捜査の亀裂
捜査一課は急いで人を集めた。ホシから脅迫に近いうえ近いうちにまた事件が起こると予告しているのだ。ホシは自らを死神と名乗った。行いを物語っているように。
「ホシはフリーメールで送ってきている。ホシについて分かったことはあるか。言ってくれ。手がかりだ。こんな惨劇を起こしたくない。」
「特殊犯罪課が調べているはずですよ。おい、誰か分かったことを伝えてくれ!」
一課の1人が偉そうに声を上げた。誰が従うだろうか。捜査一課を嫌がった人間が。
「緒方、やめろ!特殊犯罪課はこの中で1番大切な逸材なんだ。それに我々はこの事件を捨てたじゃないか。都合よくいくなんてないんだよ。謝りなさい。悪いのは我々組織に縛られているほうなんだ。彼等は悪くない。」
一課長は静かに言った。5人はいつでも辞めるつもりでいる。感じ取った人なのだ。もしかすると、特殊犯罪課を作らせたのはこの人かもしれない。酷なことをさせていると思っている。
「俺らは捜査一課に入りませんでした。被害者の顔を忘れることができない奴、あまり人に心を開かない奴など欠点だらけの奴ばかりです。それなのにたった5人でやっていけるのです。分かって下さい。日にちなんて関係ないんです。ホシは人なんです。良心があるかも問題ではあるのですが、一課長の恥は欠かせません。」
智穏は誓った。絶対解決しなければいけないと思った。
捜査会議が済んだあと一課長がやってきた。
「よくわかったね。僕が特殊犯罪課を作らせたと。」
「喋り口調ですよ。まるで俺らを守っているように思えました。潤紀には証拠品を調べて貰っているところです。」
一課長は納得したようにただただ頷いていた。分かっているよと。