ボスの試案
一課長という立場に悩んでしまっている梅津は署長室に向かうことにした。情報を欲しがるのはわかっていることでもあるからだ。裏切り行為のように映ることは分かっているのに独立した行為ばかりしているのだ。広いだろう部屋に向かって2~3回ノックした。
「誰だ?まぁ、入ってくれ。」
扉を開けると署長が偉そうに座っている。これでは部下が信頼するはずがないと思った。権威がすべてだと勘違いするのだから。
「署長はそんな行動をとっていると特殊犯罪課から差別的行為を取られるのですから。特殊犯罪課は警察の鏡だということは貴方は嫌というほどわかっているでしょう。」
「君は特殊犯罪課をよくわかっているだな。君は二松の父親であることが誇りだのだろうか?」
「特殊犯罪課を作れたことが誇りなんですよ。そこに付け加えるようについてきたのが二松潤紀が息子だってことなんです。」
一課長は淡々と優しく語った。潤紀を捨てたときと同じ後悔はしたくはない。寂しい背中が見えたから。
「貴方は子供を捨てたことはありますか?あれほどの人生においての後悔はしたくないんですよ。俺が欲しさばかりが上に上がったんです。今、潤紀のことを特殊犯罪課のことを一番に考えるほうがいいんですよ。」
「梅津君は何処かからそのような意地の悪い言い方を覚えたのかね。失礼ではないか。」
署長がコーヒーカップを叩く音とこぼれた黒い液体が散々としていた。圭吾には響いてこなかった。だって羨ましいことではないから。
「貴方は隠し子を殺したことはないでしょうが、人殺しの端くれであることは特殊犯罪課がわかっているし、証拠もあるはずです。相宮の親を殺したのでしょう?」
「どうしてその情報を?」
「潤紀から聞きました。相宮が調べてあった資料に載っていたということです。それに貴方に言ったこともわかっていますから。どんなに守るものが小さいものでも正しいものは肯定しないといけないと思ったんです。被害者もいる課はつらさが異常にわかってしまうんですよ。」
黒いシミがワイシャツにしみこんでいる。欲望が充満している。うるさいほど。
「君も左遷されてもかまわないと思っている。馬鹿だな。特殊犯罪課なんてふざけた遊びは潰してやるさ。」
「できませんよ。」
雅也が割り込んできた。
「俺たちの裏には奥村貴志がいるんですよ。内閣府のボスといわれているのです。」
「奥村貴志がいる?」
驚きしかないのだ。署長にとっては仇であるのだから。交番にすり替えることがいいのでは行動したのだ。
「貴方を別の会社にいたが、公務員試験を受けさせて裏で左右したのは欲しがった佐伯琢磨でしょうね。」
真実は何時かかつのはわかっている。奥村貴志はずっとどこかで揺さぶることのできる天才が背後にいることが今、ありがたい。




