4 昼行灯になるかもしれない
開き直ってガンガン書こう~。
猫まっしぐらニャー!!
「にじゅう、くにん?」
「木こりが7人で妻が2の子供は3、役所員が俺と妹ともう一人、薬草取りが2人で17人」
ふむ、生活できるレベルで薬草が取れる場所なのか?
「後はこの店の家族3人と冒険者が9人」
「いやバランス悪すぎでしょそれ、経済が成り立たない!!」
子供含めて2人以下で一人の冒険者の費用を捻出し暮らしていける訳がない。
「もちろん無理だよ、普通なら」
キャナルは事情を知っているのか口元がにやけている。
「ここは王国の計画で作られていて、ほとんど援助金だけでやっていけるんだよ」
要約すると、役場で手続きすれば住居は無料貸与。
村の開発に関わる仕事の場合は更に食事と給金も少し出る。
更に木こりなら木を出荷して得た収入は丸々ボーナスとなる。
どうしても生活できなくて犯罪を犯してしまった者も、ここで働いて被害を返済しながら生活を建て直せると言うシステムにするらしい。
犯罪者の管理がまだ出来ないため今居る人達は、事前にその条件で募集して集まった人達だけだ。
そして冒険者や薬草取り等、公共の仕事ではない人達は税金がかからないだけだ。
収入は自分で稼ぐしか無いが公共の施設は利用できる。
「と言っても役場ではすることがないし、風呂とこの店だけだな」
「あれ?ご飯が無料なんですか?」
「いやいや、ここはレストランや酒場じゃないんだよ」
いやどう見てもそれ以外に見えませんが。
「入り口の反対側に雑貨や衣類、裏に燃料とか何でも扱ってるのさ、更に薬草や物品の買い取りもやってるんだがそのサービスを利用できるだけで物は有料さ」
「何でも屋ってわりには看板が・・・」
「ここは空と大地の狭間亭、回りに店ができれば服とか扱いを止めて食事だけの店になる」
ちょっと芝居掛かっているが本気オーラで光ってるな、ライナーさん。
「本当は最初に冒険者ギルドも来る計画だったんだが職員全員が拒否したらしい」
「あたしら新人に練習がてらって事で紹介はしてるんだけど、ここの獲物じゃギルド置くのは普通はしないね」
頭の天辺に空のジョッキを乗せ全く動かさないでしゃべるキャナル。
この子、実は相当腕が立つな。
ちょっと試してみたくなった。
「ちょっとトイレに」
マスターに場所を聞くついでにあるものを注文する。
トイレから戻るとジョッキが2つ置かれてるので受け取り一つを奥さんの前に置く。
チラと目配せをして、そのままキャナルの後ろに回り込み・・・
「おごりだ」
頭の上にあったジョッキを中身の入ったジョッキに置き換える。
直後に奥さんが揃えて伸ばしてたキャナルの両手の甲の上にジョッキを置く。
「なっ!」
まさに悪魔の連携だな。
「しかしなぜこんな場所の開拓に王都が?」
「実はこの山に2つの地下迷宮が発見されたのだが、そのうちの一つが有名な伝承にある深き迷宮らしいんだ」
「なにかその迷宮だと言う証拠でもあったんですか?」
「数人、地形探査のスキルで深さを探ってみたのだが全員が深すぎて解らない、と」
「ふむ、違ってても期待はできるからこの村の規模も納得です」
食料供給は他の町頼りになりそうだが。
「それで万が一の為にあの防壁と門があるのか」
「これ両方水じゃん!!」
ジョッキを両手で持ちながらふくれている・・・
夫婦の連携が破られたとは・・・
「まいった、好きな物たのんでいいからどう抜けたか教えて?」
「やったリンゴ酒っ」
両手を揃えて出した所に奥さんがもう一度置く。
左手の甲を小指側から扇状に持ち上げて・・・
右手に乗って左手フリーってそれだけかいっ!!
「ええと、話を続けても?」
完全敗北気分なので項垂れながら首を縦に振る。
「あの防壁はどちらかと言うと雪崩対策です」
ああ、結構高い山だから雪も凄いのか。
「この前は家が全部埋まって春まで町に避難したのが楽しかった」
「それで半年は防壁作りだけでした」
「やってたのは村長(仮)だけだったけど」
「雪崩の規模も考えて高さ20m厚さ15mなんでまだちょっと不安ですけど」
いやまって全長1.5kmほどあるように見えたけどそれを半年で一人?
「門の細工にこだわりすぎて二ヶ月はそれだけでしたけど」
「四ヶ月であの規模って・・・化け物レベルじゃないですか」
「毎日の積み重ねですから」
有能すぎる・・・バランスを取るために妹がああなってるんじゃないだろうか・・・
「それで人の鑑定の後はどんな仕事を?」
「基本的には担当パーティーの舵取り、ですか」
「冒険のリーダーってことで?」
「いえ、基本的に戦闘の仕事は冒険者だけですが、それ以外の時に指示をしてまとめてもらいます」
「それ以外とは・・・?」
「冒険の依頼が無い暇な時に公共の仕事をしてもらえば収入も待遇も良くなりますよね?」
この人本当に頭がよく回るな。
「今までは王国の役場が決めたルールでやっていたのですが、冒険者の戦力も町の維持には必須なので掛け合いました。土木作業の人員になる犯罪をしてしまった人も来ないから人手が足りないし」
声に力が入ってきた、と思ったら一転おどけるような態度を取る。
「ルールには期間が書いてなかったので一日単位で処理する、それならルールを破ってませんからね」
切れ者過ぎて飛ばされたに一票。
「後、ここら辺りで出てくる獲物では小銭しか稼げないので、ギルドの依頼もこちらで受けられると判断された件は役場で扱う事になりました」
役場、現状仕事が道作りだけだもんな。
「ま、町まで馬車で一日、徒歩だと7日は掛かりますから期間の長いのんびりとした依頼しか来ないでしょうけど」
ほとんど無いんじゃないか、それ。
「この辺りに出てくる獲物ってどんなのが?」
「山に向かって右側が狼、左側はゴブリンかコボルド、だけです」
TRPGで言うところの一番最初のクエストの一番最初の戦闘・・・
「数が沢山出るとか」
村長の顔が引き締まる。
「相手をなめないで下さい、この前もフルプレートを着た戦士が狼3匹相手に数秒で殺されたんです!!」
移動距離:トイレ往復。
だが最後の話題が終われば住居にたどり着いて終われるはず・・・
キャナル思い付きで連れ回してるけど居なかったら説明だけのつまらない物になってるなこれ・・・
感謝と愛情を込めていじくり倒す・・・つもりがあっさり返された・・・
前回の懺悔:ポケ○ンは一切プレイしたことは御座いません。