理不尽
梅津圭吾は特殊犯罪課のドアの前にいた。タブレットには5つの項目しか出てこなかった。潤紀を指名した。息子ではあるが最近は会っていない。佐伯の関係を知られた今会うべきかと頭の隅で悩んでいた。この日まで会うことができなかった。ドアの開く音がした。
「久しぶりだな。潤紀。」
「そうだな。屋上へ行くのだろう。コーヒーを買いたいんだ。いいだろう。」
自販機コーナーでコーヒーを買って行った。圭吾は緑茶を買った。飲みなれた味に飽きてしまったのだ。屋上は小さな空間になる。ベンチに座る。
「相宮の名前がなかったけどなんかあったのか?」
「いいや。和翔が休ませた。此処数年休んでなかったからな。死神の事件が重荷になってないといいけど。」
「お前知ってるのか。相宮が探偵の息子だってこと。」
潤紀はコーヒーを開けて飲んだ。上着から封筒に入った紙を出した。
「内緒だよ。優唄と和翔が調べたんだ。死神と関わっていると結論も出ている。幼い頃の出来事もすべて。それは見つけることができると。」
「探偵として生きてきた相宮の両親は正しいことは分かっていた。そして利用されることも。警察は民間人を利用するだけ利用して捨てたんだ。」
圭吾は紙を見た。櫻野ではないと聞き出せないことがたくさんあった。年少の頃、小さな大会で野球大会でバッターをしてホームランを出した。大葉はデータによって見つけたのだろう。
「探偵として生きる道しかなかったわけではないと知っていたはず。幹治は両親も同じ能力をもっていたこともわかっている。たいていは会社勤めをしている。起こることがわかっているのを知っているため、恐れながら。」
「あの血筋は相宮と名乗っている家庭が最後か?」
スチール缶を足でけった。寂しい音が鳴るだけなのだ。
「そう。先祖が何かをしていてそれでわかった能力らしい。探偵になったのは家族から離れるためだった。子供にも受け継ぐことになったら嫌だからって。」
相宮はきっと生きてる意味を探して警察に入った。救うとかいう概念を守った。智穏を残すことは道具としていなかったと思ったのだろうか。
「愛されていたのか?相宮は。」
「愛されていた。写真は沢山あるから。高校のいじめと小学校のいじめと中学のいじめは全部理由が違うんだな。」
「小学校は金を盗んだことを先生に知らせたことに対すること。中学は部活に入らなかったこと。高校は成績が良かったこと。」
理不尽だなと思った。罪を知らせただけでいじめにあった。その時点で能力を知ってしまったのだろうか。謎と抱えている闇に付き合ったほうがいいと思った。




