5.4キロ
5.4
3号車
「ご乗車ありがとうございます……お手持ちの乗車券・特急券を拝見致します……」
やって慣れてきたというのもあって、喋りは少しだけ上手くなっている。
まだ緊張はしますけれども。
「号車ごとに喋り方を変えていない?」
「そうですか……?」
「……さあ行くわよ」
「はい……」
私は1号車2号車と同じように切符を見ていく。
この3号車における最初のお客様はお年寄りの女性でしたが、普通に切符を見せてくれたのでスタンプを押して終わりました。
私にとってはこれで良いですけれどね。
その次のお客様は、白衣を着た学者の女性です「。
恐らく、学術都市と言われているケンバラシアまででしょうね。姿からみたかなり決めつけですけれども。
違ったら怒られそうですけれども。
「お客様……乗車券と特急券を拝見出来ますでしょうか……?」
「これね、はい」
渡された切符はやはりケンバラシアまででしたが、この女性が持っていた特急券は指定席券でした。
しかもこの列車です。
間違えたのでしょうか。
席番号は合っているので。
「メルザスさん……」
「どうしたの?」
「これ……」
私はメルザスさんにどうすれば良いのかを尋ねました。
しばらく彼女は悩んだ後……
「ならちゃんと言いなさい」
「分かりました……」
「あの……お客様……」
「どうしたの?」
「こちら指定席特急券ですけれども、こちら自由席です」
「あら?間違えたわ」
「もしよろしければ、この特急券に書かれている6号車のお座席へご移動いただいてもよろしいでしょうか」
「そうね、移動するわ。6号車はどちらに?」
「あちらです……」
「じゃあ」
女性は6号車の方へ歩いていきました。
今度は間違わないで行けるといいですね。
次のお客様は若い男性のようです。
渡されたのは今度も指定席特急券でしたけれども、指定されている列車が1本前でどうやら乗り遅れてしまったようですね。
この場合は同じ日の自由席には乗れるようにはなっています。
「乗り遅れちゃったんだ……乗れるかい?」
「はい、大丈夫ですよ……ありがとうございます……」
スタンプを押して返します。
この号車における後のお客様は全員が普通に持っていて、スタンプを押すだけで済みました。
さあ次の号車は指定席です。
私達が切符の拝見を行う最後の号車。
ちょっと雰囲気が変わりそうで変わらないかも……




