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捜査会議
5人は警視庁に所属している。でも、捜査一課のような大きな課ではない。特殊犯罪課はいわば窓際だ。
「これから捜査会議を始める。」
声高らかに言う姿は舞台俳優のようだ。
資料には無差別殺人であるような書き方だった。
「ホシの目星は全くない。指紋がない。単なる事件とも思わない。」
「被害者はわかっているだけ言う。堤孝、木田貴志。2人だけだ。大きなビルで起きたからだ。デパートでもなくショッピングモールでもない。」
事件現場は直視できないものだ。悲劇という言葉では簡単に語れない。
「潤紀、証拠を調べてくれ。」
優唄は静かに耳打ちした。