プロローグ
初投稿です。至らない点が多々ありますが少しでも読み進めていただけるととても嬉しいです。
気象庁から梅雨明けが発表されてから数日が経ち、強すぎるほどの陽射しを真上から受けている町のその1軒。配送されてきた荷物を前に笑みを深める青年が1人。
「ふふっ、ようやく……ようやく届きましたね。」
はい、どうも私です。
自己紹介がまだですね。久賀 愁17歳、高校2年生です。お菓子作りとロマンが好きな普通の高校生です。
さぁ、リビングで可愛い妹と一緒にこれを開封しましょう。
「杏里、届いたよー。一緒に開けよう。」
「うん、一緒に開けようね、兄。」
静かで綺麗な声が返ってくる。身内贔屓かもしれませんが、妹の杏里は容姿でも性格でも1等級だと思うのです。綺麗な顔立ちに涙黒子、肩甲骨辺りまで伸ばしている黒髪が合わさって清楚系美人そのものです。こんなに可愛い妹を持って、兄は幸せ者ですよ。
「楽しみだね。」
「そうだね、サービス開始は14時から。そして今は13時30分。あと30分が待ち遠しくてたまらない。」
「ふふっ、兄は本当に楽しみにしてたからね。
もうアバターの方向性は決まってるんだろうね。」
「前衛特化で頑張ろうと思うよ。
皆もそろそろ準備をしていたりするのかな。」
そんな会話をしながら開封作業を進め、今私たちの目の前にあるのはVR用のヘッドギアとゲームのパッケージ。
そうです、配送されてきた荷物とはそう、VRMMOゲームの筐体とソフトです。世界初のVRMMOと言うジャンルのものであったため、予約数が多すぎて追加生産をすることになり、結果この時期まで発売が遅れたのです。
【リベルタ・オンライン】LOと略されて呼ばれるこれは、自由度を徹底的に求めたゲームであると開発元の企業が宣伝した通りに戦うもよし、生産をして商売を楽しむもよし、趣味人として生活を楽しむもよしという十人十色なプレイができるとのことです。
「まずはヘッドギアだけど……バイクのヘルメットみたいだね。」
「……そうだね。デザインは…ちょっとだけど、そのぶん機能面がすごいんだよきっと。」
「うん、そうだよね。
それじゃあ次、LOのパッケージだね。」
そこには巨大な竜に対峙する戦士・騎士・魔法使い・シーフの姿が描かれていた。
「いいね。進めていけばいずれこういうこともあるのかな。」
「そう考えると余計に楽しみに思えてくるね。ねぇ兄、早く準備をしようよ。」
「それじゃあ、それぞれ部屋で準備を始めよう。
ゲームで会おうか。」
「うん。アバタークリエイトの件、忘れないでね。」
「大丈夫、しっかり覚えているからね。」
それから部屋に戻り準備を始める。とはいってもヘッドギアにLOのソフトを挿入して頭に被って横になりスイッチを入れるだけという手軽さなのですぐに終わってしまった。
部屋に入ったときには13時55分だったのでもうすぐ始まるでしょう。さて、精一杯楽しみましょうか。
少し待ったあと、ヴゥゥンという起動音と共に意識が飛んだ。