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特別配達人舞衣  作者: 東都新宮
0~1キロ:就活
5/38

0.5キロ

0.5


「お帰りなさい、どうだった?」


 帰るなりお母さんのはそう訊いてきた。

 まだ結果が出てないのに……


「来週くらいに……」


「次も駄目だったら、もう出ていってもらうから」


「そんな……」


「仕方ないでしょ」


 うん、仕方ないのかもしれない。

 お母さんの期待を裏切って、今まで落ち続けているから……それに現在までにかなりお金が掛かりまくっている。

 そんな穀潰しを家に置くわけにはいかないのだろう……


「せいぜい、期待だけはしなさい」


「はい……」


 結果が出るまでの一週間、私は緊張の連続だった。

 いつ電話が来るのだろうか。

 手紙で不採用が来るのだろうか。

 落ちていたら、家を出されてしまうし、ここ以外に家がない私は、野宿か最悪死ぬしかないかもしれない。

 それだけは嫌だ……

 早く受かってほしい……

 落ちていないで……

 お願い……


「舞衣、電話よ」


 ちょうど試験から一週間の時、お母さんから受話器を渡される。

 今まで私に電話が掛かってきたことなんて殆ど無い。それってもしかして……

 私はドキドキしながら電話を取る。


「もしもし……」


「私は世界鉄道交通事業、総務部総務課のムソウです。国府津舞衣さんでよろしいでしょうか?」


「はい……」


「早速ですが、試験の結果をお伝えします。……国府津さんを採用することに決定致しました」


 その瞬間、暗いままだった私の道は明るくなっていった。

 同時に達成感が私を支配していっている。

 これで……なんとか……


「本当ですか!?」


「はい……」


「ありがとうございます……!ありがとうございます……」


 電話が終わるまで私は感謝しかしていなかった。

 それくらい嬉しかったのだから。

 こうして私は、世界鉄道交通事業に就職することになったのだった。

 聞いた話では先輩が一緒に仕事をしてくれるらしい。

 どんな人なのかな……?

 怖い人だったら、ちょっと嫌だけれども……

 私は先輩の姿を想像しながら、働くその日を待ったのであった。

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