12 M
タイトルでremember付けるか迷いましたが・・・
って書いてる時点でちょっとネタバレじゃないか・・・
一階に置いてあった食料を仮説避難所の中に運び込む。
やることが無くなって動きを止めると一気に冷えが回ってくる。
タオルや毛布類は夏に注文したのだがまだ届いて無いらしい。
俺達はまだ濡れたままだ。
暖炉のある部屋の女性陣ももうそろそろ交代してくれるだろう。
それまで身体を休めたい。
一階の床も水の侵入等でまだびしょ濡れだ。
二階ならせめて腰を下ろせるだろうか・・・
「うわっ」
上がって回りを見回すとすでにみんな真っ裸だった。
服を絞って身体を拭いて寒さが回らないようにしたらしい。
それに冒険者男組も加わって、正直直視したくない状況だ。
階下から声が掛かる。
「終わったから交代だよー」
服と下着を持って我先にと階段を降りていく肌色の集団・・・
キャーキャー悲鳴が上がる。
「避難所の扉閉めるまで少し待ちなさいっ!!」
女性陣に追い付いてしまったらしい・・・
俺も急いで行かなきゃっ。
そして暖炉のある部屋の前に佇む村長と・・・
ゴブリンパーティーの小柄な重戦士ベイリーとケニー、レドリック。
「どうしたんだ?早く入らないと・・・」
無言で扉を開くベイリー。
入り口まで筋肉の塊がみっしりと・・・
「入る?」
「無理、嫌だ、風邪引いた方がまし」
即答。
入り口側に風が吹き付けているのか、ドンドンと木の扉に何か物がぶつかっているような音が続く。
風は強くなっているようだ。
裸の男5人はひたすら待ち続けた。
階下からオーイと呼ぶ声がする。
降りていくとライナー店主が顔を出し、新たな試練を告げられた。
「薪が燃え付きそうなんだが予備はどこだ?」
まだ初秋、食事も作らなくていいここでは・・・村長に聞いたがやはり無かった。
「店の厨房の釜の前に一束あるんだが・・・」
「わかりました、まだ濡れてる5人のうち誰かが再び濡れましょう」
決戦は二階にて。
押し付けあ・・・会議で決まったのは運勝負。
コインを3枚投げて表の出た数が少ない奴が行く。一人で。
薪はなるべく濡れないように、女性用の服を店から拝借してくるんで持ってくる。
サキの服が面接用のキッチリとした服なので、楽な格好にさせてあげたいから女性用にしてもらった。
給料から天引きで・・・
いざ勝負っ!!
「おーい、火が消えたが乾いたので交代じゃぞ」
・・・薪に火を付ける時間って結構かかるよね・・・
「すまんな、暖炉誰も見れる場所におらんかったのじゃ」
想像したくない。
改めて・・・勝負!!
ケニーとレドリック2、村長とベイリー1。
やばい、流れ的に俺0とかじゃ・・・3枚!よっしゃ抜けたぜ!!
「俺村長だしっ、戦士の方が力あるからまかすっ!」
「村人を危険に投げ込む村長がいるかっ!」
まず村長3。
「マジかよぉぉぉぉ」
ベイリー2、おしい。
「くそっ!」
潔く立ち上がるベイリー。
「待て待て、その格好のまま行くのか?」
「また服を濡らしたくねーし、どうせ外には誰もいねーし」
確かに。
「じゃぁ、暖炉の部屋で待ってるぜ」
ケニー、ラックも平均で良かったな。
「あれ?扉がなんか重いんだけど」
小柄とはいえ戦士が押しても開かないとかないだろ・・・と押してみるがびくともしない。
「マジだ、皆頼むっ」
裸男5人で力一杯押すとズリズリと石を引きずる音がする。
石と言うか岩だな。
力一杯押すと一気に転がったようで外に倒れ込む5人。
そこにあったのは60cm程の岩、実物見るとデカイ石だなこれじゃ。
そして・・・
膝を抱えてうつ向いて動かないメイドさんだった・・・
息はある。
ベイリーが大急ぎで薪を取りに行っている間に、中に運ばれ緊急事態だからと裸の男4人に裸にされるメイドさん。
・・・はさすがにアウトなので暖炉の部屋に運ばれて村長(兄)が脱がせた。
ベイリーが持ってきた服を着させて、薪はレドリックが熱放射で一気に加熱して燃やした。
ケニー、平均的って幸せだよな。
こんな岩が他の人が避難した後に偶然転がって入れなくなるとかあり得ないよな・・・
「やっぱ受付ちゃんすげえや・・・」
ベイリーが呟いた。
俺が扉を押さえてメ・・・受付ちゃんを背負った村長を通す。
普通の服じゃメイド感が無くて・・・
「あれは誰ですか?」
「あれ?受付ちゃんなんで?」
「・・・服が違うと判別しにくいですね」
「あたしも居なかったの気づかなかったけどさ、あはは」
エルフの人間識別能力対睡眠不足で寝てたかもな人の会話・・・
「まだ冷たいですね、暖めましょう」
「サキすまん、服はメ・・・受付ちゃんに回した」
「じゃぁ今度新しいの買ってね、仕事用のドレスを」
山火事のせいで財布まで火の車になってしまった・・・
そしてサキ、床に座らせて背後から何しているんだ?
「人肌で暖めてますが?」
そして手招きをし、木こりの子供とライト兄妹を呼ぶ。
手足を4人で揉んだり擦ったり始めた。
いつの間に手懐けたんだ?
「あたしもやる~」
お腹を枕にして寝転がるキャナル。
いや、一瞬で寝た・・・
そして受付ちゃん、サキ、足元にキャナルと包囲されかけたリューンは逃げ出した。
青いな、リューン。
村長がフラフラとやって来て近くに腰かける。
「避難の時のマニュアルとか作らないとダメだな」
「避難の設備と備品や消耗品とかもですね」
「まさか一人足りてなくてしかも妹だとは思わなかったよ」
「どうせ暫く暇ですから皆の意見も聞きましょう」
「そうなりそうだな・・・」
・・・
「後、ガラス作れませんか?」
「他の魔法覚えたかったけどそれが良さそうだな、最優先にするよ」
「どんな魔法覚えようとしてたんです?」
「ネジとか釘打っても割れない石の作成」
「あー・・・」
やっぱり気にはしてたんだ。
雨は更に激しさを増しているようだ。
やばい、ノリで変更した魔法が大災害・・・
しかもこれ孤立集落確定だし食料問題とか洒落にならんぞ。
飛べるの一人居るけど住民全員の食料一人で調達とか無理じゃん。
書いてる猫も村長並みに頭抱えてるのは内緒。
だからうっかり朝すぐになんて人の居そうもない場所に居た誰かに伝え忘れても仕方がないよね。
前回の小ネタ:ルーン使う魔法って光るのカッコいいから家名をライトにしてみた。
ライト兄妹って・・・副産物ネタ。
そして雨の中逃げようとして扉が開かずに下手に出た方が良さそうだと。
リューンはかなり頭回りますよ、青いけど。