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第五話 勃発

なんで4月なのにこんな暑いんだ

春なのに夏の主張激しいて

◯前回のあらすじ

 無事、筋肉とパーティ結成し初任務受諾。したいのに水差す輩が現れた。

=====================================

—皇都中央区・冒険者協会内—

「待って貰おうか」


 任務受諾のサインをしようとした時、背後より待ったがかけられた。なぜ2回も「待った」と言ったのだろうか。一人take2かな?


 振り返ると、長身・金髪・碧眼の三拍子揃ったイケメンと、取り巻きかな?厳つい男と麗かな美人が居た。


「おい、あれってステラ主席卒のクロード・セラヴィじゃないか?」

「後ろの二人は、次席卒のテッサイ桐生と奇才リーナ・フォンターナちゃん!おほぅ」

「将来が期待されたステラの三人衆が、早速お出ましか」


 有名人のようだ。皇都ステラ学園、一流の冒険者や協会関係職を目指すボンボン達の英才教育学校の卒業生か。そういえば今って春だったな、出て来てもおかしくないよね。


「変異種偵察任務は既に此方が受諾している。悪いが他を当たってくれ」


 どうやら受付の方で手違いがあったようだ。先着優先だ、ここは仕方ないか。ゲントを見ると首肯している。うん


「分かった、教えてくれてありがとう。こっちは別の任務を受けることにするよ」


 いきなり声を掛けられた時には不穏な流れを感じたが、何とか穏便に済ませることが出来た。よかよか

初任務に推奨難易度ギリギリをサクッと達成し、協会の評価を破竹の勢いで上げようと思った。


 少し難易度は落ちるが、他にも高難易度の任務はある。さて、これなんてどうだろうか。これもいいな。これなんかも…


「いや驚いた。いきなり半端者なんかに話掛けるものだから、てっきり身の程を弁えさせるんだと思ったぜ」

「それな。てかあいつら変異種偵察って、身の程知らずというより愚者愚者コンビだったな!」


 陰口が息を吹き返して来た協会内、またかと僕とゲントは相手にせず、目の前の洋紙をパラパラと捲る。


 クロード率いるパーティは要件が済み、その場を離れた。賑やかさを取り戻す協会内。何時もの喧騒を取り戻す中、ふとした拍子に始まった、悪口(あっこう)大会にクロードは脚を止めた。


 リーナは急に止まったクロードの背中に顔をぶつけ蹲り、テッサイは無表情の顔に影をを落とす。


 異変に気づいた者は少ない。その場にいた冒険者の大半は、既に話題の男に意識を完全に割いていた。


 僕とゲントはというと、二択にまで絞れどっちにするか悩んでいた。巨体か数か。どっちを選べば強くなれる。どっちを選べば評価して貰える。どっちを


「少しいいだろうか」


 振り返ると先程の金髪男が話しかけてきた。要件は済んだはずだが、何のようだろうか。ゲントも不思議そうに振り返る。すると件の男は切り出した。躊躇いもなく


「君達は半能力者だそうだな。はっきり言おう。冒険者には向いていない、他の仕事に就くといい」


 こいつもか。確かに満足に能力が発揮出来ないと言うことは、それだけ生存率が下がるということだ。武器と戦う意志があれば、同程度の相手なら勝てるだろう。


 それは分かっている。僕らが一番理解している。それでも、僕らには果たさねばならないことがある。ゲントには明確な、僕は思い出せないが強くなる理由がある。


 どういうつもりかは知らないが、面と向かって言われたのだ。陰口を叩く有象無象と違い、きちんと返答しよう。


「悪いけど、そのつもりはないよ。僕は強くなる。その為なら、この程度の逆境、乗り越えてみせる」


 意志は固い。誰に何を言われても、これだけは曲げるつもりはない。


「俺も同意見だ。忠告感謝するが、もう決めたことだ。一度決めたことは最後まで貫き通す!それが、真の漢ってもんだ」


 本当にかっこいい人だ。改めてゲントが相棒で良かったと思う。


「それが何だというのだ。まともに能力を扱えない者が、外の世界に出ても死ぬだけだと何故分からない。人には向き不向きがある。現実から目を背け、理想という妄言を騙るだけなら誰もが出来る。今すぐ冒険者を辞め他の道に進め」


 眼光が鋭くなり、声には少し怒気が帯びたように感じる。なぜ赤の他人に、そこまで言われねばならないのだろうか。自分の人生なのだから決定権は当然自分にあるだろう。


 すると先程まで陰口を叩いていた連中が、虎の威を借りたとばかりに、言いたい放題叫び出した。


 だからといって引き下がるつもりはない。僕は



 僕はもう戻らない



「断る。僕は強くなる!ならなきゃいけないんだ!」


 つい大きな声を出してしまった。場は鎮まり返る。空気が重たく感じるが、心なしかスッキリした気がする。決意を表明したことで、より意思が強固になったのだろう。


 ゲントが頭に手を置いてきた。払い除けようとしたが、がっしりと掴まれている。顔を見ようと見上げたら、ガシガシと頭を撫でられた。

雑だ!髪が寝癖ヘアーみたいにグシャグシャになった!


「よく言った!それでこそ、俺の相棒だぜ!」


 その表情は温かく、何かを懐かしむような柔らかい笑顔でみちていた。は、恥ずかしい。複雑な気分だ。


 こちらの返答を聞き、そろそろ引き下がってくれると思ったが、ゲントとは対照的にクロードの表情は憤怒一色に染まっていた。


「そうか、なら仕方ない。身の程を弁えさせてやる」


 そう言い放つとクロードは、腰に携帯していた刀身が細く長い剣を抜き放つ。


「剣を抜け。言って分からぬのなら実力で黙らせる。そちらからで構わない、かかって来い」


 何がこの男の気をそこまで害したのだろうか。いきなり臨戦態勢に入るクロードに、場は混乱する。クロードのパーティメンバーの二人が諌めるが、当の本人は全く聞く耳を持たない。


 何故こうなった。突然の状況に場は騒然とするが、そこに初老の男性が声を掛けてきた。


「その勝負、この皇都冒険者協会本部長アリステア・ギルクロスに預からせていただけないだろうか」

皇都ステラ学園:皇都の西側に建設された広大な敷地を持つ冒険者・協会職員育成機関。冒険者クラスは入学者の半数が卒業まで漕ぎ着けないとかなんとか。生きて退学する分にはマシですけどね。


次回、やっとまともな戦闘話です!

お肉ツンツンは戦闘ではない

では

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