予言
智穏は缶コーヒーに手を付けた。ろくに夫婦というものに立ち向かわかった2人が1人の青年の話に耳に傾けた。
「高校の時が一番ひどいいじめにあったんでしょ。それまでは?」
「よくあることですよ。教科書が破かれていたり、制服が捨てれていたり。いろんなことがありましたよ。変われたのは特殊犯罪課と荻兄弟ですよ。感謝してますよ。そうじゃなかったらきっと裏社会に生きていたと思いますよ。だって飛んでもない才能に気づいてしまったんですから。裏でも重宝される存在だということはわかります。」
圭吾の腕は組むことがどこかしてはいけないことのように思えた。彼の目は輝きはあまりなかった。何処かに神経が飛んで行ってしまいそうだった。
「相宮は警察についた理由は何だい?」
「ある交番の巡査から言われたんですよ。確かいじめで大けがというほどじゃなくて軽い打撲をしたのを目につけられて1週間ぐらい泊まらせてもらったんです。その時言われたんです。『警察に入って悪を倒してみないか?弱いからじゃなくて権力で潰される社会なんて見飽きただろう。だから、お前が変えて見せろ。』って言われてなりたい職なんてなかったから大学まで出て入ったんです。」
弱いから狙われているわけじゃないと見抜いていた交番巡査がいったということだ。今もいるのだろうか?
「今もいるのか?」
「いるよ。上のほうですよ。よくしてもらってますけどね。その人は公安だった人で裏も教えてもらえるんですよ。」
ドアのほうを眺めているのに気づいた由美は問いかけた。
「誰かきてるの?」
「えぇ。来いよ。対面したほうがいいだろう。」
出てきたのは荻正と二松潤紀、井本雅也、大葉和翔、櫻野優唄だった。携帯をいじっていたのは呼び寄せるためだった。
「お前ら。聞いていたのか?」
「聞いてましたよ。全て。録音されてるしいいよね。」
「お前、とっていたのか。」
大したことじゃないというように薄ら笑いしていた。余裕は何処から出てくるのか?
「特殊犯罪課は警視庁、法律、憲法から外れることは決まってますからね。だから特別な機関のような扱いを受けますから楽ですよ。」
政界に知り合いがいるということだ。5人の中にいるとしたら大葉の関係かと考えた。
「卑怯だとか思わなかったの。」
「思うと思います?散々見てきてこんなものかと重んじていないんですからね。」
優唄は笑みをこぼしている。5人もうなずいている。団体として大きなものとなっている。
「一言言っておきます。誰か死んでます。佐伯琢磨の関係者です。あるものは解析不可能になってもってきてもらうと思います。そのときはお願いします。」
予言して去っていた団体の背中は大きかった。




