子供会議
数日後といっても大して日にちは立っていなかった。親父と会って。優唄は修平に呼びだされた。親父と会って深く話したと聞いたのだろう。輝元も仕事を早めに切り上げてくると宣言している。待ち合わせは居酒屋だった。大きな場所を好んでいないと思われた。早く来たのか個室に向かった。幼い頃は3人で遊ぶことはあった。親父の借金が分かってから溝は大きくなり会わなくなった。ビールを頼むのをためらった。1人ですることがなくて携帯をいじっていた。ドアをノックする音が鳴った。そこには修平がいた。
「修平、久しぶりだな。」
「兄貴。元気か?」
「あぁ。元気にしてるよ。しゅうも元気か?」
椅子に手をかけて座りながら答えた。
「元気だよ。仕事の事はてるがきてからな。先に始めようぜ。」
修平は店員にビールを頼んだ。優唄は大人になった後でこう言う宴をするなんて情けないと思ってしまった。
「兄貴。親父から事情を聴いたろ。離婚をするなんてさ。おふくろもよく持ったよ。兄貴が出ていてから余計夫婦仲がこじれてしまってな。」
輝元が話を遮って入ってきた。そのままビールを注文した。2対1というどこかである学校の懇談のようだった。
「親父が悪いんだぜ。プライドも捨てきれないから。」
輝元が入ってきて最初に発した言葉だった。末っ子は何処か隠れてみていたのだ。
「仕事、何しているんだ?ゆうにぃ。」
「まだその呼び方か。まぁいいけど。警察で刑事だよ。」
彼等は何処か遠くを見つめている目をしている。
「俺は小さな建設会社で働いてるよ。」
修平はがたいがいいのでらしいと思った。
「俺はな。コンビニの店長だよ。」
フリーターをしてるようだった。親父は会社勤めをしてほしかったのではないか。
「てるはフリーターで職を転々としてるんだ。今はなんとなく落ち着いているんだ。また辞めるんだろう?」
「そのつもりだよ。俺らしくないし。親父の所為で学校で散々な目に遭ってきたしその仕返し感覚。苦しめるのは親父だけでいいんだよ。ゆうにぃは全部知ってるんだろ?聞かせてくれよ。」
彼は詳しいことは知らないのだ。幼すぎて記憶に残っていないのだ。優唄は嫌というほど夫婦喧嘩を見てきた。逃げるように家を回った。
「親父は出世が望める立場にいた。ある日、プロジェクトが失敗したときに部下を殴った。それで会社に警告程度で済んだがあるものを失った。出世だった。そのストレスから逃れるためにギャンブルに走った。」
くだらないことに走ったのだ。子供として情けないと思ってしまった。親父の会社の知り合いに会って聞いたことがある。あの人は自分の大切なものは守ろうとしていた。今の地位にいるだけでも社長は許したよ。人の見られ方にとことんこだわる人だよ。あんな人になってはいけないよ。家族を苦しめるだけだからね。言わなくてもわかっているか。嘲笑いをしていた。




