見えない視線
潤紀と智穏はコスモスの前にいた。そこに老人が立っていた。
「吉崎さん。ちょっと用事があってきたんだ。」
「そうかい。隣にいる人は一体誰だね?」
「潤紀と一緒に働いている相宮智穏です。一応課長をしています。」
彼は一礼をした。写真を見ていたこともあってすぐに納得した。頼りない感じはするが、意志はとても強い人物なのだろう。応接室に通した。相宮は硬い。二松を呼んだ。会ってほしくてしょうがないからである。
応接室の扉を開けた。2人は笑顔であった。
「二松恵です。ヒロがお世話になってます。ヒロがこうやって仲間を連れてくるとは思いませんでした。」
「俺はただついてきただけです。潤紀の育ててくれた人に会いたいと思ってました。こんないい環境で育ったんですね。」
「そういっていただけるとありがたいです。」
恵はお茶を置いて出ていった。潤紀は何処か落ち着くことができなかった。
「吉崎さん、一回出て行ってまた戻ってきた人のリストありますか?絶対ないとは言い切れないじゃないですか。」
「あるよ。今の事件に関係していることなんだろうね。出してくるから待っていて。」
優しい声が響き渡った。数分後、かえって来た。
「再入園リストだよ。里親に引き取られたのに環境が悪かったらかえってきてしまうんだ。悲しい現実だよ。」
潤紀は自分がいた頃のリストを開いた。そこには6人の名前が書かれてあった。6人とも眞白のユリ園へといっていた。
伊吹 季太郎
瀬戸 香苗
吉崎 要
高円寺 雄介
森 光
岩淵 高彦
「ここにかえってきてる人はいないですね。」
智穏は言った。感じたことを話す人であるのだ。2人はリストをもらって帰った。車に乗るとき、智穏は携帯を取り出しかけた。
「雅也。中村に眞白のユリ園の状況を聞いてきてくれ。」
「智穏、かくしてることがあるだろう。荻に聞いて俺らはわかっているから潤紀に必ず話してくれ。戻った後に話を聞きたい。」
「わかった。キチンと話す。過去は明かしておかないとすっきりしないだろ。」
荻は2人で出た後に来たのだ。確認をするために。生きているかということを。
「智穏、どうかしたのか?顔色が悪いぞ。僕が運転するから助手席に乗ってよ。」
「4人に帰ったら話さなければいけないことがある。特別、何かに関わることじゃない。時がしょうかしてくれることだ。」
潤紀は安心したように微笑んだ。隣で寝ることにした。話して解決できることはしておかないといけないことは一番わかっていた。車は進みだした。