身内の反乱
警視庁に2人は帰り、すぐに特殊犯罪課に行った。伝えたかった。支えてくれている仲間だからこそ。
「雅也の事件を解決した。」
潤紀は3人に伝えた。3人の反応は落ち着いたものだった。よかった。
「ちょっとコーヒーを飲んでくるよ。それじゃ事件の処理を頼む。」
智穏は自動販売機のコーナーへと向かった。こういう解決の仕方によく思っていない奴が必ずいる。そんな奴から仲間を守るためだった。缶コーヒーを飲もうとしていた。2人のスーツ姿の男がいた。
「お前のとこの二松と井本が18年前の事件を解決したそうじゃないか。俺たちはそんなことする暇なんてないからさ。」
「14係の八木と田島はこの事件の刑事がそんなことを言ってしまっては遺族はどう思う?暇がないからじゃない。迷宮入りされた事件は沢山ある。それを解決せずに組織の犬が大口叩くんじゃない。」
智穏は怒った。仲間の事件を解決せずバカにする行為に。八木は紙コップに入ったコーヒーをぶちまけようとしている。田島の足はがたがたと机を揺らした。
「まあ、やめないか!八木、田島。大人げないぞ。捜査一課は特殊犯罪課の下だ。彼等にストライキされたら解決する事件が減ってしまう。それくらい考えろ。下に彼等を見るなら辞めてもらったってかまわない。一番下っ端が大口叩くな!」
一課長は2人に怒鳴った。地位を決めたのは一課長であったから。14係は一番下であると知らしめたものである。
「すいませんでした。」
2人は頭を下げた。理不尽なことのようにトボトボと歩いて行った。
「一課長。有難うございます。潤紀と雅也を守っていただいて。」
「大したことをした覚えはないが。手柄に興味がないだけで捜査一課に入らないんだから。逸材を守るものかまわないだろ。」
「いいですけど。一課長は署長によって上じゃないですか。どうして捜査一課を上にしないんですか?」
智穏はコーヒーを飲みながら聞いた。味は苦くそして少し甘かった。
「署長に大事にしろと言われたのもある。解決する事件の少なさも気になった。だからかな。」
一課長は笑って去っていた。相宮は下を向いた。肩を叩かれた気がした。顔を上げると4人がいた。笑っていた。
「またそうやって自分だけ戦場みたいなところ行って。俺らだって戦うよ。1人じゃないんだからさ。」
和翔が優しく呟いた。優唄は頷いている。潤紀と雅也は肩を組んでいる。仲間の大切さを改めて思った。
変なことで血迷う必要はないよと言うように。




