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特別配達人舞衣  作者: 東都新宮
0~1キロ:就活
2/38

0.2キロ

0.2


「また落ちたのか。国府津こうづは」


 先生の声が怖い…

 そりゃあそうだろう。50人居るクラスの中で、私だけがまだ進路が決まっていないのだから。それに下手をしたら、責任になってしまうのかも……


「はい……ごめんなさい……」


「じゃあ、これからどうしたいんだ?」


「鉄道会社に就職したいです……」


「まだそう言うのか。ここまで落ちているのだから、いい加減路線を変更しろ」


 確かに先生の言うとおりだ。

 こうして何十社も落ちているのに、鉄道会社にこだわるのはやめた方が良いかもしれない。


「でも……」


「とりあえず考えろ。今のお前に望みはない」


「はい……」


 トボトボと職員室を出て、教室へと戻ることに……

 私には黒い闇が目の前を支配している……


「あっ、舞衣!」


「バルジ」


 クラスメイトのバルジが私の前に。

 どうせからかいに来ているのだろう……というよりも、それしか無い……


「就職先は見つかった?」


 やっぱりこれか……

 私を見下したいのだろう……


「いえ……」


「やっぱりね。こんな暗くて弱っちい舞衣に就職先なんて決まらないんだよ!」


「痛っ……」


 今度は脛を蹴られた。

 とても腹を殴られるよりもかなり痛い……


「私はアウタミ商会へ就職が決まっているのよ」


「そうですか……」


 彼女が大手の就職先を言った所で、私には関係がない。

 だって私の事を優先しないといけないから。


「せいぜい見つけなさいよ。どうせ無理だけれども」


「はい……」


 ここでなんとか言ったって、またひどい目に遭いそうだから何も言わないことにする。

 私が悪いんだ。

 何一つ取り柄がないから……

 就職先が決まらないから……

 とりあえず、教室へ行こう。


「はあ……」


 ため息が出てしまった。

 これで今週に入ってから何回目だろう……


「おはよう……ございます……」


 教室のドアを開いて、入っていく。

 一瞬、クラスメイトは私を見つめるけれどもすぐにいないもの扱いに。

 だって、私の机には花瓶と花が。

 私は死んだような扱いにされている。

 もう慣れてしまっているけれども、正直慣れてしまったのはいけないのかもしれない……

 だって、私は死んでいるようなものと言っているみたいだから。


「さあ、授業を始める」


 先生が入ってきた。

 一応私は見てくれているけれども、すぐに同じような扱いをする。


「……であるからして」


 授業が始まった途端、ゴミとなった紙くずは私に向かって飛んでくる。

 私の机はゴミ箱みたいな扱いもされている。

 誰もいないという扱いだから、そんな風にされているのかも。

 早く終わって、帰りたい……

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