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第七話 起床

カレー食べた後にミルクティーを飲むと、福神漬けの味がする。あれ飲む福神漬けだ

◯前回のあらすじ

 クロードとの決闘の果てに、辛くも勝利を手にしたネモは己の実力不足を痛感する。

=====================================

—皇都冒険者協会・医務室—

「見知らぬ天井だ」

 一度言ってみたかった台詞第7位。なんの本だったか忘れてしまったが、この台詞はお気に入りの一つだ。


「気がついたか、ネモ。ここは協会の医務室だ、ほんとここは何でもあるな。」


 横を向くとゲントが椅子に腰を下ろし見守っていた。さて、あれから何日経ったのだろうか。クロードの強力な星力を受けてからの記憶がない。やはり、半能力者には冒険者になる資格はないのだろう。


「ここに運ばれて、まだ30分も経ってないぞ。勝負は引き分けだ。だが漢ネモ、しかと見届けさせてもらったぜ!」


 30分!?あれ、本の世界では最低でも3日は経ってるはず。いやそれより


「引き分け!?ゲント、一体なにを言ッ‼︎」


 驚きの余り跳ね起きるも、腹部に強烈な痛みが走る。見るとお腹が焼け焦げている。腕には何やら針が刺さっており、管から黒い液体から送られ続けている。え…ナニコレ


 「暴れるなよ、幾ら旧人類より身体が丈夫で回復が早いといっても重症だ。あと、その管はテンテキ?とかいう道具だそうだ。不足した血液を補うんだかなんだか」


 そういえば、沢山血を流したな。うん、傷口は既に塞がり痕すら見当たらない。ほんと便利な身体だよ


「いやそれより、引き分けたってどういうことだ!僕はクロードの星力を喰らって」


 単純な剣士としての技量、持つ者と持たざる者の力の差を見せつけられ、僕は


 能力者と半能力者の差を身を持って体感した今、”強くなる”自信が湧いて来ない。完全敗北だ。やはり僕は




 それよりも、クロードが膝をついて戦意喪失?一体何があったんだ。


 その後、ゲントに決闘の詳細を全て聞くも状況が飲み込めないが、一先ず落ち着いた。


「ネモ・アムネシアさん、あ、目が覚めたのですね。こちら、冒険者協会に併設されております、医療棟の一室でございます。具合はいかがですか?」


 割烹着姿の看護師のお姉さんに声をかけられる。旧人類ではナース服と呼ばれる、真っ白格好をしており、白衣の天使と呼ばれていたそうだ。誰かの日記にそう記載されていた事を思い出し、声をかけられた時ワクワクして振り向いたが、現実は本の世界とは違う。天使は居ない


「はい、お陰様でもうなんともないです。」


 看護師さんは板に貼り付けられた紙に、何やら記入している。そこに、新たな来訪者が現れた。看護師さんはペンを止め、深々と頭を下げる。


「やあやあネモくん、調子はどうかな!いやー、良いものを見せてもらったよ!素晴らしい戦いだったねうん。僕は感動したよ!本当だよ」


 皇都冒険者協会本部長直々に、お見舞いに来てくれたようだ。看護師さんは改めて一礼し、部屋を後にする。


「あ、知ってる?この施設の利用料、結構いい値でね。ザッと…」


 耳打ちされたが血の気が引いた。テンテキとかいう装置に、血が逆流したかと思った。うそだろ…キュウシェンシュテリァ…我が家の食費数ヶ月分が、僅か30分程度で

急いでここから立ち去らねば!

「今回は私が全額支払うから安心したまえ。何せ私が場を設けたのだからね!」


 天高らかに笑うお偉いさん。ゲントから命の恩人と伝えられていなかったら…堪えろ、堪えるんだ。チキセウ


 一頻り笑い、満足顔の本部ジジイ。この人ほんと何しに来たんだ。


「さて、本題に入ろうか。」


 真剣な顔つきになり雰囲気がガラリと変わる。威厳に満ちたオーラに、思わず姿勢が正される。


「まず、クロードくんから言伝を預かっている。半能力者への失言、私が間違っていた。すまなかった。以上だ。自分には顔を出す資格はないから、と私越しに謝罪するよう言われてね。」


 簡潔。分かってはいたが根は真っ直ぐで、素直で、いい奴なのだろう。彼は他のガヤと違い、ただの偏見持ちではないようだ。元から気にしていなかった為、素直に謝罪を受け入れる。


「次に任務の件だがね、クロードくんのパーティは変異種偵察から降りるそうだ。そこでネモくん、ゲントくん。君達に権利が回ってきた。どうするんだい」


 元々は受ける予定だったのだ、これもありがたく受諾しよう「ただし!」!?


「冒険者協会としては、素直に発注する訳にはいかなくてね。ああ、落ち着いてくれ。君達の言いたいことは分かる。しかし、此方としても二人で受けるのは危険と判断した」


 続けて本部長は説明する。


「というのもね、あれは元々“能力者”向けのパーティ任務なんだ。二人は半能力者な上に、人数も最低条件と来た。将来有望な若者を黙って死地へ赴かせるほど、協会の管理体制はお粗末ではないのでね」


 『冒険者は能力者が成るもの』、この時代共通の暗黙の了解。故に、半能力者のパーティは前例が無かった。


 今回の決闘で能力が戦闘にもたらす大きな差を実感した身としては、黙って引き下がるしか無い。ゲントも間近で見ていたため、唇を噛み締めるだけで何も言い返さない。


「あ、勘違いしないで欲しいんだけどね。君達には絶対に受けさせない!という訳では無いんだ」


 頭上に?が浮かび上がる。


「二人は、ひとパーティの上限人数を知っているかな?うん、四人だ。もう何が言いたいかは分かるね」


 そういうことか。二人で危険なら倍の四人なら容認出来る、そう判断したわけか。頭でっかちという訳では無いようで安心した。

 新たに二人の仲間を加えれば、受けられる。未知との遭遇・経験。強く成る上でこれを避ける道理はない。


 ゲントと頷き合い

「分かりました。四人パーティを組んで受け直します」


 返事を聞いたアリステア本部長は満足そうだ。が、含みのある笑みを向けてくる。あ、これ何かある


「一応言っておくけどね、協会は君達を特別扱いする気は無いんだよ。危険を野放しにするつもりはないからね。期限は明日、日が落ちるまで。新たに”能力者”を二人加えた四人パーティで挑む、これが条件だよ」


 悪戯が成功した!そんな顔だ。このオヤジ…



 本部長は業務が残っているらしく去っていった。無理難題を残して。冗談きついよ本当に


 点滴を終え、お腹はまだ痛むが病室を後にする。本部長からは、完治するまで居て良いんだよと言われたが、悠長に寝ている暇がない。


 この先どうなるんだか。ゲントと二人課題に追われ、ふらつきながら病室を後にする。長い廊下を歩いているの、先ほどの看護師のお姉さんと目が合った。


「あ、ネモくんこんにちは!もう大丈夫なの?怪我には気をつけてね。じゃあね、もう無理しちゃダメよ!」


 お姉さんは微笑み去って行く


 僕は訂正しなければならない。天使はいた

男ってちょろい


この時代の人間、つまり新人類の血液は黒色です。身体能力の変化に伴い、血液は見た目が変わり元の機能より向上しています。

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