病
潤紀は特殊犯罪課に向かった。扉には拒否することを知らないように佇んでいる。手を取るのをためらうことをやめて開けた。何時ものように笑顔で待っていてくれるから。机に両手を置いた。
「昨日、容疑者候補の奴に会ってきた。伊吹季太郎。コスモスにいたときいつも一緒にいた奴だ。」
「俺たちのことは案の定隠しているから頭抱えているんだろ。分かっているんだぞ。」
相宮は苦笑いしつついった。仲間の良さをわかっているメンツでもあるから。5人はつらいときは話し合いに時間を割いた。楽しいときはただ楽しんだ。
「捜査一課の奴に手を借りるから大丈夫だ。一課長が傍にいる。鑑識長もいる。署長もいる。怖いものなんてないだろ。」
和翔は微笑んでいた。バカげたことを考えているとばかりに。和翔は有名大学の情報に関する学部を出た。裏社会でも働いて行けたが、先輩が警察に捕まったということを聞いて辞めた。ハッカーでさえ簡単に見つけれるパソコンを作った。捜査一課の情報の部署で働くことを提案された。断ったのは手柄のために活用されるだけと思ってしまった。
「5人でやっていくことは協力するだけで情報はキチンという。捜査一課を蹴散らすのが目標だろ。一課の14係は事件を解決していない。」
「お前の小さな気遣いがきっといい方向に向いてくれる。条件はすべてそろっているんだから。気合いれて死神の心を見破ろうぜ。」
優唄らしくない言葉であったが場はいつも通りに和やかになった。誰が解決する課なんていらない。被害者のためにも早く解決しないと意味がない。口裏を合わせるように言っていることだ。
「中村はどうだった?」
「死刑にならないことを願っているんだ。無期懲役であったら出てきてコスモスに雇ってもらいたいと思っている。潤紀が変われた場所だ。零さんが変わることができないはずがないと考えている。」
「吉崎さんは必ず受け入れるよ。育てる側も育てた側も変化をもたらしたいと考えている人だから。受け入れる人数も多くなってきていることだし。まあ、話してみるよ。」
加害者の気持ちもわからないと事件が解決しないことは多々ある。安易な考えである確率は少なくなってきた。
「雅也は中村とずっとコンタクトを取ってもらいたい。この課やあとの事件のためにも。」
加害者は復讐であったりする場合もある。そんな事件を無くしていきたい。むなしいと思ってしまう事件の1つでもあるから。事件は心とともにあるという考えが覆ることはないと信じている。