7.4キロ
7.4
「とりあえず、俺は猪谷トウヤ。ゼゼと一緒に仕事をしている」
ソファでトウヤさんが苦笑いをしながら自己紹介をしました。
さっきのことがあったからだと思うけど。
「それで、どうしてゼゼ達は舞衣の家を訪ねてきたの?」
質問をしたのはメルザスさん。
たしかに、私のことや家なんて知らないはずなのに、どうしてこの家に来たのでしょうか。
「メルザスがここにいるって聞いたからですわ」
それなら納得する。
でも、メルザスさんは私の家の場所をどうして知ったのだろうか。
もしかして彼女の家って案外近いのかもしれない。
「そうなの。だったら、どうして私を訪ねて来るのよ」
「同僚がどんなのかを見てみたいからね」
私を見てみたいなんて、少し嬉しい。
少しどう見えるか訊いてみたいという気持ちになる。
「そうなのですね……では私はどう見えますか……」
「率直に申し上げますと、気が弱くて何もできなさそうですわ」
ゼゼさんに本当にそのまま私の悪いところを言われてしまった。
自覚しているけれども、人から言われるとかなりくるものがある。
「うっ……」
「でも、何か大きなことをしてくれそうな感じもしますわ」
「えっ……」
私が何か大きなことをする?
こんなに気が弱くて臆病な私にはできるはず無いのに。
「舞衣を持ち上げるのね」
「あら、メルザスはけなし続けているの?」
「ええ。でも、私のパートナーだからゼゼには渡さないわよ」
メルザスさんってたしかに、色々と罵ってくるけれども、私を時々褒めてくれるから、ずっといてもいいのかな。
ゼゼさんでも一緒にできそうだけど。
「勿論ですわ。舞衣さんはメルザスのものですからね」
「じゃあ、お茶を飲んだら帰ってね」
「分かりましたわ。舞衣さん、今度は仕事で会いましょう」
こうして見るとソファに座ってお茶を飲む姿のゼゼさんって、なぜか優雅でさらにお嬢様の感じを出していた。
メルザスさんの真逆みたい。
だって彼女は、そんなに丁寧じゃないから。
まあ、丁寧な所もちゃんとあるけれど。
トウヤさんの方は少し緊張しているみたいで、なんとなく私みたい。
でも私よりも強そうで悪い人を倒しそうかな。
うん、頑張らないと。
「お茶、美味しかったですわ」
「いい淹れ方しているみたいだな」
帰り際、ゼゼさん達が嬉しそうにお茶を褒めてくれました。
淹れたかいがあります。
「あ、ありがとうございます……」
「では、今日はこれで失礼しますわ」
「また今度な」
ゼゼさん達は帰りました。
また来てほしいですね。
とりあえず、残ったのは私とメルザスさんだけです。
「メルザスさんは……帰らないのですか……?」
「もうこんな時間。私もそろそろ帰るわね。また明日来るわ」
明日も休みだからって、また来るなんて。
すこしは私1人でゆっくりさせてください。
でもこんなことを言ったら、怒られそうなので思うだけにしておく。
「じゃあね」
「はい……」
メルザスさんも帰りました。
やっと1人になれたと思ったら、急に眠気が。
たしか寝ようとしていたっけ。
そうしたら、メルザスさんが来て……そんなことを考えているうちに、眠気はさらに強まってきました。
「ふわぁ……」
耐えられず、私はベッドで横になって眠りにつきました。
今日は色々あったけれども楽しかったし、これはかなり眠れそうですね。




