16 十六夜
予告通り夜まで書いたっ♪
4000文字オーバーだけど・・・
文章量の感覚とか全然です・・・
まぁ、今は好きなだけ書くだけっ。
そして開き直ってあらすじに一行追加しました。
天井を直した村長がガルドを連れていく。
つい目を閉じて寝た振りしてしまったが、そのまま少し寝てしまったようだ。
腕を軽くつつかれて起きる。
「ん、あぁ、サキか、どうした?」
答えない、なんかしょげてるな。
回りを見回すとまだ薪作りの途中、片割れの半分位は無くなっているが・・・
「さっきリューン達と隣に行ったんだけどすぐに帰ってきてそんな感じだぜ」
木こりの一人が教えてくれる。
「ごめんなさい、私、あなたの力になれない」
消え入るような声のサキ。
「野菜の皮剥きって言われて・・・」
うん、たぶん無理だな。
「ほんの少しやっただけで、まずは旦那さんに習ってからって追い出されました・・・」
一番ぶつ切り、二番爪で皮を剥く、三番かなり厚く剥いた。
三番まで行かないな、二番あたりか?
「大丈夫、やはりプロレベルの前に基本って事だよ」
まだびしょ濡れの俺の肩に額をつるサキの頭を撫でてやる。
あー、冷やかしうっさい。
ずぶ濡れ勢はカウンター、その他大勢がテーブルで何でも屋での少し遅めの昼御飯。
サキは一番奥でリューンとアクアに慰められている。
逆効果な気がするが・・・
あ、キャナルとエリスも合流?・・・
癒し対ツン気味・・・いやキャナルもたまにトドメ差すから・・・
「これからの予定ですが、雨も小降りになってきたので一旦全員で家まで行き必要な着替え等を取りに行きましょう」
確かに渡り廊下を通った時は小雨とは行かないが普通の雨だった。
「雨で餌が取れない獣がうろついている可能性もあるので冒険者はその護衛です」
物運ぶよりは楽でいいか。
「その後ここに戻り」
「村長、ちょっと良いか?」
木こり頭のマストさんが遮る。
「さっき聞いたんだが温泉までの道を塞いでる木を見ておきたいのだが」
「では、家に戻る前に見て、どうにかできるならお願いします。但し、必ず護衛をつけて集団で動く事」
「つまり鎧も装備した方がいいって事かな」
ホセトールの問いに村長が答える。
「完全装備じゃなくてもいいが念には念だろ?」
泥の服の上に面接の為に磨いた鎧は着たくなかったのだろう。
「夜まではそれ以外に予定が無いので、早く大木の処理が終わったらついでに温泉まで見に行ってくれないか?薪になるものも足りないので目欲しい物があったら冒険者達に伝えてくれ」
明日も運び屋か・・・
「俺は予定通り橋まで飛んでくるので、必ず無理せず安全に作業してくれ。な、ガルド」
さっきの件で小さくなってる。
「そんなに縮こまってたらドワーフになっちまうぞ」
「吠えるなコボルド野郎!!」
別パーティーなのに仲良いな、いや悪いのか?
「じゃ、俺ら着替えてくるから待っててな」
「アベル、忘れ物だぞ」
ホセトールが指差す先には、サキとエリスとキャナルがテーブルに突っ伏していた。
まさか女性冒険者料理全滅なのか・・・ラノベじゃあるまいし。
「仕事だ行くぞー」
アベルの声にゾンビのように立ち上がり、ノロノロと装備の置いてある役場に歩いて行く。
人の味覚がわからないから、とか焼けば何でも食べれるのよとか・・・聞こえない聞こえない。
面接の時の装備に着替えて他の人達と合流し、村長を送り出した後門へ向かう。
雨も小降りになりつつあるし、道はもう普通の雨と同じでただ濡れているレベルだ。
門の先は狭いためチームゴブリンとマストさんと木こり2人で見に行って、他の人とその護衛の為チームわんこ・・・いやウルフが残る。
もちろん先輩は残る方で俺は現場だが。
「この狭さでこの太さは割るのは無理だな」
狭いから横から打ちこめない部分があり、上に乗って作業するには安定感が無くて危険だそうだ。
仕方ない、レドリックに焼いてもらうか。
「無理ですね、山火事になる呪文なら行けるかもしれませんが」
はい却下。
なにか方法は・・・
「転がしちゃえばいいのに」
いつの間に木を乗り越えて道の反対側に行ったんだキャナル?
それを聞いてヒョイと片手だけ使って飛び越えるエリス。
俺もやってみよう・・・って無理だな。
普通によじ登り何とか越える。
裏側から見ると、確かに木を支えているものが大きくても50cm位の石が10個ちょいだけ。
木の重さで土の中に半分近くはめり込んでいるのでもう少し大きいかもしれない。
「と言うかこれ、乗り越えなくても普通に回り込めるじゃんか」
ちょっと怖いが坂側を通ってガルドが退かした石が詰まってた隙間から戻る。
坂はそれほど急では無いので足元さえ踏み固めてしまえば誰でも通れる。
「ケニー、長いロープまだあったはずだからそれでこの木の上の・・・あの木がいい、あれと結んで支えて落ちないようにしてくれ。それと鎧着てるの全員、順番に俺について来てくれ」
木から少し離れて、しかも歩きやすそうな場所を選んで歩いていく。
順番にベイリー、ガルド、アベル、ホセトールがついてくる。
キャナル達より少し先までたどり着いたら・・・
「ここまでを往復してくれ、通ってきた所を踏み固めて一時的な道にしよう」
回れ右して戻っていく4人。
俺は木を再び乗り越えロープで固定の作業を手伝う。
既に大木にはロープが縛られていて先輩がヒョイヒョイと土壁を登っていく。
盗賊スキル持ちなのか手慣れたものだ。
ほいとケニーがロープを投げ受けとると先輩は上の木の方へ、ケニーは別のロープでもう一本固定しようとしていた。
その場所の裏に回るとロープの先端が隙間から少し出てたので、引っ張って合図して上から投げ返す。
戻るともう縛ってあり先輩にロープを投げるところだった。
このコンビ手際がよすぎる。
何往復かすると十分踏み固められたようで、よっぽどの不運がなければ落ちることはない筈だ。
・・・一人は逆にやばいな・・・誰とは言わないが。
先輩と相談して、このまま全員で温泉まで一度行く事になった。
まぁ、すぐ目の前だし・・・
危険物は裾が汚れるからとレドリックにお姫様だっこで運んでもらった。
下通った瞬間、大木が落ちて大惨事とか洒落にならないからな・・・
「チームゴブリンは上の湯本や脱衣所、浴場の安全を確保してくれ。他は周囲の警戒と、石を坂に落としてしまってくれ」
「なるほど、女性の脱衣所は女性冒険者必要ですね先輩」
「施設が無事なら掃除できるならしてしまおう」
そこでピンとひらめいた。
「レドリック、危険物輸送3回とまだ熱放射使える魔力はあるか?」
「短時間なら使えると思いますが・・・」
「じゃぁ、状況によっては頼むよ」
「湯本からの水路・・・湯だけど・・・は手で運べる石程度、廊下は小石と木の枝、脱衣所は泥程度、浴槽は動かすのが難しいが湯船の端なので問題無い岩以外は数人いれば撤去できる程度の石や木と泥か・・・」
よしよし、これならなんとかなりそうだ。
「みんな聞いてくれ、まだ小雨で早く家に帰りたいと思うがここを先に綺麗にしよう」
どこかであがるエーと言う声。
「急いで綺麗にしたら湯を貯めてるうちに着替えを持ってくれば風呂に入って洗った服着て帰れるぞ!!」
あ、それはいいかも、とか風呂入りてぇ、など賛成多数。
「でも雨の中貯め始めるとお湯がぬるいの」
「エリス、我々には最強の湯沸し器があるっ!!」
とレドリックを指差す。
おお、と声が上がるが・・・
「アイテム扱いはひどくないですか?」
「みんなが望んでるし、水相手なら火事にはならないし」
ニヤリと笑うと仕方ないですね、と笑って返す。
やる気になった人がこれだけ居ると片付くのが早い事早い事。
あっという間に綺麗になり、湯を貯め初めてから全員で着替え等を取りに行く。
そして温泉の下の物を洗う場所に集合。
温泉として使っている時はこちらにはお湯が流れてこない切り替え式だ。
「全員居ますね?脱衣所で待っててください。お湯が適温になったらレドリックが声かけます」
ゾロゾロと細い階段を上がっていく。
俺が手を入れてレドリックが熱放射で湯温を上げていく。
こんなもんかな、いやもう少し・・・親指を立てて合図。
「みなさん、準備できました」
同時に湯船に飛び込むキャナル。
「あっつうぅぅぅぅい!!」
「かき混ぜないと真ん中はまだ熱いですよ?」
全身ピンク色で洗い場で転がるキャナル。
ていうか丸見えなんだが・・・
続々と入ってきて皆で足でかき混ぜてから肩まで浸かる。
俺とレドリックも合流、キャナルも無事復活。
「村人全員で風呂ってのもたまにはいいもんじゃのう」
隣のガルドが呟く。
ちょっと狭いけど悪くないな。
「あ、雨もう上がってたんだ」
ガルドの隣の・・・エリスがなぜ隣?
「良い月じゃのう」
「満月は昨日のはずよ」
「なぁに、ちとばかり欠けてる方が美しいんじゃ」
「じゃぁいつも通りに美しくしましょっ」
ガシッとガルドの頭を鷲掴みにして洗い場へ引きずって・・・って男湯側だぞ?
エリスに髪の毛をガシガシ洗われるガルドの図・・・
「なぁ、あれって・・・」
隣のサキに腕をつねられながら目の合ったベイリーに聞く。
「あのボサボサの髪がどうしても許せないらしくてな」
「でも男湯側であれって」
「あれを見てどうにかなるのかい?」
・・・・
「判別不能だな」
「だろ?」
そちらを見ていたサキもつねるのをやめてくれた。
無罪判決確定。
「しかし本当に良い月だな・・・」
「そうか、風呂入れるなら俺も行ってこようかな?」
「もう暗いから木を飛び越えた方が良いですよ?」
「魔力がもう尽きたんだよ」
「じゃぁ、明日ですね」
「俺以外全員で風呂とか・・・」
うん、一つ欠けてたのは月だけじゃなかったな・・・
「大丈夫ですよ、明日は橋への道舗装でしたよね?」
「関係あるのか?」
「最初の崩れた所を直している間、手が空いてますよね?」
「俺も手伝うつもりなんだが」
「まずは温泉までの道を舗装して下さい」
「ああ、その方が色々便利だしな」
「舗装の前に、大木からロープを2本ほどいて、大木の下の土を魔法で削って木を落として下さい」
「ちょっと待て」
「村人危険に晒せませんので、離れた場所で土を動かせる村長以外に最適な人が居ません」
「ぐっ・・・」
「他の人は先に橋方面の作業に、村長は舗装して風呂浴びてから追い付いてもらえば」
「風呂入りたかったなぁ」
「大丈夫です」
手をパンパンと鳴らす。
入ってきた綺麗なメイド服をきた妹が差し出した物は・・・
「着替えは妹さんが持ってきましたから」
本当は温泉で月見て終わりの予定でしたが、割ったり燃やしたり転がしたりぶち壊したりが無理だったので・・・
村長に仕事を押し付けるシーンが追加されました。
本来は割る予定でしたが考えると不自然なので。
今までも結構そう言った事でその場で考え直す事がありますが、おかげで村長無双になりつつあります。
困ったもんだ・・・
序章の小ネタ:まず、村長で今回落とすなら月の下りで綺麗に終わらせなくてもいいのでそのうちやる予定だったガルド洗いを追加。ついでに茹でキャナルも・・・
で、序章で風呂に追いかけて行ってますが・・・もちろん洗われてます。二人きりで。
いつもの下りのドワーフ、コボルドもやっと出せたので。
前回の小ネタ:主にタイトルです。15の○、もしくは十五○なんてのが定番でしたが盗む物も無いし・・・走り出せないし・・・
行き先にたどり着けずに文字数は暴走しましたが・・・
そして水量を先に解決してしまったために、横にならんでバランス取りながらゆっくり降りてくるのが無くなったのでケニーは木を見つけるだけになったと言う・・・