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特別配達人舞衣  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)
7.1~8キロ:同僚
34/38

7.4キロ

7.4


「とりあえず、俺は猪谷トウヤ。ゼゼと一緒に仕事をしている」


 ソファでトウヤさんが苦笑いをしながら自己紹介をしました。

 さっきのことがあったからだと思うけど。


「それで、どうしてゼゼ達は舞衣の家を訪ねてきたの?」


 質問をしたのはメルザスさん。

 たしかに、私のことや家なんて知らないはずなのに、どうしてこの家に来たのでしょうか。


「メルザスがここにいるって聞いたからですわ」


 それなら納得する。

 でも、メルザスさんは私の家の場所をどうして知ったのだろうか。

 もしかして彼女の家って案外近いのかもしれない。


「そうなの。だったら、どうして私を訪ねて来るのよ」


「同僚がどんなのかを見てみたいからね」


 私を見てみたいなんて、少し嬉しい。

 少しどう見えるか訊いてみたいという気持ちになる。


「そうなのですね……では私はどう見えますか……」


「率直に申し上げますと、気が弱くて何もできなさそうですわ」


 ゼゼさんに本当にそのまま私の悪いところを言われてしまった。

 自覚しているけれども、人から言われるとかなりくるものがある。


「うっ……」


「でも、何か大きなことをしてくれそうな感じもしますわ」


「えっ……」


 私が何か大きなことをする?

 こんなに気が弱くて臆病な私にはできるはず無いのに。


「舞衣を持ち上げるのね」


「あら、メルザスはけなし続けているの?」


「ええ。でも、私のパートナーだからゼゼには渡さないわよ」


 メルザスさんってたしかに、色々と罵ってくるけれども、私を時々褒めてくれるから、ずっといてもいいのかな。

 ゼゼさんでも一緒にできそうだけど。


「勿論ですわ。舞衣さんはメルザスのものですからね」


「じゃあ、お茶を飲んだら帰ってね」


「分かりましたわ。舞衣さん、今度は仕事で会いましょう」


 こうして見るとソファに座ってお茶を飲む姿のゼゼさんって、なぜか優雅でさらにお嬢様の感じを出していた。

 メルザスさんの真逆みたい。

 だって彼女は、そんなに丁寧じゃないから。

 まあ、丁寧な所もちゃんとあるけれど。

 トウヤさんの方は少し緊張しているみたいで、なんとなく私みたい。

 でも私よりも強そうで悪い人を倒しそうかな。

 うん、頑張らないと。


「お茶、美味しかったですわ」


「いい淹れ方しているみたいだな」


 帰り際、ゼゼさん達が嬉しそうにお茶を褒めてくれました。

 淹れたかいがあります。


「あ、ありがとうございます……」


「では、今日はこれで失礼しますわ」


「また今度な」


 ゼゼさん達は帰りました。

 また来てほしいですね。

 とりあえず、残ったのは私とメルザスさんだけです。


「メルザスさんは……帰らないのですか……?」


「もうこんな時間。私もそろそろ帰るわね。また明日来るわ」


 明日も休みだからって、また来るなんて。

 すこしは私1人でゆっくりさせてください。

 でもこんなことを言ったら、怒られそうなので思うだけにしておく。


「じゃあね」


「はい……」


 メルザスさんも帰りました。

 やっと1人になれたと思ったら、急に眠気が。

 たしか寝ようとしていたっけ。

 そうしたら、メルザスさんが来て……そんなことを考えているうちに、眠気はさらに強まってきました。


「ふわぁ……」


 耐えられず、私はベッドで横になって眠りにつきました。

 今日は色々あったけれども楽しかったし、これはかなり眠れそうですね。

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