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第一話 妹のち筋肉

サブタイトル…そうかお前居たのか忘れてた


 第三話から本格的に物語が進みはじめます。そういう意味では、最近の小説だとここから二話分をプロローグと感じる方もいるかも知れませんね。

星暦211年―日本大陸、都市皇都南部、酒場ラグーナ―


 「朝の雲雀が鳴く」昨晩読んだ小説に記載されていた小洒落た表現である。鳥なんて生物種は絶滅危惧、人の寄り付かない秘境にしかいない。自然の声で目が覚めれば、どれだけ心地よいだろうか。現実は非情である。突如腹部に飛来した衝撃、耳をつんざく叫び声に意思が覚醒…遠のいてきた。


「お兄ちゃん起きろ!ご飯作って!掃除!洗濯!お客さん来ちゃうよ!」


 これが我が家の朝の雲雀である。朝はダメだ。布団の誘惑が強い。欲に負けたって良いじゃない、人間だもの。あと、こんな朝早くから呑んだくれるオタンコナスどもは捨て置け、邪魔だ邪魔。現実逃避して尚続く、我が家の雲雀目覚まし。


「起きないと…焦け、ブレイ「おはようアネモネ、今日も可愛いね。」美しいの方が嬉しいな!プチブレイズ愛の鞭ビンタ!」


嗚呼、現実は小説より奇なり。



 義妹様の勅命により、可及的速やかに任務を全うした僕に待っていたのは休み…ではなく顔を赤らめ机に伏す、美しいとは生涯無縁であろう爺様達の世話だった。


「アンドレアスのママが逝ってから儂は心配じゃったんだ。看板娘のアネモネちゃんは兎も角、そこなチンチクリンに店をやっていけるのかってな!」


「おうともよ、凡は置いといてアネモネちゃんは可愛いね〜。おじさんの汚嫁と交換してくへへへ」


「酒」


 出たな飲んだくれ三人衆。毎週定休日を除き、朝から晩まで酒に溺れる収入源筆頭キール、マグナ、ジン。アンドレアス・ヴァレンタイン、酒場ラグーナの女主人にして元冒険者。昨年某日、病によりこの世を去った恩人の一人。生前は実の息子のように接してくれた肝っ玉おかん。


「おじさん達、飲み過ぎは身体によくないよ!お酒は飲んでも飲まれるな。ほどほどにね!おにいちゃん月麗酒とヤギュの唐揚げ」


なんて逞しい娘なんだろうか。我が家の飼い主様は日に日に母親に近づいているようだ。月麗酒を運び調理調理調、無い。ヤギュ肉が無い…ウッシ肉もトゥリ肉も切らしてる。あかーん


「アネモネ、すまん肉切らしてた。買ってくる」



―都市皇都東部商業区―


人混みを 掻き分け急し 踠き買わ(ず)

なんとセンスの無いことか。ここ日本大陸には、冒険者本部があるからか、各大陸から来た様々な人が集まる。特にこの商業区の密集具合たるや、暑苦しい。


 横で叫ぶ親父、後ろからしつこく付いてくるヤスイヨーオニサン、前方の上裸。最悪だ。肉は一旦諦め、休憩しようと避暑地へと向かう。


 道中で買ったクルミルクオレを一口。甘いな、悪くない。これ自分で稼いだお金で買ったから、冒険者業で稼いだお金だから!セーフなんだよね。脳内トークで現実逃避、ああ涼しいと休んでいるも束の間、は悲鳴が聞こえた。引ったくりか、多いのよここら。こっち来たよ…


 引ったくり犯の男は此方へ向かってくる。人を隠すなら人の中。一昨日読んだ、人混みから一人を探すだけの絵本から学んだ。あれの何千倍のスケールなんかされたら終わりだ。

こいつは必ず逃げ切れる。

 

 考えごとをしていると、男の怒号に混じり風を切る乾いた音が加わった。星力を使い翠緑色の角が男の額に現れる。角が風を切り、砂埃が舞い上がる。まともに食らえば重症不可避、うん譲ろう。僕は性格に難はあるが比較的まともな思考の持ち主なのだ。無理はしない、5歩下がった。


 男が横を通り抜けようとする時、鼻で笑う音がした。通しはしよう、だがタダで通すのは癪に触る。通行料位はいただこう。


 手持ちの空き瓶を構え、体を捻り姿勢を低く前傾に。ほくそ笑み男が真正面に来た瞬間、引き金に弾かれたように間合いを詰めた。瓶をガラ空きの脇腹に食い込ませる。運動不足の弛み膨よかな感触が伝わる。胸くそ男は真横からの衝撃に耐えられず横転した。快・感!やはり速さ!速さは全てを解決する!


 大事に抱えた高そうなポーチ落っこちちゃいまちたね。よちよち。通行料いただきました!


「おい、貴様!よくも俺様の邪魔をしてくれたな!!」


 目を血走らせ此方を睨むメタボ丸。おじさん、世の中甘くないのよ。さて、ポーチを持ち主に返して買い物に戻るか。右向け右、1・2!


「殺す」


 男の額に再度角が現れる。角は風を纏っており、薄くなった寂しい毛達が息絶え絶えに舞い上がる。瓶を逆手に持ち迎え打とう構えた時


「むん!ッハ!!少年、一部始終見させてもらった。その力量、その器。オレは惚れたぜ!後は任せろッ!」



目の前に上裸が居た。

 お読みいただきありがとうございます。

さて、いきなり始まる未来の話とプロローグを開け、一話を抜けた先には、自他共に認める変人作者による暴露話が待ち受けていました。以下閲覧注意





 まず、この小説ですが四部構成です。

 かつ、現時点で無駄パートを極力書がない予定です。日常多めが好きな方には受けないと思います。



 そして、ネモくんですが


           ーーー死にます。


最終話を迎えるまでには必ず


 この話は割と登場人物が死んでいきます。世の中、都合の良いことなんてそうそう起きないんですよ。


 なぜ、一話目からこんなことを明かすのか。変人だからではないですかね。

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