第二話 急にイベントが起こると目的忘れがち。あると思います。
自分で読み返してみて思ったより分量が短いことに気づく
学生時代、テスト解き終わった後確認の作業を怠った愚者は何処の炬燵だい…
◯前回のあらすじ
子豚丸の横腹を小突いたら、目の前に筋肉が現れた。
=====================================
「少年!否、友よ、名前を教えてくれないか」
初対面筋肉に絡まれた。こいつはさっきの上裸じゃないか。筋肉の歌?を歌いながらゆっくり歩くせいで、面倒なセールスを撒けずに追い回されたんだ。
ちくしょう、あとこっち見んな…名前聞かれてたんだった
「ニク・クラウンデス「ネモ・アムネシアくんか!」
!?」
知られていた。どう見ても初対面ジョウラーのはずなのに、こわいこわいこわい。
「俺の名はゲント八雲!漢の中の漢を目指す…漢だ!趣味は筋トレ!特技は料理!座右の銘は、筋肉は一日にして成らず!きんにくきんにくきん」
どうやら面倒な筋肉に絡まれたようだ。ゲントと名乗る漢は聞いてもいないのに自己紹介を続けている。話の9割筋肉。お前には筋肉が足りないとか語り出した。嗚呼、またセールスに捕まったんだ。ちくしょう
「風乱の角」
突如巻き起こる竜巻状の横槍にゲントが呑み込まれた。忘れていたMr.体脂肪の存在を。竜巻の射線上の地面は削れ砂埃が先程までゲントの居た空間を覆う。
「貴様ら、どこまでこの俺コケにすれば気が済むんだ。許さん。小僧、次はお前だ!「いいや俺だ!!」!?」
砂埃が晴れたそこには、腕を組み無傷の漢が仁王立ち。かっこいいな
「何故生きている!俺の風の角を食らって立っていられる奴なぞこの世に」
男がいい終わるより前に肉の砲弾が放たれていた。疾い。三歩の踏み込みで角丸との間合いを埋めていた。右腕を横に突き出し、角に目掛けて剛腕を振るう。
「必殺!マッスルラリアット!!」
角は砕け、引ったくり男は吹き飛んだ。地面スレスレを飛行し、何回転も地を転げ回りやっと止まった。あれ、ただの脳筋アタックだよな。星力が負けたぞ。角を砕いた剛腕は尚も無傷、どんな筋肉してんだよ。
それから暫くして、騒ぎを聞き付け駆けつけた警備隊にボロ雑巾は連行された。ポーチは無事、持ち主の女性に返しゲントが特に御礼をされていた。解せん。頬なんか染めちゃって、これだからイケメンは…
邪魔しないようこっそりと帰路につこうと、その場を後にしようとするも肩を掴まれる。後方には上裸が居た。
—皇都北部生活区—
飲食店、喫茶店や呉服屋が多く並ぶ落ち着いた街並み、東部と違いこの地区は好きだ。フィジカルのゲントにお米様抱っこされ数十分、僕は飲食店に来店していた。
内装は白を基調としており、花なんかも飾っており子綺麗なお店だ。一見女子女子してそうな見た目とは裏腹に、客足の半数を占めるのはタフガイ。なんだこれ
「マスターいつもの2人前」
入店早々注文を済ませるタフネスのゲント。どうやら僕の分まで注文したようだ。頭上に”!?”という文字が似合いそうな強面が件のマスターなのだろう。
「ここは筋肉のサンクチュアリ、『喫茶フローラ』。マスター、ゴウゾウ花道が冒険者を引退した際に開いた、この世で一番筋肉に優しいお店なんだ」
カオスだ、もう突っ込まないぞ。周りの巨漢達は無邪気に笑いながら料理に舌鼓をうっている。出された料理はどれも彩り豊か、内装からくるイメージ通りのお洒落な品々。ギャップが…突っ込まないぞ。
ふとウェイトレスが視界に入る。華奢で綺麗な大人の女性だ。なんで美しいのだろう。左手に食器30枚、右手にも同様に30枚。軽々と持ち上げ運ぶ様は
…よく見たら眉の辺りがマスターに似ているな。ショートスレスレの思考は野太い声によって、掻き消される。
「お待たせいたしました。こちら、前菜の枝豆と胸肉のブルスケッタです。ごゆっくりどうぞ」
給仕を終えたボディビルダーは奥へと消えていった。もうやだ
コースメニューを堪能し満足のいく食事を済ませ一休み。最初は筋肉に驚かされたが良いお店だ。
お店の清潔感、お客のマナー、お店側の丁寧な接客・対応。筋肉とは無縁そうな一般客がチラホラ来店するのを見受けられるのも納得である。
また来よう、一人で…
と先の予定を考えているとゲントが話を切り出した。この店に連れてきたのは何か話があるから、というのは分かっていた。やっと本題のようだ。
「友よ、その腕を見込んで頼みがある。俺のパーティを組まないか」
突然の真顔。ナイスガイだな、引ったくられ子が惚れる訳だ。さて、パーティとな。なにそれ
「パーティとは、同ランク帯の者同士がチームを組む、冒険者協会公認のシステムだ。ランク帯によって受けられるクエストが違う。実力に見合ったクエストを見繕って貰うわけだから、ランクが低ければ受けられる幅は狭い。しかし、パーティを組むことで一人の時より受けられるクエストが増える。総合的に戦力を判断され、より高い難易度のクエストを受諾出来る」
なるほど。つまり、一人で熟すより効率が良いわけだ。より高い難易度をクリアすれば分割するとはいえ、報酬が上がる可能性は高い上に、より高い実力を見て貰えるんだ。昇給も早まるかもしれない。良いこと尽くしだな。
しかし
「パーティとはいわば一連托生。故に俺は背中を任せられる相棒を探していた。そうお前だ我が友ネモよ!報酬は均等、最悪俺の分は無くてもいい!俺は、昇給しなければならない」
この男が抱えている問題を僕は知らない。それ以前にゲントのことはよく理解出来てない。急にも程がある。だが答えは当に決まっている。
「他を当たってくれ」
昇給なんて鼻から興味がない。こちとら小遣い稼ぎ程度にしか考えていないからな。それ以前に
「半端者か「!?」下らん。能力なんてあくまで実力の一つだ。全てではない」
初めてだ。面と向かって認められたのは。世の中には自身の持つ星座を顕現出来ない能力者が、少数だが一定数存在する。
彼らは、発現出来ない点を除けば、半能力者は能力者と大差ない。しかし、いつの世も多数派が正義であり、少数派は異分子として虐げられる。こんな狭い世界をいつの間にか、当然と受け入れていたことに今気づいた。気付かされたのか。
それに、と付け加え目の前の漢はニカっと笑う。
「俺も半端者だからな!」
—皇都南部後楽区—
夕刻。日は傾き、街は夜の顔触れに切り替わろうとしている。保留にした。心中に変化があったからだろう。明日の中央部で待ち合わせをし、結論を応えると伝え解散した。
濃い一日だった。これは恐らく分岐点だろう、慎重に選択せねば。考えに耽りながら無事帰宅。アツゥ!何だ!火事か!!何があっ
「おかえりお兄ちゃん。遅かったね」
あ
あたしだよ!
このネタ今の子達には伝わらないよね
皇都について簡単に解説しましょう!
北部生活区、東部商業区、南部娯楽区、西部居住区
中央部冒険者協会本部といった街並みです。
異世界系ですと割とありがちですね。私は纏まって結構好きなんですが。
さて、皇都ですが実は日本大陸南東側の端に建てられました。戦後の日本大陸って今どうなっているのでしょうね。そのことに触れるのはいつになるのやら。最悪触れずに終わるかもしれないという。なるべく読者に考えて読んでもらいたい、無駄も極力省きたいというスタンスなので…では