自殺の要因
荻はベンチで一夜を過ごした。苦痛と感じることもなかった。医者や看護師が集中治療室に向かった。素人が簡単に入れる場所じゃない。潤紀と雅也は一緒にきて、遅れて和翔と優唄が来た。
「まだ目を覚ましそうではないですか?」
「見た感じはね。俺があいつを苦しめたのかもしれない。井本に会って託しただろ。きっとそれが絡んでる可能性がある。」
正は気が病んだように頭を下げた。優唄は聞き込みの資料を鞄から出した。智穏が独自で調べた養護施設の実態だった。出て行った人に聞いたのだ。よく思っていない人にも聞いてるのだ。きっと手探りであったに違いない。
「荻さんは交番の仕事に行ってください。何かあったら言いますから。」
正は静かに一礼をして去っていた。4人は仕事をするためにパソコンなどを出した。目の前でしていると一緒に仕事をしている感覚になるためだった。
「和翔、死神は動いているか?メールとかで脅迫とかして来てただろ。」
「死神はないけど智穏の遺書はあるが読むか?」
3人にも見えるようにパソコンを向けた。
潤紀 雅也 和翔 優唄 一課長 鑑識長 署長
誰が救うとか禅をするような答えを探してきた。何か見つかったかというと仲間に対する感謝だった。事件は解決されないものもある。俺の親は養護施設の園長に殺された。その園長は去年病死をしたらしい。それはいいが葬式には小さいものであったというのだ。人殺しというレッテルを付けたというだけで人柄は変わらないのに。こんな嘆きをする日が来るとは思わなかった。俺は仲間をもっていいと思うことを感じとることがある。こんな結末は特に4人は嫌がると思うが頼むから死神の事件を解決を優先してくれ。
相宮 智穏
「こんなこと書いてたんだ。加害者である園長に同情してしまったとかあいつらしいな。そこまで叱らなくていいな。」
和翔はパソコンから遺書のデータを消した。いいものではないから。過去を知る者としては気になることだった。
「雅也、中村の裁判も近いだろ。少しは休憩しろよ。」
「まぁな。俺にとっては情状酌量されたらいいなと思ってる。計画性はないのは話を聞いてわかっているから。裁判官によるんだろうな。」
「良心ってものは一体何が決めているんだろうな。正義だって言ってしまえば丸く収まるみたいな世の中はきっとおかしいんだよ。」
和翔は思っていることを伝えた。死神も自分の正義のためにやっているのは事実だろうし。潤紀の眼に映るものは大切なものであるに違いないと思った。