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魔王国の宰相 (旧)  作者: 佐伯アルト
Ⅶ 宰相の諸国視察記 後編
179/291

幕間 淫魔の告白 ①

「あー、ダルい‼︎ やめだやめ、こういう時は寝るに限る!」


 結局あの後、長いこと戦っていたものだから、だいぶ疲れてしまった。癖とか見えてきたとはいえ、彼女らはそもそもの戦闘技術が高く、分かっていても避けるのは難しいのだ。それに加えて、色々と教えることがあったりして、気づけば就業時間。


 そしてすっかり存在を忘れていたレポートに愕然として、今までせっせと書いていたが。プツンと集中が切れたのでベッドにダイブした。


 やる気が起きず、行き詰まったなら一旦横になる。このようにボーッとしていれば、ふと良いアイデアを思いつくことがあるものだ。とはいえ、気を抜き過ぎると寝落ちしてしまうのだが。




 考えるべきは今後のこと。自分の修行は、しばらく必要ないだろう。問題となるのは、ポルトの視察ルートと、ルイス王国との外交。そして、魔王国が今後導入すべき制度など。また、新入りの三人は果たしてどれほど優秀なのか、慣れるのに後どれほどかかるのか、などだ。


 そんなことを徒然と考えていると、案の定眠気が襲う。数日で終わらせると約束してしまった手前、さっさと書き上げないとまずいのだけれど。睡眠を至上の趣味とする彼が眠気に抗えるわけもなく。


 起きているのか、眠っているのか。曖昧な状態でいると、何かの気配を感じる。常在戦場だとか、常に襲撃される状況だとか、そんなモノには無縁な彼だが、力を得てから気配には敏感になっている。特に、魔力の気配については。


 だから、そんなものを感じると、一瞬で覚醒。緊張状態に入ることができた。が、すぐさま警戒を解く。入って来たのは、その必要のない相手だからだ。




 カチャリ、と音が鳴る。どうやら鍵を閉めたようだ。


 その者は出来る限り気配を殺して、エイジのベッドに忍び寄る。ゆっくり、慎重に。ベッドに乗る時も、出来る限り揺らさないように上がる。そしてそのままエイジに覆いかぶさるようにして__


「やあ、こんばんは」


 声を掛けると、その影はびくりと震える。観念して上体を立てると、その姿は窓から差し込む月光で照らされた。


「あら、起きてたの……寝込みを襲おうと思ったのに、夜這い失敗だわァ」


 下から見上げれば真っ先に目を惹くのは、激しい主張の豊かな双丘。女性としての魅力の完成型であるような、黄金比の肢体。扇情的な装束に、人外の証であるツノと尻尾。


 その顔は、不機嫌そうに跨っている者を見下ろしていた。


「相手が悪かったな。他なら失敗しないだろうによ」

「むう……疲れてると思ったのにィ」


 サキュバスであるモルガンは、他人の夢に干渉する能力を持つ。つまり、相手が寝ているか判別することができるのだけれど。インキュバスであるエイジとは能力が干渉して、お互いの状態を知ることができないわけである。


「ふふふ、惜しかったね。ところで、何の用件かな?」

「……わかってるくせに」


 むくれっ面のまま撓垂しなだれ掛かるように体を倒すと、唇を重ねる。舌をも絡めて官能的に、情熱的に、濃密に。煽り立てるように躰を押し付る。それも、自分がここにいることをアピールするかのように。


 そして彼も、その熱烈なアピールを拒むことなく。寧ろ、積極的に応える。舌を、指を絡め、強く優しく抱き寄せる。


「ん……んむ……」

「…………ふ、どうした? 今日はいつにも増して積極的じゃあないか」


「いろいろ、溜まってるのよ。吐き出させてちょうだい」


 どこか翳りのある声音で囁く。一つ一つの動作が、いちいちどうしようもなく掻き立てるのだけれど。ここは堪える。耐えに耐えた先にこそ、極上が待っているのだから。


「いいとも、望むところさ。けど、君こそ疲れていないのかい?」


「さっきのこと? 平気よ。だって、手抜いてたもの」

「おいおい……」


 ちょっと嗜めるような声音はしてしまうけれど。その頭を撫でる手は変わらない。


「ところで、今みんなはどうしてる?」

「他のコのことなんて考えないで。今は、ワタシだけを見て。それに……みんなに催眠をかけて来たから、ジャマされることなんてないわ」


「こらこら」


 コツン、と軽く叩く。とはいえ、良策ではある。察知すれば、彼女らは黙ってないだろうし。


「で、今日は上の気分なのかい?」

「ええ、そうさせてもらうわァ」


 名残惜しそうに触れさせた体を離すと、モルガンは装束の紐に手を掛ける。元より大事な所はほとんど隠れていなかったのだが、解かれたことでより万端となる。一糸纏わぬ姿、とはならず、それが却ってそそるのだ。


 そして相手の衣にも手を掛け、剥いていく。露わになったソレに、直ぐには挿れず、秘部を擦り付け高めていく。


 湿り気を帯び、息は乱れ、独特のにおいが充満する。見つめ合い、触れ合い、お互いに昂って。それがピークに達した時、示し合わせずとも、どちらからともなく情事を致し始めるのだ。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


以下R18

https://novel18.syosetu.com/n6094hb/

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