表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】死に戻り魔術姫は勇者より先に魔王を倒します ~前世から引き継いだチート魔術で未来を変え、新しい恋に生きる~  作者: 葵 すみれ
第2章 学院祭

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/217

42.学院祭開始

 学院祭が始まり、魔術都市全体が騒がしくなった。

 いつもは学生たちの街で、全体的に静かな雰囲気なのだが、各地から人々が訪れて賑やかになっている。

 さらに警備員も多く配置されているので、人口が一気に増加しているのだ。


 学院祭は、三日間行われる。

 対抗戦が一番の花形だが、魔術を使用した投擲や速度勝負といった競技など、様々な催しがある。これらは、どれも自由参加だ。

 せっせと競技に参加して賞品を狙うのも、出店を回って買い食いするのも、掘り出し物の魔道具を探すのも、どれも個人の自由となっている。


「対抗戦って、あちこちでやってるんだな」


「本当に……会場も何か所もありますし、どこに行けばよいものか迷いますわね」


 日程表を見ながら、ホイルとレジーナが唸る。

 対抗戦は三日目に行われる、学院主催のものが最も盛り上がるが、一日目と二日目は個人主催のものが開催される。

 貴族や富豪などが賞品を提供して、対抗戦を開くのだ。開催するには事前に申し込みが必要で、日程表にも主催者と賞品が記載されている。

 目的は魔術師のスカウトや、間近で観戦したいなど様々だが、ときには学生の親が我が子に箔を付けさせるために仕組むといったこともあった。


「賞品を見て選ぶといいよ。自分の欲しい賞品に目星をつけて、回るんだ」


「良い賞品だと参加者も多いんじゃねえの? そうなると、負ける可能性も高くなっていくだろ」


 ブラントが助言すると、ホイルがわずかに眉根を寄せる。

 賞品は通常、勝者一名にのみ与えられるものだ。たまに二位や三位まで賞品が記載されているものもあるが、大抵は一位のみとなっている。


「俺、負けたことないから」


 しかし、ブラントは平然とそう答えた。


「ちっくしょう……!」


「まあ、上級生と戦うのは厳しいと思ったら、一年生限定の対抗戦に出てみるのがいいと思うよ。ほら、条件付きのものもあるだろう」


 ギリギリと歯を噛みしめるホイルをなだめるように、ブラントが日程表を指し示す。

 アナスタシアも日程表を見てみると、学年を限定したものや、二人一組といった条件が記載されているものもあった。


「なるほど……先輩はどこに出るんだ?」


「え? 俺と戦いたいの?」


「冗談じゃねえよ! 絶対、それに出るのは避けたいからに決まってんだろうが!」


「なんだ、残念だな」


 言い合うホイルとブラントの姿を、遠巻きに微笑ましく見つめている姿がちらほらとあった。

 ブラントがアナスタシアと二人で学院ダンジョンに行くようになってからも、それは偽装で本命はホイルだという噂は、未だに根強い。


 アナスタシアとブラントが付き合うようになってからも、この噂を訂正することはしなかった。

 それは、ブラントのファンである女子生徒たちへのけん制のためだけではない。アナスタシアにとっても、国元に誰かと付き合っているといった噂が伝われば、好ましくないことになりそうだからだ。


 学院祭も、いつもダンジョンに行く四人で回ることになった。

 ホイルには不本意な噂がより濃くなってしまうかもしれないが、彼一人の犠牲で済むのなら安いものである。


「俺は今回、対抗戦に出るつもりはなかったけれど……まあ、気になる賞品があったらちょっとくらいは出てもいいかな」


「そうだ、二人一組ってやつ、一緒に出てくれよ。先輩と一緒だったら、絶対に勝てるだろ」


 そして、ホイルも自分から噂を増強するべく、動こうとしている。

 隠れ蓑にして悪いなと少しくらいは思っていたアナスタシアだが、罪悪感を抱く必要などないのかもしれない。

 いや、もしかしたら全てわかっていて、あえて自分から被ってくれているのだろうか。そうだとしたら、感謝するべきだろう。


「ほら、これこれ。賞品が干し肉一年分だってよ! 欲しいだろ!」


 目を輝かせて干し肉の文字を指すホイル。

 どうやら深い考えなどなく、ただ賞品がほしいだけなのだろうと、アナスタシアは考えを改めた。


「ええ……それ、人気ないと思うよ……俺は去年、賞品が魔道具のものしか出なかったし……多分、参加者少ないから、普通に勝てる可能性高いんじゃないかな……」


 ブラントは引きつった笑みを浮かべる。

 確かに、干し肉という賞品は魔術学院生の一般的な需要からはずれているだろう。アナスタシアも別段、惹かれはしない。


「でも、二人一組の制限付きなんだよ。六割……いや、七割先輩が取っていいから、頼むよ!」


「いや……一割でもいらない……」


「じゃあ、アナスタシア。一緒に出てくれよ」


 ブラントが嫌そうな顔をすると、ホイルはアナスタシアに矛先を向けた。

 そこまで欲しいのかと、アナスタシアに苦い笑みが浮かんでくる。

 だが、噂のことで迷惑をかけているのだから、それくらいは仕方が無いかと、アナスタシアは頷こうとする。


「それくらいなら……」


「いや、アナスタシアさんをそんな目に合わせるくらいなら、俺が出る」


 ところが、答えようとしたアナスタシアをブラントが遮った。

 そんな目扱いなのかと、アナスタシアは思わず苦笑する。


「やった! じゃあ、もうすぐ始まるみたいだから、会場に行こう!」


 ホイルは満面の笑みを浮かべて、歩き出した。

 その後ろを、ため息を漏らしながらブラントが追う。


「わたくしたちも見学に行きます? それとも、ステイシィには出たい対抗戦があります?」


「ううん、今のところ対抗戦に出るつもりはないよ。レナにも出たい対抗戦がないんだったら、見学に行ってみようか」


 レジーナとアナスタシアも、ブラントとホイルの出場する対抗戦を見物しに行くことにした。

 場所の確認のために、日程表を見てみる。


「主催者がディッカー伯爵……どこかで聞いたような……」


 日程表に記された主催者の名を見て、アナスタシアは首を傾げる。

 はっきりと知っている名ではないが、どこかで聞いたことがあるような気がしたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ