証拠の番人
雅也は潤紀の鑑識部屋に向かったが、いなかった。何処かへ行っている。踵を翻した。過去の事件のことも調べて欲しかった。
その頃、潤紀はストラップの製造会社に行った。何かの手がかりになるかもしれないと。
「おっさん。いるか?」
「なんなんだ。こんな時に。」
中年の男性が出てきた。会社の名前が刺繍されたつなぎを着ていた。蟹股だがどこかゆっくりだった。
「なんだ。コスモスのヒロじゃないか。吉崎さんから聞いたぞ。警察に入ったらしいな。なんか用か?」
ジッパーの袋を取り出した。少し焦げている。
「これってどこの養護施設ですかね。リストとか見れないかなって。」
「いいぞ。でもこれじゃわからないかもな。特徴がすべて消えてしまってる。」
リストを見せてもらった。沢山ある。毎年作られているものであるから。記念に渡される。出ていくときに貰う。捨てる人もいるらしい。
「これ、コスモスだと思うよ。ヒロたちがいたころのものかなって思うよ。凝ったデザインを頼まれはじめたころだし。」
「それならおっさん。リスト丸々もらっていい?」
「しょうがないな。けど沢山あるからやるよ。」
潤紀はおっさんに礼を言って去っていた。ホシを見つけることが果たしていいことなのか少し迷ってしまった。仲間に申し訳ない気持ちになった。




