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泰平の魔物 原  作者: 敗北者
1章
2/12

2話 人の村


 本に書いてあったのは、ほとんどがある少女のこと。

 その内容は少女の生まれた日や年齢、名前等が書かれていた。そして最後に、その少女は魔物である事が書かれていた。

 その少女が魔物である証拠として書かれていたのは、その少女の姿が人間とは異なることが書かれていた。具体的に、その少女は耳が長く、赤い目と赤く長い髪を持つ。そして、人間とは比にならない程の魔力を持つらしい。

 まず、この世界に魔力が存在したことに驚いた。そして、この少女は誰なのかと考えた。

 ちなみに、その少女の名前は「ルヴト・ノルス」と言う。


 この日記に書かれている少女について考えた。

 その結果、まずこの世界の人々と接触していないため、考えても無駄という結論に至った。まぁ、仕方ないよね。情報ゼロだし。


 さっき言った通り、今現在での情報が限りなく少ない。

 今はもう夜。今日はとりあえず寝て、明日から情報収集を始めよう。

 ここに来た以上、元の世界に帰れる手段が見つかるまで、この世界で生き延びないといけない。

 そう思った僕は、小屋に入り、ベットに横たわった。



 大きな音が鳴った。あちこちで建物が崩れる音がする。

 山の上から、津波で流される建物を見ていた人々は、皆、絶望感に打ちひしがれていた。


 そんな中、山の端で人が落ちた。


 見えていなかったのか、雪で凍った草の上に足を乗せ、滑り落ちた。

 津波は山のすぐ下まで押し寄せていた。落ちた人はその津波と山に挟まりながら、流されて行った。

 確実に死んだだろうと、誰もが思った。


 男は流されながら、茶色く濁った水を飲み込んだ。男は助けも呼べずに、ただ流されていた。



「はぁっ!?」


 勢い良くベットで起き上がった。

 さっきのは夢だったのか。


 前の世界では、当たり前のように聞こえていた鳥の囀りも、この世界では音沙汰もない。

 少し寂しく感じた。


 そんなことはさておき。

 昨日の日記に書いてあった少女を探そうと、僕は外に出た。日記を持って。


 昨日の星が無かったかのように、前世で見たような太陽の光が、空の雲と緑色の野原を輝かせる。

 風が小屋に向かって吹いた。小屋は少しガタガタと揺れた。

 風は涼しく、何処か懐かしく感じた。


 僕は、遠くを眺めた。

 目の先には山があり、その麓ふもとに何かがあった。


 そこを目指し、歩き出した。


――


 ヘル村 村長の家


「お父ーさん。」

「どうした?」

「魔法の本他にない?」

「ない」

「えー…」


 髪の長い女の子とそのお父さんらしき人の会話。


「もうこの村の本、全てを読み終えた。国に行かないとないぞ。」

「じゃぁ国に行くよぉ。」

「冒険者でも付けてけ。」

「はーい…」


――


 木に着いた。

 周りに何も無いのに、何故か1本だけ。立っていた。

 この辺で休憩しようと、僕は背を木に付けたまま、しゃがみ込んだ。


 3分くらい経った時。

 目指していた方向から、何かがこちらへ走ったできたのが見えた。

 何だろうと思いながら、得体の知れない動く何かを目で追った。

 その何かがこちらに近付くにつれ、それが人影である事に気づいた。髪の長い、少女の様だった。

 少女がこちらに近ずいて来るのと同時に、その少女が今の自分の姿に似ている事が分かった。

 その少女が僕の前に来た時、少女は「-----」と、僕に言ってきた。

 そういえばと思い出したのは、この世界で日本語が通用するかどうかの話。通じる訳ない。そもそも、僕がこっちの世界の言語を理解出来てない時点で分かることだが。でもなんでなの日記は日本語だったんだ?

 そんな事を考えていた次の瞬間。頭の中に、日本語が浮かんだ。その言葉は『やっと見つけた』とあった。恐らくこの少女が言ったものだろう。

 頭に日本語が浮かんだのと同時に、何故か分からないが、少女が放った言語が理解出来るようになった。

 …いや、ホントになんで?


 少し経った後、僕は少女に聞き返した。


「君は?」


と。

 少女は続けるように返してくれた。


「私はノルナ。そこの村の村長の娘よ!」


 元気よく僕に言ってきた。

 と言うか、なんで僕の言語が理解できるの?


「貴方は?」

「ぼ…私はノルス。」


 僕は少女の質問に素直に答えた。

 話す直前まで、自分が少女の姿である事を忘れそうになったけど。

 僕は今の体の名前が分からなかったから、日記に書いてあった『ノルス』という名前を使わせてもらった。


「へぇ〜。私と名前、似てるのね?それによく見たら、貴方、私にそっくりじゃない?背も目の色も…」

「確かに、そうですね。」


 少女と姿や名前が似ているなんて、双子みたいじゃないか。


「もしかしたら、私たち双子なのかもね?」

「あ…」


 考えていることまで同じ…これは偶然か?


「ところで貴方。こんな所で何してるの?」


 やべっ。人と会った時どうやって話すか考えてなかった。


「えぇっと〜。ここら辺で、泊まれる場所を探している旅人と言うか〜えぇっと〜…」

「…?」


 少女は首を傾げながら、目で訴えかける。

 やばい。いや本当にやばい。

 前世ですらほとんど話してなかったってのに…ここはひとまず…


「ぼ、冒険者になりたくて、村を探している旅人です!」


 目を瞑りながら、かなり大きな声で言った。

 目を半目にしながら少女を見た時、気づいた。

 …めっちゃ、目キラキラさせながら見てくる。

 しかも手まで握っちゃってさ!


「貴方のみたい方を探していたの!」

「へ?」

「是非1度、うちに来てくれない?」

「え?」

(え?えええええええええええええ?!)


――


 少女に釣られるたまま、僕は村に来てしまった。

 と言うか、なんでこの子は僕が冒険者になりたい!って言った後、直ぐに目をときめかせていたのか。

 分からん。


 それより、村の整備や警備が充実しすぎではないか…戦争でもするのかと思うぐらい皆は慌てているし、カンカンとなる鍛冶屋らしき所にも人が集まっていた。

 戦争するにしても、ここまで攻め込んでくる人間なんて居ないだろうし…魔物とかいるのか?確信はないが、転生しているという確実が存在する以上、ここが魔物の存在する異世界の可能性は十分に高い。


 そんな事を考えていると、少女が立ち止まった。

 下を向いて歩いていた僕は、直ぐに正面を見た。そこにあったのは村の中でも、少し大きめの建物だった。恐らく、ここが村長の家なのだろう。


 今度はドアが開いた。ゆっくりと、ドアノブが回された。

 ドアが完全に開いた時そこに居たのは、村の人より少し大きい体と、まだ若いように見て取れるような澄ました顔。これが村長なのか。

 ていうか、若すぎないか?この年で娘を持つとは…


 村長に対しそんな事を考えていると、村長は突然…


「おい!」


と、叫んだ。

 なんだ?僕がみたいな見知らぬ奴と娘が一緒にいるからか?


「お前今何時だと思ってるんだ!」

「……ごめんなさい…」


 空見ても、まだ全然明るいぞ?


「あっすまない。…ん?…君は?」

「私はノルス。冒険者を目指している旅人です。」


 村長は僕に対し、少し目のシワを寄せながら質問を投げかけた。僕もそれに答えた。すると村長は…


「嬢ちゃん。あんた1回俺と会ったことあるか?」

「いえ?ありませんが…」


 今の体のことは、まだよく分かってない。だからこそ、下手な事は言えない。

 村長はノルナと目を合わせた。

 ノルナは首を傾げたが、村長は事情が分かったのか目を閉じ、僕の方を向いた。


「嬢ちゃん、話がある。中でしよう。ノルナも。」

「はーい」

「わかりました。あと、私はノルスです。」

「あぁ。そうだったな。ノルス。」


 そう言い、3人は村長の家へと入っていった。


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