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  作者: 実嵐
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死神の愉快

和翔の手が何かにぶつかり落ちた音がした。まぶしすぎる太陽に目を覚ました。カーテンすらない部屋で5人が好き勝手に寝ていた。

「特殊犯罪課は出迎える仕方を知らないのか。」

署長は皮肉っぽく言っていた。5人は急いで起き上がった。ホワイトボードに書かれているのを見た署長は満足そうに笑っていた。事件のことを考えて没頭するのにも適度があるからだ。

「署長、何かあったのですか?鑑識からも情報がないのですよ。捜査一課は嫌がっているのに気付いているし。」

「相宮。一課長は別だろ。君たちの事件の進展を気にしている。資料がないのは証拠がないからだ。あのストラップしかないこと。火薬がなくキッチンタイマーを利用したものだったから。」

「ホシはさ。簡単に見つけてもらったら困るということを表しているのはわかる。根拠が分かったらいいのに。」

潤紀は優唄を見た。優しさを勘違いする人間だっているはずだから。テレビは死神のことを言わなくなった。進展しない事件は興味がないのだ。マスコミは使い捨てに慣れている。今更騒ぎ立てたら視聴者は不自然に思うだけか、興味がないと打ち切ってしまうかの二択だ。

「死神は必ず動く。注目を浴びたいだけではないはずだ。死者を見たいんだ。とんだ快楽殺人を起こそうと思っていると考えている。最初とは違う根拠で。」

「3人を調べてみようと思っても和翔がすましてあるだろ。」

彼は机の引き出しから書類を出した。潤紀のために隠していたのは感じとっていたため誰も怒る様子はない。ホワイトボードにつけた。学歴からすべてがわかってしまう世の中に不信感を感じた。

「伊吹に会うのは捜査一課に行ってもらう。後はお前たちがやれ。愉快犯となった死神を見る必要はない。伝えることがないのはただの人殺しの中で一番最悪な行為だからだ。人を殺すことに快感を持つようではだめだ。」

署長は言葉を選びながら言った。特殊犯罪課は言葉を選らばないといけないのだ。過去に気持ちを追いやられる可能はなくはないからだ。

「俺らはもう過去にとらわれていません。今の仲間がすべてを変えてくれた。支えあうことの意味を教えてくれた。もう傾くほどやわな集団じゃない。署長、わかるでしょ。」

「そうだったな。相宮も屋上に行くのは気分転換だけだから気にすることはない。ただこの事件が済んだら荻の母親に会いに行ってこい。お前の後悔は身に染みているはずだよ。相棒を失った悲しさなんてすぐに消えるはずはない。徐々に諦めろ。それでいい。」

智穏は署長の声に縦に首を振った。4人は少年のような笑顔を見せていた。

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