮かべる。空想的な生物かと思っていたが、やはりいるのか。

「悪魔っていうのはね!」ミカエルは指先を立て、自信気に答える。

「下界の人間の悪感情から生まれる生物のことだよ!といっても…天使の方がごく…」

「そうだ…負の感情からは悪魔が…喜の感情からは天使が生まれる」

話を遮り、手短に要件を伝えるようだ。ミカエルはしゅんとしている。

「最近は悪魔の発生率が右肩上がりでな…今回は試験も兼ねて悪魔討伐をしてもらう」




「だいじょうぶなんですかね…?」古臭い廃墟へ到着した。

ゼウスの言うところによると

ここには骨折したときの痛みから生まれた悪魔がいるらしい。「大丈夫だよ!」

物陰から身を乗り出し、腕を広げ轟くような声で発する。

「ペルセポネちゃんは強いし!私だってちょっとはやれるんだから!」

謎の自信に感化され、不思議といけるような気がしてきた。

ミカエルはずかずかと廃墟の中へと進む。小走りでその後ろ姿を追う。

中は想像どうりだ。埃の被る電池の切れた時計。糸が壁の上で根を張る。

「悪魔め!出てこい!」どんと剣を構え警戒していた。

「ペルセポネちゃんは後ろを見ていて!」「は!はい!」

言われた通りミカエルと背中を合わせ周囲を探る。「………」

本当に悪魔というものはいるのか?足音一つしない。「きゃあ!」

鈍い音と同時にミカエルの悲鳴がこだまする。

後ろを向くと、しゃがみ込むミカエルがいた。

悪魔が二階へと続く階段から不気味な笑みを浮かべこちらを鋭く見ていた。

「ごめんね…へましちゃったみたい…」足があらぬ方向へ曲がっていてる。

苦痛に満ちた顔をしていて思わず背筋が凍る。もしかするとミカエルは死んでしまう?

そんな不安が頭を駆け巡る。咄嗟に手を構え炎を打ち出す。

「うねる炎魔法」「・・・ーー・ー・・ー」螺旋状の炎が掌から放射される。

悪魔は巧みに回避。そのまま二階へと向かう。

「くそが!」いつにも増して荒れている私。


「同じ魔法は短期間にそう何度も使えない!」

「お願いペルセポネちゃん先に行ってて!私は回復してから行くから!」

そんなことは分かっている。

急かすもんだから、作戦も考えないで無策のまま悪魔が逃げた二階へ向かう。

悪魔は羽を使い、そそくさと奥の扉に入り込む。

「尖った鉄を作る魔法」「・ー・・|」槍のようなものを携え、そっと戸を開ける。


目の前には諦めたといわんばかりの顔をした悪魔がいた。

だが、その瞳には闘争心が宿っており、生を諦めた訳ではない。

「はぁ!」槍を構えそのまま突進する。

情けない掛け声を聞いた悪魔は勝てると思ったのか、にやりと笑みを浮かべる。

案の定避けられる。「ま…まって!」槍を離し手で顔を防ぐように覆う。

だが判断は良いものとは言えなかった。悪魔の吐息が感じる程接していたのだ。

そのまま固い爪で引っかかれ、手や頬の肉がことんと落ちる。

魔法を使うという判断が出来なかった。それ程までに慌てていた。「や!」

「おねがいしますたすけてくださいごめんなさい」

悪魔はまるで聞いてないかのように口を開き、真正面から火を吹く。

「ぎぃぃぃぃぃぃぃ」魔法で水を出すこともせずただのたうち回る。


だんだんと意識がぼやけてきた。私はここで死ぬのか?

……いいや違う。記憶が消えていってるのだ。

幼少期の些細な思い出一つ一つが思い出せなくなっているのだ。

何故……もうどうでも良いことか…寝よう。


燃える廃墟の中、ぱりんとガラスの割れる音がする。「………」

暗い視界の中、目を凝らすとミカエルが立っていた。

何も言わず瞬く間に悪魔を殺し私を抱きかかえ、そのまま意識は闇へと落ちてゆく。





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