良心の跡
数時間後、署長が特殊犯罪課に現れた。捜査一課との小さな反発をしているのだろう。その割にはとても落ち着きすぎだ。
「君たちが18年前の事件を解決したのか。よくやった。梅津が言っていただけあるチームだ。捜査一課より上だな。」
「梅津一課長はどうして俺たちを守るんですか?だって捜査一課を普通守るはずでしょう。」
智穏が静かに言った。守る相手を間違えているように思えてならないからだ。組織を守らず、窓際を守っているから。
「息子がいるかもしれないからだと言ってた。鑑識長の梅津も同じようなことを言っていた。養護施設のコスモスというところに置いてきた。お前たちにそこに出たものがいるからだそうだ。後、腕がいいからと。」
「僕と関係するんですか?コスモス出たのは僕ですけど。」
潤紀の声は少し震えていた。何か見えないものに怯えている。1人で生きてきたと思ったことはない。実の親に会うのはとても緊張する。
「君か。2人によく似てる。一度会って話してみるといい。場を設けるからさ。死神のことは4人に任せて会ってみるのがいいと思う。」
「鑑識作業できるのは僕だけなんです。だから・・・」
「そこまで時間は取らせない。仲間思いなのは関心するが、休暇をもらえ。5人ともほとんど休んでないがな。どうだね、相宮課長。名ばかりだがな。」
署長は捜査一課よりもいい待遇をしてくれているようだ。
「そうですよ。しきれないから。誰もしたがらなくてなってるだけです。署長が決めて下さって結構です。」
「そうか。じゃ明日休め。実の両親に会って語りあってこい。息抜きにもなるだろうから。」
署長はいうと静かに去ってた。場は静まりかえった。
「いいのか?会いに行ったりして。」
「18年前の雅也の事件を解決したんだしさ。切り替えだと思って会いに行け。どうせ会うのが怖いだけなんだろうし。」
和翔の言葉はすきをついていた。言葉に甘えることもいいかもしれない。優唄はにこにこと笑っていた。優しさで包まれすぎな課だと思った。雅也も笑う。智穏は書類を書いていた。
「明日、休ませてもらいます。」
「俺たちはそんな仲じゃねぇ。堅苦しくならずに行こうよ。それが俺たちのやり方でしょ。」
雅也の気持ちを表したような表現だった。智穏は書類を潤紀に手渡した。休むための書類であった。後は署長に出すだけだ。紙を胸に寄せて扉から出た。署長室までの距離はとてつもなく遠くにあるような感じがした。仲間がくれた休みを有意義に過ごす必要があると感じた。




