プロローグ
帝国侵入後、一波乱ありながらも無事帰城したエイジたち。そんな彼らが真っ先に向かった先は自室……ではなく、執務室だ。
宰相執務室。もはや愛の巣と化したその部屋には、もうほとんど職員たちの姿がなかった。よって貸切状態、イチャつき放題なわけだ。勿論、執務室として機能してはいるので訪問者は来る可能性があるし、そんなところで事に及ぶわけもなし。流石にそろそろ弁えるだろう。
「……で、何すんだ。もう夕方だぞ?」
「せめて仕事の分別くらいはしようぜ。纏めて、何から手をつけるか整理しておく。それから、情報共有だ。本番は明日からだものな、そのとき一気に進められるように」
「要するに、以前やってたお仕事とおんなじですわね。慣れたものです、ヨユーですわ」
「じゃ、わたしは自分の部署に戻った方がいい?」
「必要なものはありますか? 資料とか、持ってきますよ」
「いや、ここに残ってくれ。カムイとイグゼも。まず、何から手を付けるか相談しよう」
「全部同時にやればいいじゃないかしら。私達なら、多分できるわよ」
「それでも、一応だ」
「承知いたしました。準備を整えます」
「じゃあ……やるぞ!」
「「「おー‼︎」」」
ここ最近弛みきっていたように見えるこのおバカどもは、久方ぶりの真面目な面持ちに。その気迫はというと、全く衰えていなかった。
口頭指示、目配せ、ハンドサイン……それらを交わして。各個の高い能力と抜群のコンビネーションが組み合わさった、超高効率で仕事を熟し始めた。




