子供の思い
親に対する不信感を隠しきれないのだ。だって止めようとしなかったおふくろが実家に帰っているのだ。ろくなことをしてないのにと思ってしまう。
「修平と輝元は親父のところについていくのか?あったときに言われたんだ。それについてどう思っているのかと思ってさ。」
「俺はついていく気はないよ。ふがいない父親のところに行ったって何か変わるわけじゃないし。」
修平は建築会社のいい地位までたどり着いているらしい。社長のお気に入りになっている。それもあるという。待遇をよくしてくれていることは死ぬほどわかっているのだ。だから親父と離れてしまうことに関心は残っていない。
「修平は親父と相談するんだな。輝元は?」
「俺は邪魔する感覚でいるからそれでもいいというなら残るつもりだよ。だって住む場所が決まるまでいるとかそんな感じかな。」
兄弟そろって親父に対して思うことはほとんど同じだ。子供にばれていないと思ってやっていたのだ。妻にばれても大したことではないと高を括ってしまった。それが崩れることを進めたのだ。
「親父は気持ちとか聞かないんだよ。自分思考なんだ。だから家族として壊し始めたことも気が付いてないんだ。」
ビールとつまみがどんどん進む。頼りにならない親父に対する不満をふつふつと語っている。会社に特別にバイトをさせてもらっているのに返すどころかギャンブルに走るのだ。倍になるのを期待をしてしまう。自転車操業をして借金を増やすばかりだ。
「俺はもう親父と会わないようにする。会ったってどうせ金をせびられるんじゃ困るだけだし。返す気がないとしか言えないんだよ。」
「テルはそんなことあるのか?」
修平は近くにいる金持ち扱いをしてくるらしい。普通に暮らすだけでも大変なのがわかっていないのだ。不景気だということもわかっていない。
「あるよ。働いている会社まで押し寄せてくるんだ。上司というほどではないけどそんな人に知られてしまう。あの空気気まずいんだよ。辞めてほしい。」
おふくろは兄弟、自分が腹を痛めて生んだ子に会おうとしないのだ。だらしない親父と結婚したばかりに。
「おふくろは兄貴の態度次第で考え直そうと思っていたみたいだけど出て行ったのを見て離婚を考え始めたみたいだよ。」
「俺次第か。俺が兄弟の中で学歴が上だから見下したりとかはっきりとした態度を示すからだろうな。あの頃の俺は生意気だったからな。それは思うんだ。」
「ゆうにぃの決断が一番正しかったんだ。警察にも入って活躍もしてるんだろ。それでよかったじゃないか。」
2人の目線にどこかまぶしさを感じてしまった。写っていない影も見れていないのだと心から思った。会えていなかった時間を取り戻した感じがした。また会おうといって別れて行った。親父に壊された絆かと思った。




