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特別配達人舞衣  作者: 東都新宮
0~1キロ:就活
1/38

0.1キロ

0.1


『残念ながら、期待に添えない結果となりました。今後のご活躍をお祈り申し上げます』


 また来た、不採用通知。

 内定という電話も来なかったし、そんな感じだったということは分かっていた。

 これで何社目だろう……

 25を記録して以降、数えてすらいない。


「はぁ……」


 思わずため息をついてしまう。

 泣きたいとは思わない。

 今までずっと落ちてきているから、こんなのは既に慣れてしまっている。

 落ちた原因は何だったのだろう……

 面接だったのかな……それとも、適性検査だったのかな……

 なんにしても、お金を無駄にしてしまった……


「どうだったの?」


「あ……あの……」


「どうしたの?早く言いなさい」


 お母さんが結果を訊いてきました。

 私は驚いてしまいます。

 こんな結果、言いたくないですけれども、言わないとさらに痛い目に遭いそうだから、言うことにする。


「お、落ちました……」


 なんとか小さめの声で伝える。

 すると、お母さんはみるみると顔を真っ赤にしていきました。


「どうして、舞衣まいはこんなにも駄目なのよ!?」


「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……」


 私はいつものように必死で謝るけれども、何度も同じことをされているお母さんの怒りは全くおさまりそうもない。

 やがては私の胸ぐらを掴んだ。


「貴女なんて引き取らなければ良かったわ!」


「きゃっ……」


 そのまま壁へと叩きつけられて、背中に強い痛みが。

 睨みつけたいけれども、お母さんの顔なんて見ることが出来ないし、もしも睨んだらもっとひどい目に遭いそうで出来ない。

 早く終わってほしい……


「ごめんなさい……ごめんなさい……」


「早く、就職先を決めなさい!この役立たずが!」


「はい……」


 なんとかお母さんの怒りは終わったけれども、涙が出てきてしまう。

 悲しいからかな……


「ううっ……」


 今まで慣れているはずなのに……これを克服しないといけないのに……何故かずっと涙が止まらなくなってしまう。

 止まって……止まって……


「まだ無いているの?」


「ご、ごめんなさい……」


 涙を流しているのをお母さんが見て、叱ってきた。

 私が泣いているのが嫌いみたいだから。

 早く涙を止めないと……


「これから、どうしようかな……」


 なかなか就職先が決まらない……

 どうしても鉄道会社に的を絞っているからかな……

 人気だから。

 それでも受けたい……

 だって、子供の頃からの夢だから。私が鉄道会社で働きたいと思っているのは。


「痛っ……」


 お腹に痛みが。

 この前殴られた所がまだ治っていないのだ。

 早く治さないと……


「とりあえず……」


 私は学校へ行くことにしよう。

 もうそろそろ学校へ行く時間だから……

 それに先生にいい会社はないかと訊くため……

 だけれども、ここまで落ち続けている私に、良いアドバイスとかは貰えないのかもしれないけれども……

 それでも鉄道会社に入りたい……

 自分でやれるんだったら、見つけたい……

 けれども、そんな気力は無い……

 正直、学校に行きたくない……

 痛い目に遭うのは嫌だ……

 けど、行かないと……


「はぁ……」


 ため息が出てきてしまう……

 それでもなんとかして、就職先を見つけないと……


「駄目かな……」


 もしも駄目だったら、こんな人生終えてしまおう。

 それが良いのかもしれない。

 こんなにいじめられる人生なんて……

 私はそう思いながら、家から10分程の場所にある学校へ。

 どう言おうかな。

 不安でしか無い……

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