とんだ贈り物
智穏は特殊犯罪課の扉を開けた。これは事件が解決しそうな予感がするのだ。死神が動くはずだから。アナウンサーの余計な一言で。
「佐伯琢磨が動くと死神が動く。総理大臣として生きるか殺人鬼として生きるかを選んでいるようなものだからな。」
「智穏、情報を全てそろっているぜ。何時動いてもいいんだけど。」
雅也がファイルを見せた。調べものはやっぱり得意なのだなとしみじみと思った。和翔は暇そうにパソコンをいじっている。
「内閣府にフリーメールが届いたって。死神だからここに送られてきたんだよ。きっと、もう死神も限界なんだよ。」
佐伯琢磨
死を望んでいなければこの契約を結ぶことがいいのではないかと思う。あんたは危機感を持っていなかった。それだから人の死に対して心無い言葉が数々と浮かんでくるのだと思う。大切なものを間違えてしまったとテレビでも告白したら殺さない。道連れにフリーアナウンサーを殺すこともできる。あんたが間違った決断をしたと告白しなければ、あんたが人殺しの総理大臣であるとばらしてやる。我々にもたくさんの覚悟はある。むしろ、あんたよりもあるかもしれないな。汚染された国に生きていると感じてしまっているから除去しないといけないな。決断を急ぐといい。
死神
「強行策だな。死神は知っていた。人殺しをしていると。手も穢れているのにその手で外交とするのかと思うとぞっとするな。」
「署長に佐伯琢磨を出すように言ってきてくれ。優唄。潤紀は一課長が訪れているから良く思わないだろうからな。」
優唄は特別急ぐ様子は全くない。相手としてとらえていないのだろうから。うわべだけの会話かもしれないが脅し方は知っているから任せられる。
「死神は僕の知っている人間であるのは確かだ。もう手を汚してほしくない。それだけが願いだ。」
「潤紀。佐伯琢磨にかかっているからどうにも言えないのが事実だ。簡単に決断しない人であるのはわかっているつもりでいるが・・・。」
「智穏、佐伯琢磨は絶対出てくる。マスコミに叩かれているし、死神が誰を狙っているかも週刊誌がばらしてしまっている。」
週刊誌が取り上げたのは真実に近かった。逃げることばかりしてきている。内閣自体も不振に思ってしまっている。壊れるのをわかっているのは嫌と思っているのだろうか。遅すぎる。一体何人死んでからの決断なのか。自分のことを考えていたと宣言しているようだ。政治家はそんなバカげた仕事をするのは嫌だ。もっと人、他者優先に考えていかないといけないものだ。




