4話 魔法
『魔術。物や力を生み出すため、魔力を使用する術すべ。それが魔術。
魔術は他に、妖術や呪術。魔法とも呼ぶ。
魔術という、ある1種の術すべは魔力を使用するため、他の技、剣術や弓術より体力消費が低く上達が早い。また、魔力は物や力を生み出す他、ものに流し込んだり出来る。そのため、剣術や弓術と組み合わせ使う事が出来る。
だが、欠点がある。魔力消費が激しい魔術を使ったり、同じ魔術を使い続けたりする事で、魔力が体内から無くなる。それにより、体力の低下やそれに伴い、体が睡眠を求める。魔術は魔力量を視認出来れば、使い方や使う量等が、魔力を視認出てなかった時よりも格段に使いやすくなる。つまり、実質魔術が使いたい放題になる。
魔術はリスクとリターンがある技。
これが、僕がゲームやアニメで身につけた知識。』
「……っと。」
僕はビフトから貰った本にそう書いた。
「やっぱり、この世界の文字を理解している。…それにしても、この部屋、安心感が凄いなぁ!」
殆どが木とレンガで出来ている部屋。実は冒険者登録をしたあと、ビフトがこの部屋に案内してくれた。ここがお前の部屋だと。
魔法の事について、貰った本に書き込んでいた。
「でもなぁ〜。いつになったら帰れるんだろう。元々死んでこの世界に来たけど…そもそも、アンデッドと戦うことに関しても、そこまで賛成では無いし…アンデッド達と仲良くできないのかねぇ〜…」
そう愚痴をこぼしながら、僕はベットの上で眠りについた。
―
魔法は物や力を生み出すため、魔力を使う、1つの手段。という話はどうやらこの世界でも同じのようで、ノルナの稽古前、懇切丁寧に教えて貰った。
稽古が始まると、同じような話を、要所要所に話していた。……外で。
ノルナは色々な魔法の書を読んでいるらしく、攻撃系から回復系まで、戦闘向け以外に火や水など、様々な魔法のことを知っているとの事。
…多すぎない?これを1ヶ月以内に覚えろ?よくよく考えれば無理な話だ。
アンデッド襲撃まであと29日
ノルナによると、今日は基礎の魔法から。一日目は水。そこから魔法のレベルや量を上げると。
「じゃあみんな。今日は基礎の魔法。まずは詠唱を覚えようか!」
「「「「はーい!」」」」
ノルナより幾つか下の子が元気よく返事をする。思っていたより小さな子が来ている。人数は4人ぐらい。
魔法に詠唱は必須。それぞれの魔法に詠唱があって、魔法は手のひらから放出することが出来る。
…ちょっとめんどくさい。
「まずは手を胸の前に出して、詠唱を。
『強大なる力を持つ精霊よ。海から成る水を我の前に現せ!水ウォーター』
…まぁ、私は使えないけど。」
ノルナは、魔法の書を見ながら詠唱を唱えた。
「魔法は詠唱を必要とするため、少し時間がかかるの。だから、魔物と戦っている時は剣で魔物を抑えながら、詠唱が終わるのと同時に魔物に魔法を当てる。そんな戦法を使うことも出来る。」
「あの!どうして先生は魔法が使えないんですか?」
小さな子の1人がノルナに質問をする。
「あぁ。私は魔力が無いのよ。だから魔法が使えない。」
「どうしてないんですか?」
「生まれつき、魔力量がゼロだったから、私もよく分からない。」
「そうなんですね〜。」
「じゃぁみんな、1回やってみようか。」
「「「「はーい!」」」」
「あと魔法を使う時の注意として、魔法は胸の前に手を出した時、手に魔力を出すようにイメージをすると、魔法が使いやすくなるのよ!」
ノルナは詠唱を唱えながら、実践する子供たちを見た。
…て言うか、詠唱って本当に必要か?ゲームの中で詠唱無しの魔法なんて幾らでもあったのに…試しにやってみようかな…
僕は胸の前に手を伸ばして詠唱無しで言ってみた。
「水ウォーター」
イメージをしながら言った瞬間手から水が出てきた。
ボコボコと鳴りながら手の平に空気を挟んだ先に出てきた水が増えていく。
「え?あれ?出来た…」
「あっもう出来たの〜?凄いわねぇ!」
「えっ?あっありがとうございます?」
「もう1回やってみて、3回連続に出来たら合格よ!」
「えっはい。」
無詠唱で出来ちゃったよ…なんかノルナ気づいて無いし。しかし、3回連続ねぇ〜。どうしよう、詠唱ありでするかなしでするか…よし!
「『強大なる力を持つ精霊よ。海から成る水を我の前に現せ!水ウォーター』」
また同じように、手の平の先に水が出てきた。
「おぉ〜。凄いね!姉ちゃん!」
「え?」
「もっとやってお姉ちゃん!」
「え〜〜〜!?」
子供たちが、寄って集ってもう一度やってと駄々をこねた。
「もぉ〜しょうがないなぁ〜。『水ウォーター』……あ」
力が抜け、水が地面に落ちる音がする。
「「え?」」
「え?」
無詠唱。魔法に詠唱は必須って言ってたし。無詠唱ってヤバいのかな?
「今。無詠唱でやった?」
ノルナが僕に問いかける。
「あっえと、あの〜…」
「無詠唱なんて魔書にさえ載ってないのよ!」
「…はい…」
「どうやったの?」
「さっきノルナがイメージが必要って言ったじゃ無いですか?」
「うん。」
「だから詠唱なしでも、イメージさえすればいけるのかと…」
「えっ?それだけでっ?」
「…はい。」
「んー…」
困り顔で考え込んでしまった。
無詠唱ってそんなに難しいものなのか?1発で出来たのに。
「まぁ今日の所は、家に帰っていいよ。」
「え?」
「魔法を初めて使った日は、疲労が凄いから。3回連続に出来たし、合格で。」
「ありがとう…」
僕はビフトの家に向かった。
―
ビフトの家に着いた時は、体は疲れきっていた。
「おうノルス。」
「どもー」
「…どうした?」
「ノルナの稽古で…」
「ん?魔法が使えたのか?」
「はい。」
人との会話回数が少なすぎてまともに話せない。ただでさえ、疲労で思考が低下してるのに。
「まぁ今日は寝ろ。」
「え?」
「疲れてるだろ。」
優しい目でそう言ってきたビフトさんは、机に横たわっている僕を見た。
「…はい。ありがとうございます。」
そう言いながら、僕は自室へ向かった。
――
夜遅く。クエスト達成のために遠出していた冒険者が、ギルドの飲み場で話していた。
「…今日。なんか魔物多くなかったか?」
双剣使いの男が、疲れきったパーティメンバーに問いかける。
「確かに。今日はゴブリンが多かったな。クエスト達成に近ずいてはいたが、流石に多すぎだ。」
「その他にも、スライムやコボルト、オーガも何体か…」
双剣使いの問に、リーダーらしき大剣使いの男と魔法使いの女が答えた。
「しかも、タイガーウルフまで…」
そう、男の剣使いが答えると、他のメンバーが一斉に言った。
「「「・・・なんで言わなかったの?」」」
「え?」
「タイガーウルフだぞ?1ヶ月分の金は手に入るのに…」
「え?え?」
「結構肉も美味いし…」
「え?え?え?」
「勿体ないわね〜…」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!そんな言う?」
「言うよ!」
「言うわよ!」
「言うだろ!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜…?」
――




