裏役者
6人は特殊犯罪課に戻った。ろくな場所をもらえなかったと嘆く奴が多いだろうが智穏は特別そんなことを考えたりすることはなかった。5つの机は規定のように並んでる。
「あんなことを言ってよかったのかよ。ばれるかもしれないぞ。」
「ばれないよ。公安をやめて国会議員に尽くすことを決めたんだ。それにあの人は寡黙な人だからさ。大丈夫だ。会ったのは最近だから。」
智穏の言葉にあるのは信頼という言葉だった。それは見えなくて模索せざる負えないものである。分かってるはずだから。
「その人物に関する検索したのか。」
「和翔にはやってもらっている。ホワイトボードの裏にある。出してみてほしい。更新するようにするからさ。ってか、和翔がね。」
優唄がホワイトボードをよけて扉を開けてみるとファイルがあった。プラスチックでできた表紙だったので丈夫さが分かった。黒いのをはぐると紙が出てきた。名前が書かれてあった。奥村貴志。
「ちょっと出てくるから。事件をほどほどに調べておいてくれ。」
智穏が携帯を取りだすがすぐにしまった。タクシーを止めてわからないような場所に連れて行くように指示した。ビルに囲まれたところにおろされた。近くの公園に行った。ベンチに座った。携帯を取り出し電話をした。
「もしもし。相宮です。」
「奥村だよ。どうかしたのか。解決したのか。」
「いいえ。話だけですが貴方の出来事を捜査一課長の梅津圭吾と鑑識長の梅津由美に話してしまいました。課のメンバーは貴方の名前を知っています。あの件の事もあるので大切にいきたいんですよ。」
奥村の笑い声が聞こえた。大したことではないという意味だ。聞いて安心している。
「君は考えすぎなところがあるから困る。交番の荻の弟も知っているのは良いんだ。俺はね。公安にいて己のために働く警察が嫌いだ。今も大して変わらないじゃないか。だけど君たちは事件の解決に興味を示しているのをわかっている。独立も悪くないから動いている。」
「有難うございます。うれしいんですよ。そうやって共感してくれている人がいることがね。俺たちは何も束縛されないのがいいんですよ。」
奥村に言うことに答えた。国会議員に寄り添うフリをしながら裏切る時期を探っているのだ。誰であるかに興味があるのではない。反応が見たいというゲーム感覚なのだ。
「君には負けるよ。親父さんを尊敬するよ。能力にほしいとか何もないかもしれないが。」
不愉快だとも思わない。馬鹿にした言い方をしないからだ。死神を見つけるまで窮屈な環境とは思わない場所でするのだ。そのあとたわいのない話をして切った。仲間がいる警視庁へとかえって行った。




