違和感の歯車
和翔は周りを見渡した。1人足りないと思ってしまう。ただ心配とか考えることはない。入院したとかじゃなくて休みと取らせたから。
「潤紀。一課長と会談か。久しぶりに親子で飲んでくればいいのにさ。死神は必ず姿を現すから。」
「そうはいかないよ。優唄も雅也も仕事してるんだ。」
「俺は別に大したことはしてないよ。ただの情報整理だけだ。雅也だってつながる事件を見つけたからどうにかと悩んでいるだけだよ。」
優唄が風のような声で言った。紙をいじっているだけのような感じがした。4人でいるのは何処か寂しいと思ってしまうのはあの人が残していく雰囲気だろうか。
「智穏はすごいよな。ホシが分かったら別の事件に首を突っ込むじゃないか。普通、そんなのできないよ。自信がないからかな。」
「あいつの場合は経験だろう。どんなに嫌な経験が含んでいるとしてもな。能力が受け継ぐものであることは遺品で分かっているはずだろうな。」
親の遺品には一体どんなものが混じっているのだろう。親戚がすべてを残したのは愛された印を見せるためだったのでは・・・。そこにはきっと探偵をしていたため事件とかは必ず資料にしているはず。
「智穏がもっている遺品が何かしらの証拠が書き残されていると考えるほうが普通だろうけどな。日記とかあるわけないか。」
「子供のために残すはずだ。同じ能力であることがわかっているのなら苦労を書き残した。そして家族の中に才能と呼べないものを受け渡しになってしまうため、子供として生きているのは智穏だけだとしたら。」
日記は死んだときのための共感を得させるためのもので幹治がした後悔をさせないための道具。何時か忘れるための道具。
「日記は案外キーワードかもな。死神につながる。けどあいつは見せたがらないはずだ。」
4人は悩まされるばかりだ。親が残したものを遺品を全て知る人物などいないはずだろう。幼少の頃に過ごした場所を覚えているのだろうか。そんなことはしないだろうか。嫌な場所に立ち替わってしまったのだろうか。
「和翔。たった数日の休みを取らせるのに苦労した人の過去を掘り起こしてる。あと1日だけ猶予があるから優唄に頼んで相宮家に行ってもらおう。」
「智穏の実家とも言えない場所に行くのか。そうでもしないとあいつが隠しこんでいることが見えてこないからだ。」
親の心を見ることがなかった。遺品を大切にするはずだ。たとえかえって来ない日々が詰まっているとしても。ホシを理解するなんて抱えている闇をどこかで隠すためではないか。復讐なんて馬鹿げている。分かっているはずだ。いくつもの事件を見てきた人だから。




