1.5キロ
1.5
「舞衣……舞衣!」
「あっ……はい……!?」
私は大声によって、無理やり起こされてしまった。
なんで今までで最も気持ちよく眠っていて、まだ眠っていたいほどかなり眠いのに、誰が起こそうとしているのだろうか……
「誰……?」
まだぼやけている目に眼鏡を掛けて、見てみると……
「バルジさん……!?」
クラスメイトが私を見ていたのだ。
しかも私はあの檻の中に居た。
もしかして、列車に乗ったのは死ぬ前に見た夢だったのかな……?
あの黒髪の少女に助けられたのも、幻だったのかな……?
だとしたら……
私は……これから……
「気持ちのいい夢は見ることが出来た?」
「ええ……貴女たちに起こされなければ……ずっと見ることが出来たけれど……」
「あら?そんな事を言えるようになったのね」
彼女たちの表情は、さっきまで笑っていたのが、私がちょっと嫌味を言った途端に、怒ったようなものになってしまった。
しまった……
言わなければ……
「じゃあ、また眠りにつきなさい」
「えっ……?」
途端に警笛が聞こえた。
見ると、遠くから汽車が見えているのだ。
このままでは私は列車に轢かれて、命を落とすことになってしまう……
誰か……助けて……
「やだ……死にたくない……」
「良いわよ、その絶望的な表情。素晴らしいわね」
「そんな……」
「じゃあ、バイバイ」
その瞬間、私は高い警笛が耳に入ってきて、そのまま列車にぶつかった時の強い痛みとともに、意識を失ってしまったのであった……
ああ……夢なら良かったのに……
私が最期に思ったのは、それだった……