第1話
書きだめすれば毎日更新出来るかな:(´◦ω◦`):プルプル
喜べば良いのか、悪いのか彼女は僕の隣の席だった。
もちろん、彼女に見惚れたのは僕だけではない。
同じクラスの男子はもちろん、他クラスだって話さえ来ていれば、彼女を狙っている男子だって生まれるだろう。
そんな彼女は誰にでも……どんなに陰気臭い僕にでも。
「よろしくね」
明るい。
僕には眩しすぎるくらい明るい光を向けてくる。
「よ、よろしく」
こんな笑顔、見せられたらどんなに暗い世界でも、明るく見えてしまう。
勘違いをしてしまう。
「ねぇ君……」
「は、はい!」
突然声をかけられたぐらいで動揺するのは僕くらいだろうか。
「仮面の裏側って知ってる?」
「!?」
僕は一時期、ネットのサイトに仮面の裏側と言う小説を投稿していた。
そう彼らに破かれたものだ。
「その反応は知ってるってことでいいよね。私はね。あの本を書いてる人が悲しいなって思ったんだ。」
「書いてる人が………悲しい?」
僕は唖然としてしまった。
聞いたことがなかった。
僕は小説を書くのが苦手だ。
どうしても先に感情だけが前のめりになる。
感情だけをぶつけた、ただの子供の作品。
「今、アレを書いている人が居るなら伝えてあげたいことがあるの」
その人物は君の目の前に居るよ。
そう伝えることは多分、一生無いだろう。
だからこそ、君は僕に何を伝えたいのか気になった。
だから恐る恐る尋ねた。
「そ、それは?」
僕は思ったのだ。
彼女はみんなと同じ、下手くそだとか、やめとけとか、否定されるだけだと思った。
だけど僕は知っていたのだ。
この短時間で。
「頑張れって。多少気持ちが前に出るのは仕方ないことだから何度も何度も読み返して間違えを見つけて、修正していけば、最高の作品になるって」
彼女はそんなことを言う人ではないと。
「ふふっ。あはははは」
「え?な、なに?」
「そんな反応したら君が作者ってバレバレだよ?」
どうやら僕はいつの間にか涙を流していたらしい。
冷たい雫が頬を通り床へと落ちていく。
慌てて涙を拭くももう手遅れ。
完全に彼女にバレてしまった。
「案外世の中狭いね〜」
彼女はどうして仮面の裏側の作者が僕だと分かったのか聞いてみた。
そしたら……
「秘密」
って誤魔化された。
彼女は一体何者なのかとても気になった。
だが彼女は僕がどういう心境でいるのか全く気にもせず先ほど同様、明るく挨拶をする。
「よろしくね、有村君」
「よ、よろしく。く、黒澤さん」
彼女は満足げに微笑む。
外を見るといつもある真っ黒な世界だった筈の空は、見るも眩しい明るい太陽の光を放っていた。