3話
またまた遅れて申し訳ございませんでした、三話です。
2018年 6月18日 08:12
ガラガラ、と教室の戸を開く。戸の先には、綺麗に並べられた30個くらいの机と椅子と、人くらいの見知った顔のクラスメイトがいた。みんな思い思いに人と喋ったり、荷物の整理をしていたりしていた。
僕は椅子に座り、荷物を降ろす。また二人クラスメイトが教室に入ってきた。そのうちの一人は荷物を降ろして僕を見るなりすぐに、微妙にむかつくにやけ面をしながら、ずんずんと僕に近づいてくる。
正吉だった。僕の目の前にくるなり、口を開く。
「なぁ石場ぁ、お前昨日か一昨日、なんかいい事あった?」
ん?なんだその言い回し、絶対何かあるし、そういえばその何かの心当たりもある。
「え?あーそういえば、土曜日はあそこのショッピングモール行ってゲームしてたなぁー」
「へぇー、花山さんと?」
「...」
やっぱりそれだった、ていうかそれしかない、だって日曜日何にもしてないし。
「え、てかお前なんで花山さんと出かけてたんだよ、まさか付き合って...」
「んなわけないだろ」
「え、そう、でも仲良いだろ?」
「あー、まぁ...?」
「じゃあ実質付き合ってんじゃん」
「んなわけないだろ」
僕と正吉はいつものようにふざけた会話をしていた。始業時間が近づくと正吉は自分の席に帰っていく。いつの間にかクラスメイトはみんな登校していた、一人を除いて。
今日は普通の日だった。何も不登校の子と出かけたりはしない、授業を受けて、皆と喋ってご飯を食べて、また授業を受け。そんないつもの日常だった、帰り道で起きた、ある一つの事を除けば。
2018年 6月18日 16:57
僕は委員会活動で、今日はずいぶん帰りが遅くなったから、今日は一人で帰っていた。車通りが多く、人も多い道を迷いなく歩き、手ごろな屋根があるところを横目に進むと、だんだんと人も車も少なくなっていき、閑静な住宅街へと出る、僕の家が近くなってきた証だ。
「あら、あなた慎太郎君?」
何か女性の声が、僕を呼んだ。聞き覚えがあるけれど誰の声かは思い出せない。
誰だろう、僕は立ち止まってきょろきょろと周りを見ると、花山の家の前にその人はいた。髪はピシッと決められていて、ぱっと見でわかるくらい化粧が濃い。正装って感じではない普通の服装のはずなのに、どこかきつい印象がある。
そうだ思い出した、この人は花山のお母さんだ。見るのは何年ぶりだろう。
「あら~、やっぱり慎太郎くんじゃない、大きくなったわねぇ~」
花山のお母さんは僕に近づいてくる。ていうか会うのは数年ぶりなのにこの距離感の近さはなんか怖い。
「ああ、はい、お久しぶりです」
「いいのよぉ~そんなにかしこまらなくて、あっ、そういえば土曜日うちの子と遊んでくれたんですって?ありがとうねぇ~」
いや土曜日のこと知れ渡りすぎでは?
「ああはい、まぁ...」
「ありがとうねぇ、私じゃあの子の考えてること何にもわかんなくてねぇ」
「はぁ、そうなんですか」
なんか喋りづらい。気まずいとかそういうものじゃなく、喋りづらい。うまくコミュニケーションが取れてない気がする。
「じゃあ、僕はこれで...」
「もう行っちゃうの?それじゃあこれからもうちの子をよろしくねぇ~」
「はい、さようなら」
僕は花山のお母さんに別れを告げて、そのまま逃げるように去る。
なんだか花山のお母さんは、苦手かもしれない。急に話を始めて勝手に盛り上がっていく、そんな感じの喋り方をするもんだから、何にも頭に入ってこないし、やっぱりちょっと怖いな。
そんなことを考えてたら、いつの間にか家についていた。
玄関の前に立つと迷いなく、ズボンのポケットから鍵を取り出して鍵を開け家に入る。やっぱり電気は全部消えていた。
2018年 6月19日 08:51
「はい、じゃあ今日もバスケで、ゲームやっていきましょう」
先生の声が体育館に響き渡る。野太くて威圧感があり、いつもは良く喋るクラスメイト達もこの時ばかりはみんな静かに先生の話を聞いて、皆ちゃんと準備を始める。僕も例外じゃない。
バスケ部員はゴールを出して、そのほかは点数表とか、ボールとかを出すことになっている。
みんな駄弁りながら準備を進める、僕も正吉とかと喋りながら準備を進める。
バスケの授業は何回かやったことがあるのでみんな手際がよく、準備は意外と早く終わった。
僕らはまず男女に別れ、その次に最初の授業で決められた3チームにそれぞれ分かれて、じゃんけんをする。負けた1チームは審判、残りの勝った2チームで試合をする。
僕がいるチームはじゃんけんに勝ち、最初に試合をすることになった。ジャンパーだけ前に出て、他は適当な位置に着く。公式ルールだと他に規定があるらしいが、体育の授業なので細かいことは無視することになっている。
ホイッスルの音とともに、ボールが上に投げられる。僕らのチームはジャンプボールに競り負け、そのまま相手チームの攻撃からゲームが始まった。相手チームで、バスケ部でもある小林が、ドリブルをしながらゴールに向かって走る、僕らはボールに向かって走る。
やがて小林はスリーポイントエリアぎりぎりの所で止まり、ゴールに向かってシュートを放つ。ボールは綺麗な弧を描き、ゴールへと落ちていった...しかし、すんでのところでボールはリングにはじかれ、そのまま空中に放り出される。
これはとれる。僕はボールの落下地点に向かって走り、ジャンプをしてボールに向かって手を伸ばす。ボールは僕の指先に触れ、やがて手のひらに上手く収まった。
ボールを持って着地した、その瞬間だった。僕の右足は本来、真っすぐに地面を踏みしめるはずだったのに、それに失敗した。右足首が変な方向に捻られ、鈍く激しい痛みが体を駆け抜けて、僕は横向けに倒れてしまう。
「あっ...つっ...」
痛い、痛い。頭の中がそのことだけに埋め尽くされ、周りのざわざわとした喧騒も聞こえず、数秒の間僕は足を抑えてうずくまっていた。
「おう、立てるか?」
足を挫いて最初に聞こえたのは、野太い先生の声だった。僕は小さくうんと頷き、差し出されていた先生の手を取って立ち上がる。
「保健室行くぞ」
先生の肩を借りて、よろよろと僕は保健室に向かう。体育館はやけにしんとしていて、そのせいか誰かの喋り声もよく聞こえた。
「あ~、こりゃ捻挫かもね、とりあえずベッドで安静にしてな、ちょっと氷取ってくるから」
養護教諭の先生は僕をベッドに寝かすと、タオル、包帯、三角巾を取り出し、冷凍庫から保冷剤みたいなものを出すと、処置を始めた。
「まーこうやって冷やして固定しとけばとりあえずの処置は完了だから、あとはしばらく安静にしときな」
先生はてきぱきと処置をし始める。タオルで保冷剤を包んで、包帯で足と保冷剤を固定し、三角巾に足を置かせる。なんというか、すごく手際が良かった。
「よし完了、じゃあゆっくりしてな」
先生はベッドカーテンを閉める。急に個室に入ったみたいになって、少し変な気がする。子供の頃、テントに一人で入ったときみたいな変な感じが。
僕はしばらく、ぼうっと天井を見つめていた。保健室は妙に静かで、時計の音がよく聞こえる。
がさがさっ。
静かな保健室に、何かが動いたような音が聞こえた。隣からだった。
そういえば僕の隣のベッドはカーテンが閉まってたような、それじゃあ誰か先客がいるのか。そう思うとなんか気を使ってしまうな。
僕が少し気を使い息を潜めていると、隣からシャーっという音が鳴った。カーテンを開けたのかな。
「あっすいません、これの2巻あります?」
「それ?あーこっちの本棚に入ってるから、好きにとっていいよ」
カーテンの向こうから2つ、声が聞こえた。一つは養護教諭の先生、そしてもう一つは、すごく聞き覚えのある声だった。それもつい最近聞いた声、具体的に言うなら3日前の土曜日に。
がばっと、寝転がった状態から体を起こす。
なんであいつが?いや、聞き間違いか?いや、間違いなくあいつの声だ。
僕は確かめたいという衝動のままに足をかばいながら這うように体を動かし、ゆっくりカーテンに手をかざして隙間を開け、カーテンの外の様子を覗き見る。
その先にいた人物の顔はよく見えなかった。しかし黒くてぼさぼさの長い髪、少し小柄ともいえる背丈、そして夏だというのになぜか着ているブレザー、その恰好で誰かは分かった。
「かっ...花山?」
「えっ...?」
なんでかわからないけど、僕は衝動的にカーテンを開けていた。
本当にすみませんでした、またまた遅れてしまった...
しかも前回は文字数が多かったからまだ格好はついた(ついてない)けど今回は3000文字ですよ、3000文字。作者の尊敬する凄い先生なんて6.66(以下循環小数)時間で書けちゃいますよ、いや多分もっと短いですね、3時間かかんないんじゃないかな。
ていうかいつか花山視点の物語とかも書きたいですね、花山が何を思ってどんなふうに日常を過ごしてるのか、石場と出会ってどう変わったとか、そんなん書きたい。
~言い訳タイム~
全部テストと部活ってやつが悪いんですよええ(私が悪いですすいません)、なんでテスト期間も部活あるんだろう。
~裏設定タイム~
花山の誕生日は4月9日、石場の誕生日は4月30日、正吉は9月7日。
花山の血液型はA型、石場もA型、正吉はO型、作者はB型(?)
石場は朝はパン派、正吉はごはん派、花山はそもそも食べない。




