夜の小旅行
最近、私は仕事の帰りが遅い。
車を買って、行動範囲が増えたから。
行動範囲が増えたら、上司とご飯に行きやすくなったから。
行動範囲が増えたタイミングで、上司に時間ができたから。
理由はいくらでも探せばあるけど、
結局のところ、尊敬している、大好きな人とのひとときはいつだって大切。
他の、職場の人とは個人的な付き合いはほぼないから、
上司とのご飯はいつもお忍び。
だが、それがいい。謎の優越感と、何度も行っているからこその安心感。
仕事終わりのご褒美。
今日もそう。
お忍びご飯。
「どこにいくかではない。誰と行くかだ。」
ということは、ここ最近、旅行や友人と過ごす中で分かっていたはずなのに、
上司とご飯に行くたびに身に染みて感じる。
回る寿司。
回らない寿司。
ちょっと豪華なファミレス。
とんかつ屋。
そのどれもが、どの時間も、何を話していても、
どんなに疲れていても、かけがいのない時間であることは間違いない。
もちろん、ご飯の時間も大好きだけど、
最近、思わぬ副産物を発見した。
それは夜のドライブ。
ご飯はいつもお忍びなので、大抵職場から少し離れたところに行く。
基本、家と反対方向。基本、帰り道に一回は道に迷う。(大の方向音痴)
普段の通勤とは違う道。夜の顔。
工事中で道ばたの青と黄色のランプが道しるべのようで綺麗だな。とか、
街路灯だけが煌々と灯り、私以外誰もいない商店街とか、
なぜか22時半に電気のついている学校の体育館とか、
理由もなく、すごく好きなのは何故だろう。
きっと、今この景色は私しか見ておらず、
誰かと共有するためのものではないからかもしれない。
きっと、しばらく私の心の奥底に大切にしまわれる。
さながら、夜の小旅行。
夜の小旅行を楽しんだ日は、布団に入ったときの幸福感がとても高い。
また夜の小旅行を楽しむために、風呂に入って寝よう。
また明日。
それでは、また。