演出家
大きな爆発が大学を包んだ。有名大学の学祭は明るすぎる暗闇に突き落とされた。何日も大した検査をしていなかったのだ。警視庁は大騒ぎになっている声が聞こえる。批判は警視庁に向いている。
「安心してればいいぞ。特殊犯罪課の名とか使われそうになってもロックしてるから大丈夫。署長が話を聞くことを断ったみたいだしさ。死神が動くことも予知できなかったのかと思われるよ。」
「和翔がいるから安心だ。こっちから出向く必要はないからな。いい対処方法を知らないとしか思わなかった。それが一番の仇だな。」
雅也は強い主張をした。間違ったことをしたとも思わない。ドアのノックの騒音がする。タブレットでの対応をしているので答える必要は全くない。うざったいだけだ。薄っぺらい正義感を背負っているとは言えないのだから。気づいたのかノックをやめ、タブレットに打ち込んだ。呼び出しされたのは相宮智穏で呼び出したのは署長だった。
「呼び出しだよ。逃げた人からだ。どうする?」
「会ってみるよ。変わっているか血相変えて怒るかどちらかだということはわかっているなんてな。情けないよな。」
智穏は重い腰を上げた。くるくる回ったままのプラスチック椅子が寂しそうにしていた。眺めてのいい場所だ。ドアの独特な音が背中の後ろで響いていた。
「なんですか?」
「屋上へ行くか。自販機コーナーで話すのは君はためらわないのだろうが俺が嫌だから行こう。コーヒーを買っていくか?」
「そうですね。」
屋上は何処か肌寒かった。タイミングが違ったみたいだ。
「あの事件の事で話を聞かせてくれなかったか。そのために来たんだ。分かっていたんだろう。」
「貴方はこちらの交渉を断ったために流そうとした情報を得ることができなかったんですよ。真実に向き合わずに聖人面して正義感をもって怒った貴方が情けなかったんです。」
理由は必ずある。それを感じずすぐに金という単語を発したことが怒りへと導いた。分かっているのだろうか。
「正義の使い方を誤った人には罰を与えるべきですよ。こんな警察が守っているのは自分たちの堤体ですよ。国民、市民、都民とかを守るつもりがないとはっきり言うべきですよ。裏切りものですからね。」
署長は何処かに苦虫を食いつぶしたようだ。
「君の親を殺したのは事実だよ。それを皮切りに大学の事を隠すなんておかしいじゃないのか?」
「それが貴方のゆがんだ正義感なんですね。関わらないでください。特殊犯罪課と。人を平等に扱わないといい切ったんですから。マスコミに叩かれればいいんですよ。散々に。知りませんからね。」
缶コーヒーを地面に投げつけて行った。コーヒーは海のように広がっている。何を伝えるのかわからないのだ。




