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7.反撃

「ブレンダ、俺の援護してもらえるか? 奴隷どもを捕まえようと思ってる」


「わかった。無理しないでね。私も得物がないと流石に」


 それもそうか。倒れているのを見つけた時には剣が落ちていたし、ブレンダは剣士ってことだ。

 まあ今の俺ならだれにも負ける気がしないわけだが。



 ……とはいっても、俺以外の筋力強化をした人がどれくらい強いのかは知らない。


 ブレンダも俺と同じようにレイズマッスルを使用していた。

 鎧は脱がされていて肌着しか身に着けていないが、これでも十分戦ってくれるだろう。



「クリス」


「ほいほい」


「助けるから、お前も後で助けるように」


 クリスは困ったように肩をすくめているが、とりあえず邪魔をする気はなさそうだ。


「何を助けるかせめて教えてほしいすけどね」


「人数が多い方がいいこともあるからな。まだ何も決めてねえよ」



 指をぽきぽきと鳴らして戦闘態勢をとる。

 別に武道を嗜んでいなくても、身体能力が格段に上がっていると確信がある以上、ノリでなんとかなるだろ。



「いくぞっ!」


 声のする方に素早く接近して確認すると、20人前後の男たちが複数の薪を囲んでいた。

 半数以上は恐らく毛布に包まって眠っていたようで横になっている。

 

 それ以外は暖を取りながら周辺の警戒をしていたようだったが、俺たちが囚われている牢屋の方にはそこまで注意を向けていない。


 当たり前だ。逃げられないとわかっているのだから。



 音を聞かれても構わない。

 俺は近くの木の幹を掴む。


 すごい、根ごと無理矢理ぶちぶちと引きちぎり、それを薪に向けて投げ飛ばす。


「敵襲だ!」


 甘い甘い甘い!

 敵襲に気が付いたときには俺とブレンダが5人ほど片付けている。

 アニメみたいに首に手刀を叩き込むだけで崩れ落ちるのは気分は晴れる。


 ……正直これで首を切り落としたらどうしようとか思っていたのは秘密だ。


 幹に潰されたのがぱっと見えた時点で数人。そして薪の火が近くの草木に燃え上がったのを必死に消し止めようと水をまき始めたのもこれまた数人。


「あれは……」


 俺を、ブレンダを捕まえたであろう男の姿も見える。

 ナイフを片手に俺に迫ってくるが、あまりにもスローリィだ。


 多分こいつも筋力強化をしているはずなんだろう。

 でも、俺の前と比較したら圧倒的に劣っている。


 ……つまり俺の魔力の出力を抑える首輪をつけていても、俺の魔法は他の人よりも効果が強いということかもしれない。



 ナイフの突きを半身になるだけでかわす。これ、通常スピードだったら多分俺が高速でかわしているんだろうな。

 その証拠に、顔に傷を持った男の驚いた表情がありありと浮かんでいる。



 とりあえず殴ってナイフをはたき落とす。


 骨の軋む音と感覚が少し気持ち悪いけれど、容赦なく腹に拳を叩きこむ。

 まるでスーパーボールのようにバウンドして気に叩きつけられる奴隷商。


「ブレンダ、もう終わったのか?」


 意識のありそうな人を殴って沈めていく途中、ブレンダは山火事になりかけている火を消していた。


 彼女は光源となる光の球体を空中に二つ漂わせている状態で、そこまで周囲を警戒している様子はない。



「逃げた人はいないから、これで全部」


「ありがとう、助かったよ」


 多分俺よりも圧倒的にブレンダが片付けてくれたんだろう。

 特に、俺と違って殆ど戦闘不能で気絶させていないところを見ると、加減もしっかりできているようだ。


 俺の中には拳で骨を破壊したような感触や、めり込む気持ち悪さが残っている。

 因みに始めに殴った一人が一番重傷になってしまった。


「うわ、マジで終わらせたんすかこれ」


「クリスは流石に無事か」


 暗闇になっていたから正直こいつを殴っていないか心配だった。


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