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泰平の魔物 原  作者: 敗北者
1章
10/12

10話 王国と襲撃②


 少年は僕たちに助けを求めた。


「誰でもいいので!」


 それでも誰も動かない。


「誰でも……」

「おい小僧。」


 その少年の後ろに、デカい図体をした男が歩いてきた。背中に大剣を背負っている。


「ここに居る冒険者は物理攻撃に特化している。誰でもいい訳ないだろ。アンデッドだぞ。物理攻撃なんて聞くわけねぇんだ。」


 男は少年に強くそう言った


「それでも頼む!戦ってくれ…」

「じゃぁここに魔法使い居るか?居ねぇだろ。」


 この少年は魔法大国という理由で帝国から来たのだろう。恐らくヘル村。魔法大国ではあるが、この貿易都市の魔法使いは魔法学園か王都へ向かう。だからここに居ることはない。そう、僕以外は。


「はい!」

「あぁ?あんたみてぇなチビが魔法使い?笑わせるな。」

「笑いたくないのか。じゃぁ、バカにして笑うな。」

「何言ってんだお前…」


 あれ?自分でも何言ってるか分からねぇ。


「私は魔法使い。ここで見せてやろうか?」

「見せてみろよ。どうせ出来もしねぇ癖に…うぉっ」


 僕は風魔法で男を飛ばした。


「……お前今、詠唱無しで…」

「ん?こっちじゃ普通じゃないのか?なぁ、フランメ。」

「えっ?」

「なんで俺を呼ぶんだよ…」


 そういえば、フランメはこっちじゃ名の知れた冒険者らしく、剣王なんて呼ばれてた時もあったとか。フランメが剣王ねぇー。


「すげぇな。名前を聞いただけで怯えたぞ。さっきまで子供相手にいい気になってたおっさんが。」

「おっさん?」

「行くぞフランメ。アンデッドがなんで来たのかは知らんが。ところで君、アンデッドが来たのってどこ?」


 僕は子供にそう聞いた。


「ゲール帝国のヘル村…」

「……!」


 予想通り。あって欲しくは無かったが、本当に危機的状況だ。


「とりあえず行こう。馬車はある。」


 僕はそう言って、馬車のある検問に向かった。

 その間、その場にいた全員が驚いた表情を見せていた。



「襲撃はいつ頃?」


 馬車に乗っている少年にそう聞いた。


「昼頃…」

「私たちが出た後か…住民の避難は?」

「分からない。」


 そんな話をしていると…


「前から魔物が!」


 馬車の前にタイガーウルフが現れた。

 タイガーウルフは打撃に弱く、打撃系であれば魔法でも物理でもダメージを与えることが出来る。魔法であれば『水弾ウォーターバレット』や『岩槌ストーンハンマー』、物理であれば剣や大盾など。

 タイガーウルフはアンデッドに比べ倒しやすくはあるが攻撃力が高い。そのため、最低でも2人居ないと勝てることは無い。防御力を抜けば中級の中でダントツに強い魔物。


「タイガーウルフ?!」

「とりあえず私が…」

「いや、俺が行く。」


 僕が馬車を出ようとした時、フランメが僕を止め、1人で行こうとした。


「腐っても冒険者。護衛任務を終わらせねぇと報酬が出ねぇんでな。」


 フランメはそう言うと、馬車を前から飛び降りた。


「後は任せろ。お前は村を頼む。」

「………あぁ。絶対死ぬなよ。」

「死なねぇよ。」


 フランメのことを信用し、僕と少年と男は、村に向かった。



 村は結界を張ったばっか。そのため、魔物は簡単に入れない…はず。

 アンデッド襲撃前、魔物の出現率が上がっていた。理由として考えられるのに、指揮官の存在があった。魔物は魔力に反応し近づくため、指揮官程の魔物にある魔力に反応する。

 もし、指揮官が存在するのだとしたら、結界を破られる可能性は十分にある。


「村だ…!」


 村に近づいた時。アンデッドの数を知った。


「なんだ…あれ…」


 少年は絶望したような声で、そういった。

 村の前に居たのは、見る限りでも、村にいっぱいに入る以上の量の魔物。10…30…60…どれくらいいるか、検討もつかないほどいる。


「とりあえず僕が行ってきます。」

「大丈夫か?」


 男が僕に大丈夫かと確認した。僕はフランメの言葉を思い出した。


「大丈夫ですよ。僕も冒険者なんですから。」


 僕は馬車を飛び降り、空中に飛んだ。



 ヘル村の住民はギルド地下に戻っていた。

 僕は少しづつ低空にしていき、ビフトの家の前ら辺に落ちた。

 僕の足が地に着いたのと同時に、ビフトと冒険者が家から出てきた。


「ノルス?」

「村が襲撃にあったって…」

「そうか。じゃぁ、お前も作戦に参加してくれ。」

「分かった。」


 ビフトは僕に作戦を教えてくれた。

 作戦はこう。まず、グレイ以外の冒険者は、前に出てアンデッドの量を減らす。その隙に、グレイが村に魔物を入れない条件の結界を張る。ノルスは1晩明けるまで村に出てもらう。と言うようなもの。


「……ところでノルス。お前結界張れるか?」

「結界?」


 結界魔法は今日買った魔術書に結界魔法の事が書かれていた。

 僕も少し読んだが、条件付きの結界はまだ出来るようになっていない。状態効果上昇やバリアなどの結界魔法しか使えていない。


「状態効果上昇とかなら…」

「じゃぁ、戦っている冒険者にそれをやってやれ。なんの効果なら出来る?」

「魔力、体力、攻撃力とかなら。」

「それを全部同時に出来るか?」

「はい。」

「じゃぁ後でやってくれ。」

「今できますよ?」

「え?」


 魔法は無詠唱で発動できる。後でやるより、今やった方がいいだろう。


「いや、いくら無詠唱だからって結界は流石に…」


 グレイが僕にそういった。


「出来ますよ?」

「……でも遠いいし…」

「出来ない距離では無いですよ?」

「……分かったわ。今やりなさい。」

「分かりました。」


 僕は直ぐに地面に手をかざし、結界を張った。


「本当にすぐ…」

「条件付き結界出来れば良かったんですけどね。」


 僕はグレイを見てそう言った。

 グレイが少し笑った気がした。



 作戦会議終了後、僕達は直ぐに柵の方へ向かった。

 柵の周りには沢山のアンデッドの死体があった。

 僕はその死体を見て、何かが動いたのに気づいた。


カラカラっ


 死体動き出した。それでも少ししか動かない。いや、動けないのだろう。魔法で攻撃しても、魂は天に帰るまで消えない。それでも地に留まるのは天に帰る縛りを誰かが付けていた。だから指揮官が操りやすいアンデッドをこの村に攻め入れていた。僕はそう考えていた。この考えが合っていれば、アンデッドは心まで操られている可能性がある。

 それが合っているのかも分からない。けど、今僕がこの魂に縛りをかければ、魂は天に帰らず、アンデッドの心も元通りになり、人間と共同出来るかもしれない。

 そんな考えが頭に浮かんだ。

 僕はアンデッドに治癒魔法をかけた。縛り付きの。

 僕の考えがあっていたのか、死体は起き上がり、ぼくに従うようになった。しかも話せる!


「何をすれば良いでしょうか。」


 凄い丁寧に話しかけてきた。


「じゃぁ、村にいる魔法使いを守っていて。」

「分かりました。」


 アンデッドは村に入ろうとした……が、結界にぶつかった。


「…ん?アンデッドが!アンデッドが村に入ろうとしてるぞ!」


 1人の弓矢使いが結界にぶつかったアンデッドを指さしそういった。


「待って待って待って!こいつは僕の指示に従ってるだけだから!」

「じゃぁお前がこの襲撃の犯人か!」

「違う、そうじゃない!」


 気付いたら、弓矢使いの後ろに何人かの冒険者が集まっていた。


「こ、こ、これが証拠です!」


 僕はそう言って、横のアンデッドの死体を治癒し、冒険者に攻撃しないよう指示した。


「これがなんなんだ?」

「なんというか…これは憶測なんだけど…今みたいに、魔物の魂は、骨と魔力を集めて、新たな魔物となる。それがアンデッドだと思うんだ。」

「だからそれがなんなんだ?!」


 みんなが、僕を敵を見るような目で見てきた。僕は少し泣きそうになった。


「今みたいにアンデッドを作るには、魂に縛りの魔法をつける。そうすると、僕の指示に従った。そんな感じで、アンデッドを操る犯人がいると思うんだ。」

「だったらお前が犯人じゃないのか?!」

「話はまだある。最近ここら辺で魔物の出現率が異常に上がった。魔物は普通、魔力が多いものに集まる習性がある。でもここら辺に魔力が多い洞窟も建物も作られていない。それなのに魔物が集まるのは、魔力量が異常な魔物が現れたに違いない!」


 僕は冒険者達に強くそう言った。

 冒険者達は納得したのか、僕に謝ってから戦いに行った。


 しかしどうするか。魔物が結界内に入れない。この前僕が倒れてから、結界条件を下げたらしいけど…


 僕はそのまま考えながら立っていた。

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