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お役所冒険者!?  作者: る~にゃん
18/71

17 夜襲

今回さらに長くなってます。

でもどうしても断腸の思いをさせたかったので・・・

なお、今回はメイドさんは無事です。

壁の穴から外を見ながらため息をつくキャナル。

村長が限界近くまで魔力を使って道の様子を見てきた為、これを戻せないまま夜を越す事となった。

何人か交代で夜番をする事になったが、厳正なるコイン投げの結果前半はレイナール先輩とガルド、キャナル、後半はケニー、エリス、ホセトールが付く事になった。

「勝てると思ったのになぁ、せめて同点で振り直し・・・」

最初にキャナルが振って表を半分出して順位的には真ん中なのに最後の一枠になってしまったのだ。

魔力回復の為にレドリックは除外と決まっていたが、一応、と目の前でひとつ上の目を出されてしまった。

落ち込むキャナルを見ていた筈の俺はいつの間にか深い眠りについていた。



「敵襲!!!」

先輩の大きな声で目を開ける。

いつの間に目の前でこっち見て寝てるんだサキ・・・

肩を揺さぶりつつ上半身を起こすと、先輩がまた大きな声を掛ける。

「村長を起こせ、壁を塞がせろ」

村長の方を見てみるとメイドさんが既に揺さぶっていた。

俺は武器は無いが、先輩の近くに寄る。

相手は何だ?一応魔法は唱え始めている。

「どうした?なにがあった?」

「敵襲っ!壁は作れるか?」

「やってみる」

村長の言葉と同時に3匹の狼が穴から飛び込んでくる。

「魔法の矢!!」

俺の魔法は一匹の肩辺りに当たって行動不能にしたが、前に出ていて声を出したので狙われてしまったようだ。

残りの2匹が俺の両足首近くを噛みつく。

勢いで後ろに倒れるが、頭をしっかりと手でガード、倒れたらガードを降ろして首を守った。

「魔法の矢」

ダースさんの魔法は左足に噛みついてる狼の腰に当たったが一瞬噛む力が緩んだだけで離さない。

反対の狼に槍を突き立てたのはキャナル。

胸の辺りを突いてこちらは致命傷だろう、噛んでた足を離してもがいてる。

ガルドが左足の狼の首筋を捕らえて足で背中を踏みつける。

鳴き声をあげ、口を開けたので足を引き抜いた。

「壁っ!!」

村長の魔法でじわじわ下から穴が塞がっていく。

ホセトールがメイスでガルドの掴んでいる狼の頭を粉砕した。

俺が撃った狼を見ると先輩が短い両刃の直刀で首を落とした後だった。

殆ど塞がりかけた穴からかなりの数の足音と息使いが聞こえてきた・・・



「大丈夫か?」

「痛いけどな」

なんとか笑顔を作って軽口で答えるが洒落にならない痛みだ。

ホセトールが回復魔法を唱えるが片足さえも完全に治しきらない。

腱までやられていたか?

「すまん、俺も石壁で魔力使い果たした」

ああ、村長も回復使えたんだった、俺もチート並みの能力欲しかったな・・・

「あの、私も」

魔法を唱え始めたのはアクアだ。

両足がみるみる治っていく。

そういえば魔力多かったんだよな、魔法のレベルもホセより上だったし。

「ありがとう、また助かったよ」

また、と言う言葉に一瞬考えたが笑みを返してくれた。

「しばらくはそのまま安静にしていて下さいね」


背中から誰かが抱きついてくる。

感触で、次に匂いでわかる。

「起きるの遅いぞ」

頭をポンポンと叩き、そのあと撫でてやる。

安心のため息が首筋を撫でる。



「入り口を警戒忘れるな!、冒険者は入り口側に、他は奥に行って寝れたら寝ておけっ!」

先輩が指揮をとり、移動していく木こり達。

「村長も魔力回復のためすぐ寝てくれ」

「努力はするが・・・」

メイドさんに頭を床に押し付けられる村長。

そのまま抱え込まれて抵抗しなくなる。

いいな、メイド布団・・・いや俺も背中にクッションが居るけど・・・


もう少しできることをしておくか。

スキル>生物感知

周りに居る生物がどの辺りにどれだけ居るか立体的にわかるスキルだ。

生物の種類とかは判らないし、敵かどうかも判断されない。

魔法でも同様の呪文があるのだが、そちらは敵意を感知出来たりする上位互換だ。

そんな呪文があるの知らない頃にスキルで取っちゃったのを後悔したものだ・・・

「凄い数が居る、30匹位は居るんじゃないかな」

「わかるのか?」

「ええ、木こりの時に覚えました」

「やっかいだな・・・餌が取れずに人の臭いを嗅ぎ付けて群れが集まったか・・・」

「隣にかなり集まってます」

「食料をやられたか・・・」

先輩の言葉に話を聞いていた者は肩を落とす。

「肉なら少ないがそこにあるじゃろ」

ガルドが指差した先には狼が。

「んじゃ、暇潰しに解体でもしとくかな」

なにかご機嫌な感じのケニー。

見せ場といえば見せ場だが状況がな・・・



「で、どうする?」

「俺ですか?ちょっと待って下さい今考えます」

無茶振り気味です先輩。

取りはこう、準備がこうで・・・

「まず、朝まではチームウルフが番をします」




「レドリックは下よりも上の方が良くないか?」

「それは・・・」


「君、鎧は?」

「ちょっと特殊なのが家に・・・」




「うん、多分大丈夫だと思う。朝村長に確認してもらおう」

「頼むぞ専門家」

「レド以外は徹夜なのだが」

「朝からゆっくり寝れるって」

ケニーは解体に集中していて聞こえてないようだ。

「それでいいと思うよー」

「村長いいから寝ろっ」

数人でハモった。



朝・・・たぶん・・・・

村長ガラス早よ・・・


作戦をもう一度全員で確認し、行動開始。

チームウルフは睡眠開始。

生物感知で様子を探る。

「まだかなりの数がうろうろしてますね」

「まだ待機か」

アベル率いるチームゴブリンが床に座る。

「なんか、パーティー名付けないか?狼に対してウルフとか混乱する」

正直、チームゴブリンってカッコ悪いってのが本音だが・・・

「コボルドの遠吠え」

「脳筋ドワーフ」

「俺がリーダーなんだが・・・」

ホセトールの影が・・・薄くはないが周りが濃すぎるのか。

「だから寝ろよ」

ケニー、お前もな。



「店の中に6匹、周辺・・・大分離れた所、下側の道に1匹」

「そろそろ行けるか?」

「もう少し動きがなければ寝てるかもしれないのでもう少し待ちましょう」

「村長は起こしておくよ」

そう言って先輩が起こしに行く。

寒いのかメイドさんに離してもらえない村長・・・

いいな・・・


その間にチームゴブリンが装備の再確認。

アベルは銅と腰、肘までと膝までの金属鎧、武器はいつもの大剣ではなく木こりに借りた手斧。

ベイリーはフルプレートで頭部はオープンヘルム、武器はいつもの小剣とカイトシールドではなくやっぱり借りた手斧。

キャナルは最初に会った時の部分鎧とスピア。

ダースは茶色のローブと1.8m位のただの棒、まぁ、あえてスタッフと呼ぼう。

エリスは上半身と腰は白く染めた皮鎧、武器は・・・

「その抱えてる水の入った桶は何?」

「店内は弓使えないでしょ?精霊魔法用よ」

うん・・・精霊使う人ってたまに間抜けな物から発動するよね・・・

ランタンからサラマンダー召喚して割ったりとか・・・

水も普段は皮袋や水筒とか・・・って水筒も見た目がアレだよな・・・



「6匹動いてませんね。下の道のも」

「下のは仕留めるか?」

「私がやります」

先輩の言葉に答えたのはエリス。

桶か?桶なのか?

「じゃあベイリー、俺、キャナル、ダースが突入、エリスは仕留めてから来てくれ。仕留めた後に村長頼む」

「いや、俺も行こう。武器も突くのに使える」

「じゃぁ、キャナルの前で」

アベルと先輩が短く打合せし、体を低くし役場の一階へ。

外開きの扉の前に集まる。


エリスが弓に矢をつがえうなずく。

桶は村長が代わりに抱えてる。

そっと音を立てずにベイリーが扉を開ける。

店の正面の扉が・・・きっと狼の重量に負けたのだろう、店の外に倒れている。

村長・・・石材も早よ・・・

そっと音を立てずに外に出てエリスが狙いを付ける。

ヒュッと音がしたと同時にベイリー達が静かに店へ突入する。

エリスは弓を置いて村長から桶を受け取り後に続く。

村長は呪文を唱え始める。

俺も後ろから生物感知の為着いて来てるが、矢は狼の眉間に突き刺さり即死していた。

店から狼が出てきたら囮になるため村長の前に出る。

途端に両側から石壁がせり上がり、店と役場を繋ぐ4m程の壁になった。


しばらくそのまま警戒してると、終わったぞとアベルが声をかける。

「スキルで見ても全滅だな、お疲れ様」

「裏口にあったワンコの糞もエリスが流してくグォッ」

肘でも食らったかな?

でも役に立ったじゃないか・・・桶。

俺の桶も早よ・・・


村長が店に入り裏口を石壁で塞ぐ。

こちらの扉の破片が店内に広がっているので侵入はこちらからのようだ。

「よし、後は食材がどれ程残ってるかだな・・・」

村長、それ言われると腹が鳴るからやめて欲しい。



ライナー店主が食材を確認している間に避難所の屋根に人が通れる位の穴を開けて、ロープを結ぶ突起を作りロープを降ろす村長。

確認の為に登ってみるが・・・ロープってこんなに登れないものだっけ?

諦めて浮遊の魔法で上がった。情けないな・・・

「両側に階段作って外側は閉じ込めたら下の方消すのが安全だな」

村長、いつも負担だらけですまんな・・・


完全隔離施設食堂と売店付きの食堂で朝飯。

チームウルフはまだ寝てる。

メニューは塩味薄めの小麦と野菜のスープだ。

「食材が今日の分で無くなる」

ライナー店長の言葉に全員が動揺する。

「夜に狼を討伐する予定で、その肉で明日を乗りきれる。そしてその後はレドリックが食材を輸送してくれるのでなんら問題は無い」

勝てば、な・・・負けるつもりは無いが。

そして店長も正直過ぎる・・・



木こりの一人が木を運んだロープを上手く編んで2.5m程の縄梯子を作り上げた。

これで外側は階段ではなく上から数段足場を作れば良くなったのは嬉しい誤算だ。

それを避難所の店側と反対側に作る。

内側の階段はすでに完成済みだ。

縄梯子は一本しか無いので引っ掻けて掛け変える。

引っ掻けるための突起が波止場のあれっぽいのでつい足を乗せてポーズしてみたり。

見られたので強度は問題ないな、と誤魔化してみたり・・・




「感知できる範囲では・・・この大きさだと鳥が数羽ってとこですね」

昼過ぎに起きて食事を終えたチームウルフと起きっぱなしのゴブリンズ。

冒険者と引率2人で装備を取りに家へ向かう。

生物感知の範囲的には途中でもう1回、家周辺でも1回必要だな。


無事にたどり着き安全を確認し全員フル装備を準備する。

ケニーが短弓を持っていたのは意外だ。

「ほら、盗賊のたしなみって奴で」

・・・あぁ、つい一般人と言う認識が・・・

他にレイナール先輩も短弓を持っていた。

そして・・・

「レドリック、話は聞いていたがガチ鎧だな」

「男のたしなみって奴で」

「それは無い」

それ、普通のフルプレートじゃなくて騎士の鎧じゃないか?

「矢はこれだけで材料が矢羽しかないの」

エリスの見せてくれた矢は数が少ない。矢羽は尋常じゃない量有るが・・・

「エリスはモフモフ大好きなのー」

からかうキャナルに赤くなるエリス。

「だからガルドが」

口を塞がれるキャナル。

違う、あれはモフモフとは言わない、認めない、絶対にだ!!

「また木に困るのか・・・こんなに周りにいくらでも生えてるのにな・・・」

「切りますか」

斧も家に有るし、まぁ一応生物感知して・・・

「森に結構居るから切りに行くのはダメっぽいですね」

木を切る機会が無いのはなんとなく元木こりとして寂しい。

「なにか木で思い付くものは無いか、50cm位あればいいのだが」

先輩の言葉に思い付く物は・・・

あった・・・

苦渋の選択だ・・・

家に戻ると・・・

断腸の思いでそれを持って来た・・・

「底の部分が丸くなってたりしてちょっと長さが足りないな」

俺の桶生き残ったあぁぁぁぁぁぁぁ!!

スキップして家に持ち帰る。

あれ、これはいけるんじゃない?

「先輩、家の扉ってどうでしょう?」

指を鳴らす先輩。



まだ入居者の居ない家の扉を外すのには・・・数秒だった。

狼の力で抜けちゃうんだもんな、片手でスポッだったよ。

フル装備冒険者は扉を6枚持ち帰る。

「で、どうやって持ち上げるのじゃ?」

言ったガルドに全員の視線が集まる。

「さすがに無理じゃっ!!」

うん、上から残ってたロープで吊り上げました。

まずは前回の予定を覆す事件の勃発。

餌が無くなったわんこ達近くにいたら来るじゃん?

もう少し日数開くのって不自然じゃん?

ごはんの匂いがする所当然荒らすじゃん?

食料事情が本気でやばくなった・・・誤算だ・・・

後、活動報告に書きましたが消えた反動で逆に長くなると言う・・・

そして桶は本気で使おうと思ってたのですが血涙流された気がしたので辞めました・・・今回は♪

名前もそろそろ短縮して行きますが・・・細面だから、ホセと徹を足してホセトールなのは内緒。

ただ、レドリックとレイナールは間違えやすいので怪しいと思ったらご一報を。


前回の小ネタ:食べられるが美味しくない、予定が設定を見直したら料理と言う概念が無い事に気づいて・・・

エルフは植物生食なイメージだし(失礼)キャナルは集中力が・・・

と言う事でヒロイン的ポジはアクアだけに・・・

メイドさんは・・・薄幸どころじゃない美少女ポジ。

そして湯船に誰が一番早く飛び込むかと一瞬考えただけでトラップ設置したくなって実行しました。

だってそれ以外に考えられないし・・・

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