従弟の懺悔
優斗は悲しそうな表情のまま智穏を見つめていた。
「優斗はきてくれるんだよ。兄貴たちは来ないよな。あいつら、機械みたいに動いてただけだし。」
「その話をしようと思って今日来たんだ。親父も兄貴も最低なことをしたのに謝らずにのうのうと暮らしてる。家族として許せないよ。」
彼は鞄の中から通帳を出した。贖罪として行っている行為はなんの情けをかけているようであった。
「その金はお前がもっておけ。俺には必要ない。大切なものはもうもらってる。沢山な。」
智穏の引き出しの上に沢山の写真があった。大勢でとったものから一人で写ってあるものまで。親父はその事実は知らないだろう。病院から連絡があったとき、優斗だけが聞いた。3兄弟いて次男である優斗は気にしたのだ。酷い仕打ちを受けても無表情だったあの頃とはすごい違いだ。
「俺を変えてくれた人がいたんだ。その人は事件で死んでしまった。弟にも救われて。今の仲間にも救われた。俺の味方は署長や捜査一課長、鑑識長がついてる。もう1人じゃない。あの頃みたいに。」
「あの頃、救えなかったのは俺の所為なのか。」
智穏の笑顔は恨み、妬み、嫉みは一切なかった。逆にいい経験したという風に笑った。優斗が答えるのに困っていると智穏は笑った。
「お前の所為じゃないよ。俺を助けようとしていじめられたときとかあったじゃんかよ。それなのに自分の所為にするのはいけないぞ。」
「とものことを守ってやるしかないと思ってたから。高校のときも大学の時も金をむしりとられてさ。俺は悲しかった。反撃もせずにただ見ているだけのお前を見て悔しかった。」
「うれしいよ。けど、ここまでこだわっているといけないよ。だから自分の人生を歩いていってくれ。少しでも迷いがあるならちかじかある裁判に見に行くといいよ。俺の仲間の事件の裁判なんだ。」
メモに日時を書いた。テレビをつけているのを見ると速報で出ていた。死神と思われる行為の爆破がされたのだ。狙われたのは大学だった。総理や議員をよく輩出してるとされる有名どころだった。
「お前、4人を呼んできてくれ。大切な人を守るために。」
優斗は廊下にいた4人を呼んで帰った。病室がいつもの部屋のように感じた。
「死神は総理に恨みがあるのはわかっているが総理を輩出する大学まで狙った。ただの人殺しに成り下がった奴をすぐにでも捕まえたい。だから情報を探せ。」
「わかったこというなよ。俺たちは捜査一課も超える天才集団だろ。」
5人の笑顔を見せた。