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お役所冒険者!?  作者: る~にゃん
16/71

15 行きはヨロヨロ帰りは重い

最初に予定していたタイトルは「夜」でしたがいつもより長く書いても昼飯前でした・・・

倍位の長さまでむりやり書けばたぶん行けたけど・・・

次回はタイトルも決まってるので夜まで絶対に書くっ!!(フラグか?)

「村長、どうせ橋までの舗装が終わってからの話ですし、雪が降るまでに9番の端からここまで一本作ればいいんですから」

考えるのを後回しにさせないと皆が動けない・・・

「階段だって曲がり角に一ヶ所作って後は支柱だけにしておけばなんとかなりますよ」

「そ、そうだな。皆、このプランで進めてみたいと思うがどうかな?」

「いんじゃないすかー?」

「うむ、見てみたいな」

「王都より凄い村になりそう」

「馬車が走り回っても安全なのは子供連れには嬉しいです」

・・・辺鄙な村にそれだけの馬車が来るかは・・・無いな・・

「ではこの方向で試してみる事にします」

ショッピングモール風ど田舎村(温泉付き)・・・まいっか・・・


「では一旦終わりとして、丸太調達組は誰を連れていく?」

「腕力からアベル、ホセトール、ガルドと・・・やはりベイリーとケニーかな?」

「俺腕力無いっす」

わかってるよケニー・・・肩をポンと叩く。

「中央でバランスを見る人は必要だろう」

盗賊能力だぞ、能力値がバランス取れ過ぎって意味じゃないぞ。

そして勿論嘘です、ダースさんよりはマシだからです・・・

「マストさん、向こうにロープとか有りますか?」

「何本かあるがなるべく短くはしないでくれるか?」

「切らないようにお借りします」

はぁ・・・いざ今からと思うとやはり気が重い・・・

「諦めて行こうか」



「こ、これはキツいぞっ」

「先頭のワシはもっとキツいんじゃっ!!」

「俺とか膝まで水かさあるしっ」

「うわっ」

「おっと気を付けろよケニー」

流されかけたケニーをホセトールが捕まえて立ち上がらせる。

俺の組んだ順番で少しずつ坂を上っていく。

ガルド、アベル、ベイリー、俺、ケニー、ホセトールだ。

ケニーは俺に捕まらせてたが足を取られた。

膝までの急流は大人でも流す。

「おいっ、木がまるごと流れてきたぞっ!!」

細くて枝が多い木か、燃やす所は無いな・・・

「いかん、直撃じゃっ!!」

頭や顔を腕で庇い通過するのを待つ。

「よし、全員耐えたようじゃの」

くそ、腕がザックリ切れた・・・

「今度は石じゃ・・・あ、離れてったわ」

「木の根かと思って受け止めたら土の塊じゃったわい」

「泥かと思ったら石じゃった!!ちょっと痛かったのぅ」

盾役軽く考えてたがグラン、すまん。

「見えてきたが丸太見当たらんぞっ」

うわここまで来て最悪の展開。

「取りあえず丸太置き場へっ」

横にずれて置き場を見てみる。

丸太らしき物は無いが・・・

「道から7番の土側に進もう、道ほど流れは急じゃないっ」

役所の前から登る道は防壁の切れ目に続いている。

山からの水が防壁に沿って流れて切れ目から一気に村に流れてたのだ。

石でも普通に転がってくる訳だ。

道をそれて土の上へ踏み出すガルド。

「少しめり込んで歩きにくいが水嵩は道より低い。足が抜けなくなる事も無さそうじゃ」

「そのまま進みましょう」



丸太置き場の屋根の下にたどり着いた。

作業用のロープは屋根から何本かぶら下がっているが地面には石と泥しかない。

腕で額の汗をぬぐう。

「ツバサ、腕切れてるぞ」

ホセトールが近づいて魔法をかけようとする。

「俺はいい、ガルドは大丈夫か?」

「わしは全く怪我なぞ無いぞ」

「あれだけ物がぶつかってて無傷かよ」

「鍛え方が違うわいっ」

ホセトール、やっぱり頼む実は結構痛い。

回復魔法で血は止まったがうっすらと傷跡が残る。

「これどうしよっか」

ペイリーが途方にくれる。

「ちょっと待っててくれ、今考える」

ここの道以外はこんな川みたいになってないじゃないか・・・

「ここの門って扉とか塞げないのか?」

「あぁ、ただの飾りで扉は無かった」

アベルが答える。

確かに、この外に露天風呂があるが記憶に無かったな・・・

「防壁の設計ミスじゃないか、水が全部入って」

「あれ?温泉の反対側は下り坂だから流れ込むのおかしいよな?」

言葉を遮るケニー。

「それは確かにおかしいな」

反対側を覗き込もうとしてガルドに腕を捕まれる。

「おいおい、ワシの出番じゃ」

「リーダー置いてくつもりか?」

「ドワーフに美味しい所をやれるかっての」

「うっさいわコボルド野郎!」

「ほいよっ」

ケニーがロープを投げてガルド、ホセトール、アベルの身体をを命綱として繋いだ。

「流れが変わると一瞬で身体持ってかれるから作業一人で二人はこちら側に引っ張ってください」

「わかっとるわいっ」



股下より上の急流は一歩進むのもものすごく時間がかかる。

数分か十数分かわからない頃にようやく声が聞こえた。

「木よりはこの岩じゃな」

「その大木はさすがに無理でしょう、一人で行けますか?」

「ちとやってみるから引っ張っててくれ」

「土木工事はドワーフまかせっと」

「うっさいわっ」

「おりゃっ!!」

「ちとすべった、もう一回う、お、りゃぁぁ!」

ゴロゴロとドドドドと混ざったような音が鳴り響く。

「見たかっ!!」

「良いからこっち来いドワーフ!!」

「好きで行かない訳あるかっ!!水がキツくて流されんのが精一杯じゃっ」



どんどん水量が減って足首位になってから他のメンバーも現場に行く。

道の奥山側から手前の谷側に太さ1.5m程の巨木が横たわっている。

「これと防壁の間に一抱えもある岩が塞いでおっての」

ダムになっててこちらに水が入ってた訳だ。

「この木は持っていくどころか動かすのも無理だよね」

ベイリーの顔までの高さだもんな・・

「でもこれで村に流れる水は解決したんじゃないか?」

「後は燃料ですね・・・薪はどうしましょう?」

わかってるホセトール、ちょっと現実逃避をしたかったんだ。


門をくぐり丸太置き場へ・・・

4本の柱と屋根だけなのによく耐えたな。

「おい、一本あったぞ!!」

防壁にピッタリとくっついて泥だらけになっていたが確かに丸太だ。

門から入った水が丸太置き場で壁向きの流れになって押し続けていたのだろうか?

とにかく助かった。


ロープを更に2本拝借し、輪っか状に結び丸太の下を通して二人で肩にかける。

それを先頭と真ん中よりやや前側、最後尾よりやや真ん中側に3ヶ所6人で声を掛けて歩幅を合わせてゆっくり運ぶ。

水に浮いていたので下を通しやすかったがそれでもみんな泥だらけだ。


避難所の横壁が20cm位の水避けを残して2m程綺麗に無くなっている。

何でも屋までの屋根は既に出来ていた。

泥の付いた木の表面を洗ってから中に運び込む。

レドリックがご苦労様、と声をかけてから乾燥作業に入る。


「村長、ひどい目に遭いましたよ」

役所のカウンターに居た全員で事情を説明したりグチを言ったりした。

「そうか、門の横に物が詰まらないように対策させてもらうよ、すまなかったな」

「で?受け付けちゃんは?」

ベイリーメイドフェチ疑惑。

村長の手前、カウンターに突っ伏してるね。

「朝の会議でみんなが絵を見た時あったろ?」

俺の書いた奴か。

「そん時にスカートだけ踏まれてたみたいで靴の形に泥だらけ」

気づかなかったのか・・・


「と言う事で伐採した丸太はもう無いと思うので、別の方法なにか無いですか?」

どうせやるのは俺らだけどな。

「まずはその太い倒木の撤去を昼食後にやりましょう。最悪、レドリックに燃やしてもらう方向で。その先に丁度いい倒木が有るかもしれませんし」

レドリックもずぶ濡れ確定。

「お昼まで休んでて下さいね」

休みたいが俺達ずぶ濡れなんだが・・・

「まだ熱放射してれば乾くんじゃね?」

ベイリーナイスだ、急いで行こう。



・・・もう薪にする作業が始まろうとしていた・・・

それでも床に残った温もりを味わいたいのでベシャリと寝転ぶ。

「あれ、なんで手斧とかみんな持ってるんだ?」

手ぶらで避難してきたはずなのに。

「さっき村長に相談したらレイナールが取りに行ってくれたんだ」

先輩も知らない間に色々やらされてるんだな・・・

さぼってる気がしてならなかったが。


カンカンと平べったいノミの様な物を木に打ち込む作業をぐったりと見ていると、突然目の前に木のコップが置かれる。

顔を上げるとメイドさんが何か言っているが全然聞き取れない。

ありがとうと大声で言ったらニコリと笑顔を返してくれた。

後で聞いた話だが、乾きやすい樹皮の部分を先に少し貰いお茶を入れてくれたらしい。

指先にじんわりと熱が伝わるのも嬉しい。

ありがたくゆっくりと口内に流し込みながら見送った。

足跡だらけのメイドさんを・・・


数人で真っ直ぐ一列にノミっぽい物を打ち込まれていた丸太がビシッと音を立てる。

手を割れた所に掛けて皆で上半分を転がす。

さすがプロだ、上手いもんだな・・・

「その割り方って太い木でも出来るかな?」

「太さと道具で限界はあるな。ここじゃ太い木は切っても使えないから割る必要もないんだ」

「扉とかテーブルとか使えそうだと思うけど」

「大工も家具職人も居ないここでか?」

笑う木こりの人。

「ベイリーの身長位の幅の木は無理かな?道塞がって困ってるんだ」

「マストさん、どうっすか?」

「斧で割れ目作って長細い石をハンマーでブチ込みゃ割れなくも無いが見てみないとなんとも言えんな」



「面倒なことをしておるの」

ガルドが自分の武器の斧を担いで来た。

「ちょっとわしにやらしてくれ」

手に唾をかけ木の端で構えるガルド。

手を止めて離れる木こり達。

「せいっ!」

斧が降り下ろされるとガンとビシッと両方の音を立てる。

木の半ばまで一気に割れたようだ。

斧から手を離し、真ん中近くまで行きひょいと乗っかると体重で真っ二つに割れた。

称賛を送る木こり達。

上機嫌でもう片方も、と床から斧を引き抜き・・・振りかぶる。

ん?斧が振りかぶった時に向きを変え・・・

ドゴンッ!!



斧が当たった場所は粉々に砕かれ、反動で跳ね上がった木の反対側は避難所の屋根をぶち抜いていた・・・

「ありゃ」

ありゃじゃねえって・・・

「まぁ、これで切りやすくなったわい」

止める間もなく斜めに振りかぶり・・・

うん、今度は真後ろから見れたのでよくわかった。

刃が途中で向きを変えている。

これでは斧、と言うか刃物として機能しない。

なるほど、これで鈍器スキルと言うことか・・・

ドガン!!

斧の当たった所から真っ二つに木が折れ、衝撃で屋根を更に破壊してから落ちてくる。

「なんの音だっ!」

丁度扉を開けた村長が硬直していた。


流れのある川を移動するのは実体験です。

膝まででも流れが早いと耐えるのがやっとで転んだら起き上がれない。

腰までだと浮力も働いて足に踏ん張りが効かない。

胸下まで行くと完全に浮いちゃうので・・・立ち泳ぎですよ。

なんで駐車場の警備員でそんな経験してんだか・・・

そしてガルド無双回だったので以前落ちで使う予定の斧で殴り砕くシーンまで。

屋内に場所が変わって余分な仕事が・・・なにげに不幸兄妹と化してきたかも。


前回の小ネタ:人員確認とかするべき立場の兄に忘れ去られて酷い目にあい、色々して反省したと思った矢先の「これ」扱い・・・

メイドさんの気持ちになった瞬間全力腹パンしてました。

Mじゃありません、普通の人ですからってのを見せるためと称しておいて・・・

集団でフミフミしてみましたっ♪

歩道関係は知識ないのでおかしい点はあるかもしれません。

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