プロローグ ―災厄の根源―
神はいない
それは、世界中に伝わる神話の存在が証明している
例えば、各神話で、この世界の創造主が異なるように
例えば、「太陽」だけでも、何百もの神が存在するように
そして、神話の内容はどれも突飛で非現実的な内容であるように
神はいない
それは、この世に起きる全ての災厄の存在が証明している
例えば、どんなに健康に気を付けていても交通事故死んでしまったりするように
例えば、大勢の死者を出すと分かっている台風や地震が、起こってしまったりするように
そして、それがどんなに自分を苦しめると分かっている出来事でも、避けることができないように
神はいない
それは、我々人類の存在が証明している
例えば、人類が初めから現在の形で生まれてきたわけではないように
例えば、人類がどれだけ大気を、海洋を、土壌を汚染しようと、天変地異が起こらないように
そして、正直者がバカをみる、そんな世の中が一向に変わらないように
神が人類を創ったのではなく、人類が神を偽ったように
神はいない
しかし
ここに一つの仮説を立ててみよう
それはつまり
人類は、まだ「真の神」を見つけていないのだと
本当にこの宇宙を創ったのは、ビックバンではなく、その神だ、と
あるいは、ビックバンを引き起こしたのは、その神だ、と
また
今までのs分の記憶は、ただの「記憶」であって現実に起こったことではないと
こうも言ってみよう
世界は30秒前に始まったと
あなたが今ちょうど16歳になったとする。あなたが生きてきた15年11ヵ月23時間59分30秒間は、全て幻想だったと。
あなたが今まで見てきた景色、幼稚園の砂場や遊具、学校の校舎や、授業中の風景、放課後に誰もいなくなった教室、旅先で見た自然豊かな山林、海原にかかる大橋、冠雪のある山。
あなたが今まで出会ってきた人、厳しかったお父さんや優しかったお母さん、面倒見の良かった親戚、小学校の頃に引っ越していった親友、面倒くさかった担任、高校時代からの友人、職場の同僚や後輩。
あなたが今スクロールしたのも、「記憶」にすぎない、と
そしてそれを引き起こしているのは、その神だ、と
さっきの話と絡めよう
つまり
先ほど挙げた、「神話」、「災厄」、「人類」の存在は現在認知されている神々の存在を否定していると同時
別の神が存在することを、証明しているのだ
全ての出来事は、この神によって操られているのだ。
これから、この仮説について語っていこうと思う。
少々、長くなるかもしれないが、聞いてほしい
語り始めるにあたって、「この仮説」ではセンスがないので名前を付けておこうと思う
「この仮説」に敬意を込めて
「ヘント神話」と