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第五話 青



ジョパン次郎は深く溜息をつきました。


「ドグラマグラ太郎。


また僕たち二人きりになつたねえ。


どこまでもどこまでも一緒にいこう。


僕は傍観者で評価者だ。


人を雑に評価したい。


そのためならば僕の時間なんか。


暇であれば幾らか浪費してもかまわない」


ドグラマグラ太郎は答えました。


「それが自己陶酔の答えかい。ジョパン次郎」


「星2。返事が想定範囲内。冒険心が足りない」


「星は何と交換できるの?」


「気分と交換できる」


「気分かあ。ジョパン次郎。僕そういうの好き」


「だろう」


「星1だとどんな気分と交換出来るの?」


「現実逃避に失敗」


「星2は?」


「想定の範囲内。珍しくも無い」


「星3は?」


「ねぎらい」


「ねぎらいかあ。ジョパン次郎」


「ねぎらいだよ。ドグラマグラ太郎」


「星4は?」


「順当。趣味嗜好の一致」


「星5は?」


「仕方ない」


「仕方ないのか。ジョパン次郎」


「仕方ないんだ。ドグラマグラ太郎」


「とりあえず窓の外の星を見ようよ」


「見飽きた。闇と星しか無いし」


「荒んだねえ。ジョパン次郎」


「だって本当もみんなも幸せも無いんだよ」


「そうかもねえ」


「自己犠牲すら尊く無い」


「わかる」


「荒ませてくれよ」


「3分くらいなら」


「そのあとは?」


「シーつて云う」


「それでも荒み続けたら?」


「不意に耳を叩く」


「こわ」


「窓の外の星。一緒に見よ。ジョパン次郎」


「うん」


「星が沢山あるねえ」


「うん」


「あれ全部僕の星だよ。ジョパン次郎」


「ずるくない?一個くらい僕にもくれよ」


「いいよ。どの星がいい」


ジョパン次郎は窓から顔を出しました。


「あれがいい。あの青い星」


「いいよ。ジョパン次郎。君にあげよう」


「・・・」


「どうしたの?」


「星を所有するとどうなるの?」


「星の色に寄る」


「青色は?」


「最初は気分が良くなるよ。ジョパン次郎」


「うん」


「最後は責任に押し潰され気が狂つて死ぬ」


「こわ」


「あれ『みんなの本当の幸せ』だからねえ」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「どうしたの。ジョパン次郎」


「『僕知らない』つて云つて良い?」


「いいよ」


「僕知らない」


「星1」


電車は揺れます。


窓の外には沢山の星が見えます。


ジョパン次郎は深く溜息をつきました。



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