死神の冷戦
圭吾と由美は休憩室であった。息子に会って以来2人で会うのは初めてだった。死神に対する評価が怪しくなっているのだ。
「潤紀は頑張っているけど脅迫めいたメールが着てから死神は全く動いていない。総理を動かさないと出てこないかもな。」
「死神候補は3人いるらしいのよ。その中に潤紀が養護施設の時に仲良くしていた子がいるって。あの子にとってはすごく酷なことさせてるのよ。」
圭吾はコーヒーにミルクを加えながら考えた。課長は相宮で器用に仲間を扱う。井本は被害者であるために資料を読み更けていたから資料の隠蔽もわかってしまう能力を得てる。大葉は有名大学を出ているので少し見下した感じはあるが冷静に判断する能力がたけている。櫻野は借金のために親を捨てるという経験をしたため相手を見極める能力がある。潤紀は養護施設で育って能力がないとやっていけないと知って刑事と鑑識ができる。
「貴方は後悔してないの?潤紀を捨てたこと。私は複雑。あの子に会った時恨んでない。憎んでいないって言われてどうしていいかわからなくなった。」
「後悔したって過去のことだ。前を歩いてる潤紀を止めようとしない限り、後悔はない。したってもうしょうがない。あの子にもいい仲間がいるんだ。応援しようじゃないか。」
由美はただ頷いていた。実の親として子供を支えなければと思った。
特殊犯罪課では5人は慌てる様子はない。死神の動きが出ないと何もできないからだ。
「警察ってさ。守ってないよな。」
優唄が言った。何もできない未熟さに呆れているのだ。捜査一課の奴と変わらないと思ってしまう。智穏の右手はこぶしを作っていた。
「総理は用がない限り動くことはないと言われてな。死神がどうするかにかかっているんだよ。人の死を何も思わないはずがない。養護施設を出て里親に育ってられて一度戻ったとしても感じるはずだ。恩義を。」
「僕だって感じてるが、里親に対する恨みを含んでいると思っている。逃げた理由はあるはずだし。」
里親に引き取られるのがいいと思っていた。けど、こんなことがあるのなら養護施設で育ったほうがいいのだと思った。吉崎は事実を知っているだろうし。
「コスモスが原因ではないな。眞白のユリ園で大きな事件があったとかしてさ。」
雅也は空想であるとわかっていながら信用を得ていると感じた。ホワイトボードに書き込んでは消してを続けている。保健所に話を聞こうということだけは決定した。夜更けまで話し合ったため、久しぶりに5人で課で寝込んだ。